虹の歯ブラシ 上木らいち発散のふじさんさんの感想

「上木らいちシリーズ」第二弾。衝撃的なデビューを飾った前作から如何に発展させてくるかと若干ハードルを上げて挑んだが、これは良い意味で予測の斜め上を行かれてしまった。個々の短篇を苦笑とともに読み終えた後、満を持して迎えた「上木らいち自身の謎」に係る解決篇は圧巻。見る間に発散し、単一のイメージに規定される事を厭うかのような「上木らいち」の振舞は、逆説的ながら彼女の奔放な人格を見事に表現していた。多重解決の愉しみは勿論、その趣向によって捉え所のないヒロインを紙面にありありと描き出してみせた、極めて前衛的な一冊。
★9 - コメント(0) - 2016年7月22日

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