墓地の書 (東欧の想像力)

墓地の書 (東欧の想像力)
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墓地の書はこんな本です

墓地の書の感想・レビュー(60)

メモ。スロヴァキア文学を初めて読む。今から書くことには下品な(不快な)表現が含まれていますので、ご留意くださいね。文中にある「サムコ・ターレ、ウンコターレ」という囃子詞(はやしことば)が脳内で未許可無限再生している。いやだ。助けてほしい。
★4 - コメント(0) - 2016年10月8日

社会主義体制崩壊後のスロヴァキアにて、「著者:サムコ」は胡乱な占い師の預言を受け、「雨が降ったから」と本書を綴る。彼の語りは初め、とてもイノセントに響いた。しかしそれは直ぐにグロテスクな諧謔となり、社会の歪みを炙り出す。
★1 - コメント(2) - 2016年5月5日

無邪気な語りの中の不気味さを意識し出すと、途端に物語の独特のしつこさの中にずるずる引きずり込まれてゆく。けれど、そのずるずる引きずりこまれる気持ち悪さの中にいる自分自身にはたと気づくとき、妙なくらいその主観的な物語世界に強い視線を向けていたことを知る。そう、私自身もきっと独特のしつこさで読み耽っていたのだと。
★9 - コメント(0) - 2014年6月8日

独特な雰囲気。知的障害者が書いているという設定で、彼が見た世界を描く。でもそれは本当にそうなのか。なんとも不愉快で、不気味な気分になる。好きです。
★3 - コメント(0) - 2014年5月17日

墓地については一切書かれていないけど、この話自体が墓地だと最後の挿絵で腑に落ちる。表紙のサムコ・ターレが壊れかけのカラクリ人形のように首をギコギコ振りながら、行って戻って延々と喋っているような、そこの知れない不気味さ。謎のケフィア推し。だって、ケフィアはとても健康にいいから。
★10 - コメント(0) - 2014年5月10日

お話は過去を振り返るばかりだが、その過去も主人公の主観を抜けば幸福なものではなく、不穏である。
- コメント(0) - 2014年3月23日

知的障害者を書き手とし、彼が自分の周囲の人々のあれこれを書き綴る書、という体裁。障害のためだろう、語り口が独特であり、また話題Aについて話し、その後話題B、話題Cを順に語るかと思えば唐突に話題Aに戻ってきたりする。ボケ老人が同じ話題を延々と重複して語り続ける感じに少し似ている。暗い内容ではなく、多言語に渡る言葉遊びがたびたび出現したりするが、悪意や死が隅には隠れていたりする。読んでて楽しめたかと問われれば否だが、唯一無二の書物であることは間違いないだろう。
- コメント(0) - 2014年1月25日

ソ連崩壊後のスロヴァキア。共産党の思想を無邪気に受け止めてきたサムコ・ターレスは占いの予言のように『墓地の書』を書き始める。時が止まってしまったかのような彼は段ボールを交換してもらい、時々、車を曳く繰り返される生活を送っている。繰り返されるフレーズと同性愛者やジプシーへの差別が彼から発せられることで私は不快になり、同時に「障碍者=無垢」という自分勝手なイメージを押し付けていたことに気付いた。そうなると語り部は全く、信用ならないことになる。作者と同名の語り部によって展開される薄気味悪い視点に惑乱。
★34 - コメント(0) - 2013年9月7日

軽度の知的障害者である語り手の一人称を採用することで、「真実を語っているのか」に加えて「語り手は真実のつもりでもそれは本当に真実か」という二重の意味での「信頼できない語り手」になっているところが面白い。全体的に非常に不気味で気持ち悪くていい感じ。
★19 - コメント(0) - 2013年8月23日

非常に興味深い小説だった。これはまさしく墓地の書、社会の体制の変化についていけていない主人公の、あるいは様々な人々の人生の忘れられた一場面一場面を弔うための書。主人公の語りの影に隠された、真実の密やかな恐ろしさに、心が少しばかり冷える。
★2 - コメント(0) - 2013年7月15日

軽度の知的障害を持った主人公のひとり語り。教え込まれた共産党体制下の価値観を疑うことなく暮らす日々の中で浮かび上がる矛盾、欺瞞、不貞の数々。謎めいた死と失踪に彩られながらその意味が判らない主人公の綴る日常は、なるほど〈墓地の書〉なのだろう。死語に暴かれた秘密、隠されたままの秘密を抱えて変わらない日々がただ過ぎていく墓地の風景と、成長の止まった主人公が二重写しに見える。
★4 - コメント(0) - 2013年5月24日

無邪気でユーモアのある語り口なのだけどサムコが書く小説のタイトルは「墓地の書」。街の人々の暮らしを描くのだけど差別意識や冷ややかな感じで、コンプレックスの裏返しか自慢話も多い。最初は彼が腎臓や成長が止まっている「名のある病気」を患っているゆえの歪さなのかな?と同情的に読んでいた。しかしグナール・カロル博士(権威的人物)とサムコの関係から「いい人」の恐ろしさをじわじわ感じた。終始あっけらかんとオープンな雰囲気がこの物語(=サムコ)の気持ち悪さを際だたせていた。
★6 - コメント(0) - 2013年1月30日

イノセントで無自覚な語りが、執拗な反復とトートロジーで強調されていて不気味だが、価値観が転倒した社会で生きる人々をそこはかとなく浮かび上がらせる。とはいえ、何も価値観が転倒しなくても、こういう自分にとっての「自明」を疑ってもみない人ってどこにでもいるよね。
★2 - コメント(0) - 2012年11月27日

ボーダーラインに立つ人はいつだって真ん中に住んでる人の滑稽さを浮き彫りにする。そしてそれゆえにさらにラインのきわへ追いやられるのだが、この作者はまるで宙に浮かぶようにいろんな物事の滑稽さを浮かびあがらせる。価値観ってなんだ?国境ってなんだ?人種ってなんだ?と。無邪気さと真面目さがこんなに怖いなんて。へんな読みごこちだった。
★12 - コメント(0) - 2012年9月19日

ユーモラスなようでいて、ひどく苦い。よい小説。
★2 - コメント(0) - 2012年9月6日

社会主義国家と崩壊、そこに生きる人々の日常。障害のあるサムコ・ターレの淡々とした語りが怖い…
★2 - コメント(0) - 2012年9月2日

最初はユーモラスに思えた語りが徐々に薄気味悪く感じてくる。言葉の裏や人の行動の真意を読めないサムコは、家族さえも密告し自分は正しいことをしていると疑わない。ゾッとするほどの差別意識を全く無自覚に表しているのが、差別される側の人間という皮肉。何度も繰り返される自慢話にこちらの神経がやられそう。なんとも言えず嫌な後味だった。
★22 - コメント(0) - 2012年9月2日

サムコが語る、精神障害ゆえの他意のない暴力の力にたじろがされる。あたかも幼児が蟻の頭を一匹、一匹ともぎとってそれを眺めるような純真さに満ちた暴力。そしてまた、サムコ・ターレのいびつな視点による記述のため、彼の行動はことごとく正当化され、彼が嫌う人物の行動はすべて非難される。読者は次第に気味の悪さを感じ、彼のことを疎ましく思う。彼の姿は人種差別をし、他人を密告をして保身を図りながら自己を正当化する人々のカリカチュアのようだ。この本が書かれた当時のスロヴァキアでは、サムコの姿はどう受け取られたのだろうか。
★16 - コメント(0) - 2012年8月29日

むう
- コメント(0) - 2012年8月13日

愛おしい一冊。この語りを延々と読んでいたい。
★2 - コメント(0) - 2012年8月9日

『あまりにも騒がしい孤独』の異説かと思ったわ。サムコのばか正直でイノセンティックな語りが不気味であると同時に、その表面には出てこない共産国家の不気味さが裏書されるという仕掛け。その不気味なおかしさと、皮肉に満ちた可笑しさとが二重で語られるあたりが東欧っぽくておかしい。、フラバルだかメンツェルだかが「チェコに対してスロヴァキアはユーモア(ペーソス?)の表現が下手だ」みたいな見解してた気がするが、記憶違いだったかしらね。ともあれ、この二国の関係もまた不思議なことで。
★11 - コメント(0) - 2012年8月7日

なんともいえぬ不気味さがつきまとう一冊。
★2 - コメント(0) - 2012年7月3日

良い。
★2 - コメント(0) - 2012年7月2日

サムコ・ターレは廃品回収が出来ない雨天や荷車の修理の時期を使い二つの「墓地の書」(始めは墓地の場景。次は彼自身の半生の回想)を書き上げますが、どうも彼は「れっきとした名前のある病気」で成長不全らしい。彼は変化を厭い、反復を好むのですが(というか同じことを素で繰り返してしまうようですが)共産党政権の崩壊後のスロバキアの社会に馴染めない。新たな社会の潮流に抗うように錨の如く繰り返される決まり文句や、注目度合いと連動するのか何度も言及される同じ人物・場面などによって「国家・国民」の歪んだパノラマが展開されます。
★5 - コメント(0) - 2012年6月24日

薄暗くて陰鬱。語り手は明らかにどこかおかしい。けれど彼を取り巻く現実は、彼自身より明らかにおかしい。そのことがおかしな語り口でどんどん浮き彫りになっていく。
★1 - コメント(0) - 2012年6月14日

古紙回収人の主人公サムコ・ターレが、占い師の老人に託宣された『墓地の書』なる本を執筆するという構成の小説で、本当の作者はもちろん別にいる。社会主義崩壊&チェコスロヴァキア解体前後のグロテスクな日常が黒い笑い混じりに語られるが、語り手の性質的に、現実と虚構の支点がどこにあるのかが上手く掴めず、なにしろ不気味でいやな感じだった。他者の言葉の裏がまるで読めないサムコ・ターレは、嘘偽りのない、真正直な人間であるがゆえに、むしろおそろしく歪んでいるともいえて、この自閉的な語りが気に入るかどうかで評価が分かれそうだ。
★26 - コメント(1) - 2012年6月5日

s_i
小説を楽しむことは、書かれてある世界の論理について外側の読者である自分の論理を当てはめないことが大切なのだし、もしも語り手の論理が通用しない出来事が起きた場合ですらも、すすんで放り出されていく勇気がほしい。ただ、これを読んだぼくがこの世界を生きざるをえないかと言われると、ちょっとあやしい。
★2 - コメント(0) - 2012年5月24日

“みんながぼくを尊敬している(ほかにもいろいろ)ケフィアはとても健康にいい(ほかにもいろいろ)”、ピオネールのスカーフがぼくのだけオレンジ色っぽい…云々かんぬん。エピソードの一つ一つを振り返ってみるとそれなりに興味深く面白いのに、サムコ・ターレの何とも言えない粘着性の強い語り口に辟易すれすれ…な読み心地だった。だんだん不気味になってくると言うか、同じ場所をぐるぐる回っているような錯覚に陥りそう。黒い嗤いの中で時々ぞくっと背筋が寒くなるのは、この時代のスロヴァキアの重苦しさが滲んでいるのか…と思いつつ。
★9 - コメント(0) - 2012年5月11日

同じ事を何度も繰り返しながら道筋は欠落し、幼稚ゆえの意固地な考えとお馬鹿な論法は、読んでいていたたまれなくなってくる。しかし、純真で正直、というのがポイント。子供の頃、慕っていた博士になんでも話してほめられた、という何度も出てくるエピソードは、一見微笑ましそうだけど、共産国家の密告にほかならないという皮肉。また、オブラートに包まない彼の言動はスロヴァキア社会の本音そのままなんだよね。語り口とともに、いびつな旧社会と、急激な西欧化についていけない人々を、21世紀からだからこそ概観出来る作品。
★12 - コメント(1) - 2012年5月7日

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