若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐすの苦虫さんの感想

なんのスキルも知識ももたない若者が入社できてしまう不思議の国の幸福な?ニッポン。世界は仕事のスキルを身に付けさせてから就職へ挑ませるのが雇用政策のスタンダード。著者は、仕事ありきの「ジョブ型」/際限ない命令に従う「メンバーシップ型」雇用の名付け親とのこと。何度かジョブ型雇用実現の変化を見せようとする日本の政策も辿ることができる。またこのメンバーシップ型雇用がブラック企業の根源にもなっている。現行正社員のダウンシフト、一般職のジェンダーレス化、非正規雇用の正社員化がジョブ型正社員を実現させる3つのルートだ。
★12 - コメント(5) - 2016年5月17日
苦虫
キャリア教育」というのは奇妙な言葉です。90年代末出発点のまではほとんど使われることのなかった概念なのに、2000年代には急速に教育政策の中で重要な位置を占めるようになり、中学、高校から大学にいたるまで、キャリア教育が花盛りです。/
- 08/21 00:31

苦虫
かつて終戦直後の日本には、そういう一般的な職業意識教育が中学生の必修科目として置かれていたこともあるのです。~当時の文部省検定済「職業指導」教科書を見ると、「われらの進路」「職業の研究」といった導入から始まって、さまざまな産業の様々な職業について一つ一つ概観していき、さらに後半では「労働運動」や「労働保護」といったことまでしっかりと教えようとしていたことがわかります。/そのもっとも典型的な例が、これは近年よく指摘されることですが、学校のキャリア教育で、正社員として就職(「入社」)できれば生涯年収はこれだけ
- 08/21 00:32

苦虫
たくさんもらえるけれど、非正規労働者などになったら、こんなに少ないぞ、と生徒や学生を脅かし、何が何でも正社員として就職しなければならないという思いに駆り立てるようなことが行われるという事態でしょう。/~結局若者雇用政策に王道なし、職業教育訓練によって技能を身につけ、採用されやする以外にうまいやり方はない、ということを学んだのです。
- 08/21 00:33

苦虫
左派的なリベラリズムと市場原理的なネオリベラリズムが日本社会批判という文脈で奇妙な共鳴現象を起こしたということができるかもしれません。その結果、西欧諸国であればネオリベラリズムに対する強固な批判勢力になったはずの本来なら社会民主主義的立場からの抵抗がほとんどないまま、「会社に頼らずもっと強い人間になって市場でバリバリやっていく生き方がいいんだ」という強い個人型のガンバリズムが、あたかも「会社人間」や「社畜」という否定すべきモデルからの希望あふれる脱出口であるかのイメージが世間で一般化し、とりわけマスコミで
- 08/21 00:33

苦虫
/ジョブ型正社員というモデルをいささかの誤解を恐れずに近似的に表現するならば、それは男性も女性もデフォルトで一般職になれるようにしようよ、ということになるのではないでしょうか。
- 08/21 00:33


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