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行人(Kindle版)

感想・レビュー
38

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電波時計
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ネタバレ1912~1913年(大正1~2)朝日新聞に連載された後期三部作の二作目。頭脳明晰ではあるがワガママで自己中心的な長野一郎を通して、自意識に悩む近代知識人の孤独を描く。頭脳明晰な一郎のことだから、結婚をすれば自分も妻も苦しむことは最初からわかっていたはずだ。一郎のような知識人が「結婚しない」選択をすることは、当時の日本では許されない選択だったのだろうか。漱石がもし現代に生きていたら、さしずめ人生相談おじさんとして各種メディアに引っ張りだこになりそうだ。
0255文字
linbose
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★★★★☆
0255文字
Alex
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ネタバレ頭が良すぎておかしくなりかけている学者の長男を、家族が心配する話。構成が次作の『こころ』とちょっと似ていて、ラストで苦悩する長男を旅行に連れ出してくれたH氏からの「お兄さんはこんな具合です」という報告の手紙がやたら長い。これが現代で心療内科か精神科に連れて行ったとしても、お兄さんの性格ではそもそも医者を信頼しないだろうなあ。MENSAに入ってお友達を作ったらどうだろうか、と気軽に考える私は二郎並みのお気楽人間だ。こういう男性と結婚して表面だけでも恬淡としている信さんは強い女性。この後どうなったのだろうか。
0255文字
msm
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厳しいお兄さんの心が病んでしまった話だった。個人的には嫁と上手くいかなくなったのが原因だと思う。前半の、大阪で病気の女に酒飲ませて自分も胃が悪くて入院している友達のエピソードは何だったのだろう?
0255文字
Caribou
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ネタバレもう少し読み込まないと、はっきりと言えないが、漱石の「自己本位」(『私の個人主義』)と「則天去私」が強く出た作品だと感じた。「まず絶対を意識して、それからその絶対が相対に変わる刹那を捕らえて、そこに二つの統一を見出す」(最終章48節)。しかしキリスト教徒でない漱石は、絶対者としての神を信じることは出来なかった。だから自分が絶対にならなければならない(44節)。最終章は、Hさんからの手紙で締めくくられる。『彼岸過迄』でも『こころ』でもそうだったけど、登場人物の述懐で終わらせるパターンが、漱石は好きなんだな。
0255文字
伊達者
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94年版全集で読んだ。注釈が詳しい。付録月報に注釈者のコメントがあるが,書かれた時代に立ちかえって理解することが重要。なるほどそのとおりで,現代と大きく変わった家族環境が舞台。三世代に主人公の当主の弟妹まで同居する大家族。加えて長野家は学問と財力のある裕福な特権階級。ミステリー作家としての漱石の腕が光る。で,真実はどうだったんだと知りたいのに分らないままのシーンの数々。そして心が病んでいる漱石が書く物語。女を恐れる漱石が創ったお直は,夫一郎も語り手の義弟二郎も翻弄する実は強い女性。青白い頬に片えくぼ。
0255文字
ぺこら
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インテリの不幸。 自らの理知に苦しむ一郎を助けようとするのは非凡を平凡にしてしまうことか。 宗教観(おそらくは漱石自身の)が興味深い。
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r_ngsw
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なんとなくわかってきた。夏目漱石の終わり方。「え?!ここで?」的な。そして結論は出ない。示唆もない。チョーモヤモヤする。これが狙いなのかよくわかりませんが…モヤモヤモヤ〜〜 先生に聞いてみたい。
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雨滴
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ネタバレ再読が終わりました。 初めて読んだ時は、最後の手紙で一郎の内省を知った時、息が上がるような衝撃を感じました。 再読ではそれは無く、かなり落ち着いて読みました。 それでもやはり、一郎に幸福になって欲しいという気持ちは以前と同様沸きました。 しかし、幸福になれない一郎だから私は再読したくなるし、一郎という人物が好きなんだとも思います。 しんどいという言葉に尽きます。
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Tai
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Kindleで94%まできて、ドーンと背中を突き飛ばされた感覚!人から人へ掛け渡す橋はない。美的にも智的にも乃至倫理的にも自分ほど進んでいない世の中を忌む。神でも仏でも何でも自分以外に権威のあるものを建立するのが嫌い。それではニイチェのような自我を主張するのかというとそうでもないのです。 「神は自己だ」と兄さんが云う。私の理解する兄さんもまたあなた方の理解する兄さんではありますまい。違った角度から、同じ人を見て別様の反射を受けたところにある。兄さんは甲でも乙でも構わないという鈍なところを持てない。
0255文字
beer98
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ネタバレ★★★★★「行人」とは旅人のこと。「それから」「門」の流れから、主人公・二郎と嫂(あによめ)との不倫になりそうな展開を勝手に予想してしまい、ドキドキハラハラ。一方で、そうなると、そこそこ好きで、なんだか精神的な病が感じられる兄・一郎との関係や、それを取り巻く家族関係が泥沼化しそうで、こちらも胸が痛い。そんな流れを踏みながら、兄のつらい心の内がだんだんと紐解けてきて、安心の終結へ。
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うぬ山
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ネタバレ兄の陰気な感じが「こころ」のKを彷彿とさせた。人物の心理描写が巧み。兄は聡明だったが、人を愛するという当たり前の事は知らなかった。兄にとって最大の不幸だと思う。漱石の書く厭世的な雰囲気がいい。
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村雨春陽
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ネタバレ「重箱」が解かっていないと駄目だと書きました。それから「親切」と「言う必要がないからさ」も解かっていないといけないでしょう。それと最初はまるで仕事がないみたいにのんきな旅行をする二郎に職があったり、子供が留守番させられたりと、伏せていて明らかになることを拾っていくと、最後には二郎と兄嫁が元どういう知り合いだったのか、という書かれていない部分が残ります。そこにこうではないかという解釈ができれば一応この『行人』を読んだということになるかと思います。車夫の提灯には彼女の里方の定紋が付いていた、ということは…。
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SOHSA
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《kindle》登場人物それぞれの心理が巧みに描かれ、読み手は語られるその時どきにそれぞれの登場人物に感情移入してしまう。主人公二郎は勿論のこと、兄一郎、嫂、妹、三沢、誰もが他とは交わらない独立した人格として作者はそれを見事に描き切っている。読んでいるうちに誰を主人公としているのか解らなくなるほどだ。物語は何度も大きく流転し読み手を翻弄し、特にラストのHからの手紙によって明かされる兄一郎の苦悩は読み手をすっかり呑み込んでしまう。行人、まさに行人だ。
0255文字
tsu55
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お兄さん、頭が良すぎて考え過ぎ。少しは周りの迷惑を考えて。
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sacuran
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終盤は、兄さんの気持ちがあまりにもよく分かるのでしんどくなってしまい、読み進めるのに時間がかかった。私は漱石や「兄さん」のように聡明な人間ではないが、こんなに辛くなるほどしっくりくる言葉を与えてもらったおかげで、私だけではないのだと、悲しいながらも心強い気持ちにさせられた。今はちょっと冷静に受け止められないので、また改めて読み直そうと思う。
0255文字
subuta
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ネタバレ主人公が周りに影響を与えているようで実は与えていない、傍観者のような役回りだった。
0255文字
0910
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2018/13》兄嫁を巡る兄と弟の三角関係の話?と思いきや、聡明すぎるお兄さんの孤独、苦悩、生きる苦しみを描いた話だった。この小説を読んでいる時に昔読んだ「こころ」を思い出していた。
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鱒子
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kindle本。主人公二郎の兄、一郎は神経症ですね。考えすぎて悪いループに陥っています。とりあえず、自転車に乗るなどの運動をオススメしたいです。 胃が悪い三沢、友人に親切なHさん、心配性のようで楽観的な二郎、孤高の人一郎。みんな漱石自身の一面を持っているように見えます。後半になると一郎の苦悩が大きすぎて、前半の山場?である兄嫁との旅行シーンとかを忘れちゃってました(^◇^;)
鱒子

「行人」は「コウジン」と読むのだそうです。「ギョウジン」だと思ってました(^◇^;)

07/17 07:59
0255文字
かもめ通信
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生誕150周年記念読書会に参加すべく、苦手の漱石を読んでみたのだが……やっぱり、苦手だったな。。。。というか、“愛して欲しかったら、まず自分から愛さなければ”って、だれか兄さんに教えてあげてよ!!
かもめ通信

比較的真面目に書いた長文レビューはこちら。 http://www.honzuki.jp/book/240629/review/174100/

05/09 19:48
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かのこ
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ようやく読めました。漱石の世界は深いです。淡々と過ぎれば楽なように思うのですが、言葉ひとつ取ってもそれぞれ意味が微妙に違うものです。その使い分けに考えさせられました。
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カンジ
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嫂との旅行のところをドキドキして読みました。それはともかく、語彙が凄いです。また、読者にとって既知のことがらを、日常の知覚領野の限界をあっさりと超えながら共有しつつ、その知覚を介してさながら全てを読み取る嫂。その心が全然わからぬ自分。この極端さが綾をつけているのか・・・夏目漱石凄い。
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teddy11015544
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人物だけを造形して、物語としてはあまり何も回収させない。けれどそれだけで個々の人物から立ち上がってくるエネルギーがすごくて、良いですね。
0255文字
うちこ
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これだけの要素を盛り込みながら、飽きずに読ませるエンターテインメント性も含めて構成力ではベスト盤のような作品。人間関係のなかでの区別感情とエネルギーの優位性が細かく描かれる度合いは、「こころ」を超える精密さ。これを「影を踏んで力んでいるような哲学」と表現するなんて、天才すぎる。女性のそれぞれのキャラ設定が巧妙で、そのうえで妻の「妾(あたし)はすでに死んでいる」とでも言わんばかりの境地を描く対比もすごい。 「三四郎の広田先生を、社会の体裁を重視して無理矢理結婚させるときっとこうなる」みたいな話にも見えた。
0255文字
Toto
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漱石の結論はいつも先進的な答えだな。聖書も読んでみるかな。 一番ハッとさせられたのが↓ 『あなた方は兄さんが傍のものを不愉快にすると云って、気の毒な兄さんに多少非難の意味を持たせているようですが、自分が幸福でないものに、他を幸福にする力があるはずがありません』
0255文字
ががが
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ネタバレ「兄」からの兄嫁をめぐっての兄との対立や疑惑などを中心に家族模様が細かく細かく語られるのに引き込まれた。読んでいくうちに兄の学者的性格が印象に残って、最後の手紙から半狂乱になった兄の姿を想像して考え抜いた先の救えそうにない結末が余韻に強く残った。時々自分で自分がめんどくさいなと思うことがある人には兄の精神状態に深く共感できるのではないかと思う。幸福であることと幸福について考えることはまったくもって異なる。
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晴歩雨読
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前半の展開はイマイチだったが、後半の家族とのやりとり、特に兄との確執、猜疑心、疑心暗鬼など二人の心理的な変化の展開は読み応えがあった。読了時の余韻や読後感がなんとも言えないいい。
0255文字
HOME
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読了:〇
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DEN2RO
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「友達」「兄」「帰ってから」「塵労」の4章から成ります。語り手の二郎と兄の一郎との葛藤が主題のように展開しますが、後半になると一郎の生きる苦しさが全面に描き出されます。すべて当人の言葉とまわりの人間の観察によるものばかりです。物語よりも主題に偏りすぎた嫌いがあります。
0255文字
serene
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自分に厳しく、軽薄を憎み、孤高の道を行く人は、胸の隙間を埋め、心に安らぎを得るため、ひたすらに「絶対」となる自己を求める。 しかし彼のいう「絶対即相対」となり得る人などいるのかな。 意識した途端にうまく呼吸できなくなるようなものではないのかな。 自身を満たすのも虚しくするのも自分であることを、明晰な一郎はわかっているであろうに、あたかも苦しむために求めつづける。 そこに矛盾があり、彼の不幸がある。 月をほしがる頑是ない幼児のような、その切実さが痛々しい。
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けろあっく
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憂き世の偽牢獄
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ひらくも
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後期三部作二作目。青空文庫をスマホにて読了。現代知識人の苦悩。嫂の本心は最後まで分からない。一郎が二郎のことをどう思っているかも結局わからない。聡明すぎる一郎のような人物は狂気じみてはいるが、自分も周りにも近い人間はいないこともない気がする。気を違えるか、死ぬか、宗教に走るかしないと思索の苦しみからは解放されない。
0255文字
ダイキ
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一郎にすごく共感しました。私は彼みたいに賢くなんてありませんけどね。 後期三部作の中では一番好きです。
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行人評価62感想・レビュー38