アンドロギュノスの裔 (渡辺温全集)のwassermusikさんの感想

早世作家の1924~30年までの全集。病身の少女か蓮っ葉な街娼に憧れを抱く大人になり切れぬ青年達が都会の片隅で動き回る物語は、遠い国の夢世界の様で愛らしく哀しげだ。日本的湿度を感じさせない端整な文体は現代的であり、古めかしい言葉、漢字、ルビなどが反って新鮮に思われる。旧かな文字で読んだらどうなのか。粗筋よりも転換の速度と意外な結末への疾走感が面白い。好きな作品、『少女』恋する少女と似た少女を別人だと思う心理の妙。『嘘』嘘の物語かどうかは読者に委ねられる。『浪漫趣味者として』ロマンティストと恋の両立し難さ。
★26 - コメント(0) - 2014年6月29日

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