日本海軍と政治の電羊齋さんの感想

「軍人は政治に関わらず」を信条としていた海軍。だが、海軍が主観的には「管掌範囲」(役割分担)内の事のみを処理しているつもりが、実は知らず知らずのうちに政治決定に大きな影響を及ぼしていたという著者の指摘は眼から鱗だった。そして「軍人は政治に関わらず」という棲み分け意識と「管掌範囲」を重視する官僚的意識ゆえに、海軍に政治的決定を牽引する役割が期待された局面(太平洋戦争の開戦・終戦時など)においても、海軍は自らの任務の殻に閉じこもり、大きな混乱を招いたと指摘する。政治と軍事の関係について考えさせられる一冊。
★9 - コメント(1) - 2016年1月18日
電羊齋
それでも、政府・軍部内の各組織に対し、大方針を示し、利害を調整し、これらを束ねる存在があればよかった。だが、帝国憲法下の体制に決定的に欠けていたのはまさしくそれだった。本書ではその点についても強調されている。こうした各組織の官僚的意識がやがて日本をミスリードし、滅亡へと追いやったということか。 「合成の誤謬」という言葉を連想。
- 03/21 19:20


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268冊/57481ページ/男性/43/その他

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