ウッツ男爵: ある蒐集家の物語 (白水uブックス―海外小説永遠の本棚)

ウッツ男爵: ある蒐集家の物語はこんな本です

ウッツ男爵: ある蒐集家の物語の感想・レビュー(74)

第二次大戦中、そして冷戦下のプラハに、ウッツ男爵という陶磁器の蒐集家がいた。それだけの話の、気取った調子の本。でも、その気取りが「用が失せれば、おのずから消えていく。」ときの、なんともいえない寂しさというか、喪失感というか、空疎さというか……。「このとき以来、二人はたがいにいとしみあった。自分たちのあいだにわりこんでくるものは我慢がならない。となれば陶磁器はもはや古ぼけた台所用具にすぎない。用が失せれば、おのずから消えていく。」
★3 - コメント(0) - 2月15日

期待以上に面白かった。舞台装置が凝っている。歴史を辿りつつ、ゴーレムや錬金術などのトピックをちりばめながら、少し偏屈なウッツ氏を描いていく。最後にミステリーっぽくなるのも予想外。魔術的な魅力がある。この作家の他の作品も読んでみたくなった。
★1 - コメント(0) - 2月12日

死ぬ瞬間「よく生きた」という満足感を持っている人は穏やかに死を迎えると聞く。幼い頃にマイセンの道化師に魅了されたウッツ。土の固まりに命を見いだし、救うことを決めた。不安定な社会やコレクションや時代に束縛されながらもしたたかに生きた原動力は情熱であったろう。満たされぬ想いの代償行為であったかもしれない。「人は必要としてくれる人を愛す」人生を賭けた物の優先順位が変わるほどの価値転換が納得のいくものであるならば「よく生きた」と思えただろう。ゴーレムや錬金術に彩られながら道化師のような男の儚い人生を読んだ。
★11 - コメント(0) - 2016年9月6日

チャトウィンの『黒ヶ丘の上で』をすすめられたので、取り敢えず薄いこれから読んでみようと思って読んだ。「プラハの春」前後の生きづらい時代、マイセンの磁器、入り組んだプラハの街と伝説、蒐集家ウッツ、ハエの研究家等々、あらゆる方面に味がある。それでいながら、重かったり暗くなりすぎたりすることなく絶妙な軽やかさ。「私」がウッツの人物像を描き出していくその距離感がまた良い。細部まで描写されるコレクションや時折挟まれる自然、そうした物がゆるくつなぎあわされたストーリーの中で生きてくる。なかなか「いい小説を読んだ。」
★7 - コメント(0) - 2015年12月17日

チャトウィンの中では一番読みやすいと思う。人物の性格がよい。
- コメント(0) - 2015年9月17日

また、チャトウィンの魔法にかかった。陶器、博物学、錬金術。料理、音楽。旅と帰還。伝説と信仰。女と、男。愛。様々な要素が次々浮かんでは消え、さらり流れゆき、いつのまにか、遠くへ運ばれている。舞台としてプラハ程、相応しい街もない。チャトウィンの筆で描かれた プラハを読めたことに感謝。人を縛る“収集”と、縛られない“旅”、そしてまたどちらともつかない“人との関係”、全てを見知ってきたはずのチャトウィンの結論は、果たしてウッツの行動そのものだったのだろうか?
★1 - コメント(0) - 2015年9月7日

「愛すべきウッツ」という思いを、読みながら始終抱かせる。握られたら痛みを覚えるようなカニ鋏みたいな手も、自分の審美眼に合わぬものへの辛辣な言葉も、追いかけずに自分の腕に沈んでくれるような女性を求める思いも。そうして、彼に多くを求めず生涯を捧げたマルタに思わず気持ちをそわせながら、二人の行方を追っていた。ウッツの蒐集家としての人生が、第二次世界大戦や冷戦下のプラハで変化してゆく様子、蒐集に魅せられた情熱の向かう先が、どこか虚しさを漂わせながら、悲しみと愛おしさで心を満たした。
★32 - コメント(0) - 2015年8月19日

なんでかわからんけど、グイグイ読み進んでしまう。そういう作品に出会うと、これが「ブンガクのチカラ」なのかなと思う。
★2 - コメント(0) - 2015年8月16日

厚さは薄い本ですが、たっぷりと堪能できて満足感大でした!プラハの春を挟む冷戦下の陰鬱なチェコ事情など、ともすれば暗くなりがちな時代背景なのに暗さを微塵も感じないウィットに溢れた文体にシビレました☆「鑑定団」を欠かさず見ている骨董好き(笑)には思わずニヤリとさせられる場面多数(^m^)蒐集家魂たくましいウッツ男爵とマルタ、そしてハエに一家言ある学者オルリーク博士など、どのキャラクターも一癖も二癖もあって愉快~♪彼らの軽妙なやりとりを楽しんでいる間にスルリと読了。チャトウィン作品、他のも読んでみたいです。
★16 - コメント(0) - 2015年4月26日

ナゾ部分、盛り上がり共にイマイチなんだけど、これが文学なんだな、たぶん。
★2 - コメント(0) - 2015年3月6日

プラハの春の1年前に著者を連想させる語り手は、知人に紹介されて、プラハ滞在時にマイセンの蒐集家ウッツと話し、彼の人生、コレクションの蒐集についての話を聞いた。その6年後にウッツは死亡し、その後チェコを再訪した際に、ウッツの死後に彼のマイセンのコレクションの行方がわからなくなったことを知る。それで語り手はウッツのコレクションの行方を追い、ウッツのことを調べているうちに彼の知らなかった側面を知る。そこでウッツとマルタの複雑な関係などが明らかになって、ウッツのイメージが変わっていくのは面白かった。
★14 - コメント(0) - 2015年2月17日

読み終わって、また頭に戻らないといけないやつ。わざわざ言及されるゴーレムの意味は。
- コメント(1) - 2015年2月5日

こういう小説、好きだな。この題材ならいくらでもドラマチックに盛り上げられるのに、ひとりの蒐集家の小さな世界に焦点を絞り、そこから世界の動きをチラ見させるあたりが巧いと思った。独語ではなく英語からだという池内紀さんの翻訳もいい。
★5 - コメント(0) - 2015年1月25日

コクのある、なんとも品のある小説だ。 まさにヨーロッパの、これぞヨーロッパの小説である。 しっかりとしたプロット、ゴーレムや錬金術などのペダンティズム、貴族時代~ナチズム~スターリニズムの革命と亡命の20世紀を背景に偏屈な、カフカとチェーホフ好きな、マイセン磁器の収集家がその蒐集だけに命をかけ、チェコ・スロヴァキアの激動の数十年を生きる話、だが最後には見事なミステリ的なオチ、なにより純愛の物語だったと知れて終わる。 約200頁、読むのも苦じゃない長さ、これ程にオレにとっての理想的な小説も珍しい。
★2 - コメント(0) - 2015年1月9日

警察国家でマイセン磁器を蒐集する貴族。何重にも囚われ人で胸苦しくすらなります。が、斯くも祝福された人生よと天晴れな気持ちに。結末に不満な方もいらっしゃるようですが、私はコレクターは傲慢で構わないと思います。そのモノに人生を捧げた人だもの。大作『パタゴニア』の時は上等な赤ワインを大樽一杯飲み干した様な読了感でしたが、本作は上等なベルガモットをグラス一杯くいっと飲み干した様な。いずれにせよ酔いました。
★43 - コメント(3) - 2015年1月7日

マイセン磁器の美と魔に取り憑かれた主人公は、ナチスの台頭や冷戦下の冷遇を後景に退けて〈個人的な〉生を送る。但し、語り手の描く主人公像が実像なのか虚像なのかは判らない。ミステリの手法で展開する物語は、光源の位置によって表情を変えるマイセン像の細かいディテールを思わせる。興味深い人物と人形造形の陰陽に富んだ面白みを、二重写しで活写した佳作。
★4 - コメント(0) - 2015年1月4日

白水社uブックスとして復刊されたので読んでみた。映画『マイセン幻影』のラストが好きだったのだけど(アーミン・ミューラー=スタールさん最高!)、原作ではウッツ男爵が自身のコレクションをどうしたのかが明らかにされておらず、ちょっと肩透かし。映画がまた観たくなったけど、DVD化されてないのよねぇ。
★2 - コメント(0) - 2014年12月31日

結局どうなったのだろう、何か大事なところを読み落としてしまったのだろうかと気になって検索すると松岡正剛さんの評にたどりつく。本を読まずにネット検索やらSNSにかまけて何か失っていないかという教訓。図星。映画「マイセン幻影」の原作だったとは、映画も未見につき、あとがきで知る。
★2 - コメント(0) - 2014年12月20日

訳者あとがきの「まさしく読みたいような小説であり、もし才あれば、自分でも書きたいと思うような小説だった」というのに全く同意。もし才あれば、というのがなんとも良い。ぺダンチックなのにいやらしさを微塵も感じさせないこんな「才」があればなあ。 そしてただの薀蓄小説ではなくて、後半で情景を反転させる語り口の技巧も見事。思わず最初のほうを読み返してしまった。あと、原題の「UTZ」というのも実にカッコいい。スタイリッシュな傑作でした
★2 - コメント(0) - 2014年12月14日

色んな話が詰め込まれていてとても面白かったけれど、ウッツの蒐集人生を辿った部分と、死後にミステリーを追う部分とで構成されていたせいで、気持ち悪い読後感に。
★1 - コメント(0) - 2014年12月6日

短いのに素敵な読書感で満たされる。マイセン陶器のコレクターが死んで、一夜で消えた蒐集品はどこに?というミステリ仕立てのなかで、断片的に色々な物語が語られる。謎ときではなく、あるコレクターの生きた姿といつの間にか浮かび上がる大切な人物との関わり方が絶妙。佳品とはこういう小説のことをいうのだろう。
★15 - コメント(0) - 2014年11月15日

何かを蒐集している人は結構いると思うけど、そういう人にはわかる部分がたくさんあると思います。興味のない人にはどうでもいいことに情熱を注ぐウッツ男爵が、可愛くもあり、羨ましくもあり、切なくも思えます。
★4 - コメント(0) - 2014年11月2日

ゼイタクというものは、まわりの条件が劣悪であるときにのみ、たのしめる。
- コメント(0) - 2014年10月28日

情けないがチャトウィンで一番読みやすい。黒ヶ丘もだが、自分は紀行文とかより物語の方が合っている。
- コメント(0) - 2014年10月15日

陶磁器蒐集家を巡る物語と謎。そしてこの物語は、多くの物語にある「物は儚いが人との絆は永遠だ」ということを題材にした話では決してない。寧ろ、コレクションで得られる恍惚の一瞬を切り取っていっている。第二次世界大戦で焦土と化したプラハでも彼のコレクションは喪われ、冷戦時でも国から国を渡ってのコレクション集めが困難になってしまった。それでも彼はマイセン磁器をコツコツと蒐集していく。だんだん、コレクション愛が大海程の存在感である男爵が可愛く、思えてくるから不思議。だからこそ、マルタさんは最後まで付いていったのかな。
★40 - コメント(0) - 2014年9月23日

コレクターの偏執的なこだわりや鼻持ちならない蘊蓄披露でにやりとさせながら、ウッツ男爵の人物像から次第に立ち上がってくる謎をミステリー仕立てで描く巧みな構成にうなる。一見地味だけど細部まで味わい深い魅力的な作品でした。
★27 - コメント(0) - 2014年9月20日

蒐集狂ウッツ男爵を巡るミステリと、謎の焦点を本人から夫人へと移していく展開の妙、脇役ながらクセの強いキャラ、変に才気走る骨董談義とペダン、そして百塔の町プラハの枯れた味わい。さながらマイセン磁器のようと言いたくなる精巧さ、そして嘆息。
★13 - コメント(0) - 2014年9月18日

原著88年。冷戦下のプラハ。マイセン磁器の魅力に憑かれ、監視国家を向こうに立ち回り着々とコレクションを蓄積する謎の男ウッツ男爵。「現代のルドルフ2世」とあだ名されるウッツが、語り手を相手にゴーレム伝説や錬金術を絡め蒐集秘話を披瀝する前半に対し、彼の人生とコレクションが急展開に見舞われる後半とのコントラストが強い印象を残す、蒐集家とコレクションをめぐるミステリ仕立ての中編。「偶像崇拝の禁制」を侵犯する狂気じみた営為がこう易々と踏み越えられるかと思う一方、蒐集のカタルシスはかくあるかと妙に爽快にもなる一冊。
★7 - コメント(0) - 2014年9月9日

私有財産が許されなかった冷戦時代のプラハ、偏執的なマイセン磁器蒐集家のウッツ男爵。閉塞感漂うプラハの街と、磁器への妄執ゆえのウッツ男爵が抱える鬱屈、双方の鬱々とした空気が絡み合う。ウッツの死後、忽然と消失したコレクションの行方を追い、生前のウッツの私生活が語られる(語り手の「私」はチャトウィン自身を彷彿させる)というのが物語の主軸だが、その合間に描かれるコレクター同士の会話や駆け引き、コレクター視点での言動にニヤリ。ぼやっとした幕引きや何だかいつも憂鬱な作中人物、不味そうな料理描写含めて好きです。
★25 - コメント(3) - 2014年9月9日

チャトウィン、こちらも大好きだ。ゴーレム話もツボだったし、〈スパゲッティ食らい〉の描写が堪らない。もちろん、ウッツ男爵その人も。
★8 - コメント(0) - 2014年9月6日

やきものの百万長者の物語。誰しもが、おそらく何らかの蒐集に熱を上げている(た)はず。本書を読めば、そこに込めた想いの強さを、今一度感じ取ることができるだろう。不器用に手を取られることで、まるで「家族が襲われたように、我が家が荒らされたように」感じ、コレクションのせいで生まれる愛などきっぱり否定する、男爵の熱意がすごい。置いていけるはずないだろう? これは蒐集の虜になってしまった全ての人のための物語。イギリスの作家が描くチェコの細部、男爵に対して献身的なマルタに目がいく。
★21 - コメント(0) - 2014年9月4日

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