玩具修理者のymatzさんの感想

表題作および『酔歩する男』が収録されている。奇妙に心地いいスプラッタな描写もあるけど、いずれもホラーというよりSFな印象。ストーリーを支えているのは「生物とは何か」「時間とは何か」「意識とは何か」といった問題で、王道的だな、という感想をもった。目新しさは少ないような気もするけど、こういうことを物語に織り上げることができるのは、稀な力かもしれない。『酔歩』の結末に至る最後の十数ページ、主人公が混乱していく描写には、いい味があると思う。ここでフィクションと現実が意識の中で融け合い、恐怖になる。
★7 - コメント(0) - 2013年2月25日

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389冊/94448ページ/男性/専門職

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