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鏡花と妖怪

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Toska
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急逝した著者の遺稿集。タイトルは鏡花だが、実は水木しげるについての論考もかなりのウェイトを占めており、白状すると半ばはそれが目当てで手に取った。ラヴクラフトと泉鏡花が水木しげるを介してつながっていた、という夢ふくらむエピソード。原テキストや先行研究の読み込みが素晴らしく、作品の中に現れた時代の刻印(泉鏡花なら関東大震災、水木しげるに対しては高度経済成長)も鋭く見抜いている。これからまだまだ業績を残すべき人であったのに、その可能性が絶たれたのは本当に惜しい。
Toska

伊藤龍平のコラムが印象的。「二〇一五年の水木しげるの死は、一つのエポックだった。今後、この巨人とどう向き合っていくかが重要なテーマになる」(148頁)。水木パラダイムの「妖怪」像があまりにもスタンダードな存在として定着した結果、研究者でさえその影響力から逃れられない。よろずの偉大なものは、本人の思惑とは別の次元で権威化せざるを得ないのだろう。その意味でも、清水さんにはもっと水木しげるを論じてもらいたかった。

03/17 13:54
0255文字
zatugei
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水木しげるの泉鏡花、高野聖論がおもしろい。
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たっきー
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ネタバレこういった怪談物の研究で必ず言及されるのが妖怪の定義。小松和彦は出来事、超自然、造形化と妖怪を三つに分ける。京極夏彦は民俗学でも定義できていないと指摘する。近現代小説を怪異と妖怪に分けようとすると、意外と妖怪小説は少ないと著者は言う。その稀有な存在が泉鏡花なのだと。「鏡花が描く妖怪像」では、泉鏡花が近世からの妖怪を否定する流れに位置付け新時代の妖怪像を模索したとする。「怨まない幽霊たち」では鏡花が恨みを持たぬお化けが書けないと折口信夫に語っていたとあった。鏡花の後期小説を独自の切り口で捉えていて興味深い。
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西野西狸
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ネタバレ泉鏡花の特に大正昭和の作品を対象にした論文集で、たしかに読んだことのある鏡花の小説はみんな明治ばかりで後半は全然知らなかった。関東大震災が泉鏡花に与えた大きな影響も興味深い。また、水木しげるは作品発表時代の同時代的な状況やその受容まで論及していて、現在とはまた違った鬼太郎像が現れてくる。
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HANA
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国文学者の遺稿集。鏡花が専門なので、やはりそれが中心となっているが、水木しげるや国枝史郎、岡本綺堂についての論考もあり、そちらもまた一段と興味深かった。というか主に論じられている後期の鏡花の作品で読んでいるのは『山海評判記』くらいなので、大体のストーリーは付いているものの理解し難い部分が多々あるのである。自分の知識の無さが原因だけども。逆に知識にある部分は極めて面白いものばかり。鏡花における震災の影響や、水木しげる描く高野聖等堪らない。優れた評論を読むとどうしてもその触れられている元を読みたくなるなあ。
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