サルガッソーの広い海 (ジーン・リース・コレクション)

サルガッソーの広い海はこんな本です

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サルガッソーの広い海の感想・レビュー(44)

「ジェーン・エア」は好きな作品で、ジェーンに共感もしていたけれど、本書を読んだ後だと、かなり印象が変わるのかも…。ロチェスター、ダメだよ、あんた…。
★11 - コメント(1) - 2016年11月11日

NAO
『ジェーン・エア』のロチェスター氏の前妻バーサ・メイソンの若かりし頃の物語。彼女は狂っているからと切り捨てるのは簡単だが、誰が彼女を、彼女の家族をそうさせてしまったのか。同じ白人同士なのにあとから入ってきた白人たちからは疎外され、黒人たちからさえ軽蔑されているクレオールである彼女の哀しい経歴。海中に生い茂るサルガッソーに絡み取られてしまったかのように奪い取られてしまった自由。美しい自然の中で、いっそう際立つ人間の残酷さ。繊細な文章で描かれる作者のバーサへの強い共感と哀惜の思いに、胸が熱くなる。
★56 - コメント(1) - 2016年10月31日

◎/読みにくいけど良い本だ。あのいけ好かない(すいません)ジェーンエアが都合よく切り捨てた存在、支配される側の女の声を、ジーンリースは繊細かつパワフルに描きだした。溜飲が下がる思いである。と言っても単純にロチェスターが悪人なのではなく、誰もが時代の歪みに捉えられ、恐怖と疑念に飲み込まれている。名を奪われ、思い出を奪われ、人生を奪われたアントワネット。彼女はそれでもあきらめず、自分がそこにいる意味、やるべきことを探し求める。/ふだん解説は読まない派だけどこの本の解説はよかった。なんて美しいタイトルだろう。
★15 - コメント(0) - 2015年12月27日

クレオールの苦しみを描いた第一章は馴染みのないものであり、なかなか読み進められなかったのだが、ここがバーサの苦しみの元凶であり、ジーン・リース自身の経験を引き継ぐものであり、貴重な部分であった。 彼女の正気の部分によって描かれた三章は本編と対比し、彼女を想うとあまりにも苦しく、初めてバーサに同情を寄せた。
★5 - コメント(0) - 2015年9月26日

カリブに暮らすアントワネット。植民地生まれの白人の彼女と母は、「白いゴキブリ」と周りから忌み嫌われている。成長した彼女は、義父の計らいで、英国の男と結婚するが。。ジェーン・エアの愛したロチェスターの妻バーサがいかにして狂っていったかを描く。閉塞した世界で暮らすアントワネット、英国人の夫を愛するが、夫とわかりあうことはできない。彼女の息苦しさ、追い詰められていく感じが読んでいて苦しい。ああ、もう狂気しか彼女の逃げ場はなかったのか。著者の二つの故郷カリブと英国、そして「ジェーン・エア」への愛憎があふれている。
★28 - コメント(1) - 2015年9月3日

海流が渦巻き中央に凪の空白を作る海は繁茂した藻で、西と東の間を越えんとする船を引き摺り込み難破させる。カリブ海諸島植民地に暮らすアフリカから連れて来られた黒人、植民地生まれの白人、混血と、支配する「本物の白人=英国人」との間に広がるサルガッソーの透明な闇は深い。ジェーン・エアが愛した男の妻は何故、狂人と呼ばれるようになったのか、故郷への愛憎を籠めて作家は語る。荒れ果てた楽園の魔法と美に属するヒロインは矛盾に満ちた出自故に狂気の海に沈もうとするが、欺瞞のまま流される英国人の夫こそ本物の狂気を体現している。
★28 - コメント(1) - 2015年8月25日

悲しい物語。カリブ諸島の息が詰まるような暑さを感じながらも、どこまでも悲しい。この暑さと悲しみの対比がとても特別に感じる。軸がなく様々な対立関係が示されるので少し読みづらいんだけれど、文章は美しく、また軸がない、というのが主人公のアントワネット=バーサそのものであることが、読み進めるうちに見えて、それもまた悲しみを深めた。再読したい。
★5 - コメント(0) - 2015年5月6日

なんか難しかったなぁ。主観が途中から代わるし、突然、現実から回想や幻影に跳んだりして。しかし、クレオールや植民地社会での複雑な時代背景や人間関係が垣間見られるし、時間をかけて再読したい一冊。
★4 - コメント(0) - 2015年3月7日

非常に悲しい気分で読了。カリブの黒人たちに子供時分襲われた恐ろしい体験を持ちながら、惹かれる思いも強い。イギリスに憧れを持つ一方、嫌悪も覚える。そんな、自分の居るべき場所を常に探しあぐねているようなAntoinetteに同情。Wickedの"悪い魔女"を思い出した。
★3 - コメント(0) - 2013年11月9日

「あなたといると、私はだれで、私の国はどこで、私はどこに属しているのか、いったいなぜ生まれてきたのかいつも考えてしまうわ。」クレオールとして生きることへのアントワネットの複雑な気持ちを、イギリス人の夫ロチェスターは理解出来ない。差別と暴力と嘘まみれの世界で人々の憎悪は募り、狂気がつくられ、希望を打ち砕かれるアントワネット。彼女の幸せを願わずにはいられなかった。その行く末を知っていても。ジーン・リースによる『ジェーン・エア』のサイドストーリー、バーサ篇。おすすめです。
★14 - コメント(0) - 2013年10月26日

カリブの海を舞台にした小説らしく、楽園のような島の地勢の描写に魅せられた。だが、島の村の名は「虐殺村(マサークル)」。奴隷解放前の植民地時代の暗き歴史、憎悪と呪いが覗い知れる。植民地生まれのアントワネットは、白人の優越を失ったこの島で権威を持たず、本国から遠く離れたカリブの島で生まれ育ち帰属意識も薄い。数々の苦しみの果てにも、彼女は自分の拠り所を見つけることはできない。彼女は生まれながらにして虚無に包まれた楽園「どこでもない場所」で生きているようなものだ。しかし残念。『ジェーン・エア』から読むべきだった。
★18 - コメント(0) - 2013年1月9日

カリブ版「ジェーン・エア」なのかと思ったら、ロチェスターのサイド・ストーリーでした。ロチェスターってとてもイギリス紳士然としていて品行方正に見えるけど、過去には数々の女遍歴があって…。しかし、イギリスの上流家庭に育った彼がカリブの島に行って生活しようとしても、それはとうてい無理な話だ。目が眩むほど鮮やかな原色の花々、むせ返るような濃い香り、ブードゥー教のような宗教やら迷信やら掟やら。アントワネットは繊細だけど、初めから狂っていたわけではない。二人の間には越えられないほどの環境からくる隔たりがあったのだ。
★11 - コメント(4) - 2011年10月10日

『ジェーン・エア』愛読者には是非読んでもらいたい衝撃の一冊。イギリス植民地の奴隷制度がもたらした黒い歴史とその弊害があぶり出されたお話で、ロチェスターは本作では完全なる悪として描かれています。奇妙な笑い声を響かせ屋敷を徘徊しつつも、悪意を持って部屋に火をつけるバーサは本当に狂人だったのか?と長年疑問に思っていたんですが本作を読んで、やはり…!!といぅ想いを強くしました。もしロチェスターが一度でもバーサを愛する努力をしていたら運命は変わったのかもしれない、そんな苦い読後感を感じる作品でした。♣3.5点
★10 - コメント(0) - 2011年9月18日

若い頃読みふけった”ジェーンエア”。狂った妻の育った環境など考えもしなかったが、歴史の狭間で二重に苦しむ世界が有ったことを初めて知った。
★3 - コメント(0) - 2010年1月31日

『ジェイン・エア』の重要人物の中で唯一台詞のないロチェスター夫人。宿敵のリード夫人さえ、死に際にジェインに告白することが許されたのに。ロチェスター夫人について、読者が知るのはジェインの目に映る姿と、ロチェスターが語る人物像のみ。彼女について、ロチェスター程信用できない語り手はいない。ジェインの同情と共感と理解を求めて語ったのだから。この小説で、読者はロチェスター視点以外の夫人の人物像を知ることができる。ロチェスターの愛人だったセリーヌも、語り手を変えれば、椿姫になったかもね。
★33 - コメント(0) - --/--

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サルガッソーの広い海の 評価:77 感想・レビュー:17
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