拡張幻想 (年刊日本SF傑作選)の半殻肝さんの感想

全体的に「震災」「小松左京氏」「伊藤計劃氏」がキーワードの作品が多く、ネタ元を読んでないと…というものが多いのが難なのだけれども、今回もどっぷりのめり込んだ。インプラントによる感情の操作、それを巡る男女のしがらみ愛憎こもごもを切れ味鋭く描く、イーガン的であり、また伊藤計劃氏の『ハーモニー』へのこの上ないオマージュである「美亜羽へ贈る拳銃(伴名練)」、一見さんお断りの重量級量子SFながら結構エンタメしていて喰い応え十分な「すべての夢│果てる地で(理山貞二)」の二編が、今後への期待値込みで超フェイバリット。
★9 - コメント(2) - 2012年8月30日
半殻肝
状況と展開が何ともギャグじみている「黒い方程式」、ネタを贅沢に散りばめたバカミス「超動く家」、共に思わず苦笑い。某作品をオマージュしつつ、SFネタもオチもいい塩梅に噛み合った「イン・ザ・ジェリーボール」。異形への愛が引き起こすホラー的結末で思わず海野十三の「生きている腸」が浮かんだ「フランケン・ふらん-Octopus」。マッスン「旅人の憩い」や小林泰三「海を見る人」に連なる、時間の流れの差異を描いた「ふるさとは時遠く」。抑制された雰囲気の中、背後にある設定を浮かばせる構成が素晴らしい「結婚前夜」。
★1 - 09/01 00:11

半殻肝
神林氏、円城氏の作品は、共に本作収録以前に何度読み返したかわからないくらい夢中になったので、あえてノーコメント。
- 09/01 00:11


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