読書メーター KADOKAWA Group

さとうしん
さんの感想・レビュー

さとうしん
新着
中島敦の作品を取っ掛かりにした中国歴史短編集だが、私が印象に残ったのは竹簡が重要な役割を果たす「法家孤憤」と「父司馬遷」の二編。巻末の著者解題と併せ読むと面白さが倍増する。「法家孤憤」は、主役の京科あるいは荊軻の立場が、秦簡が出たことで知られる雲夢睡虎地秦墓の被葬者とも重なる。「父司馬遷」の解題で、司馬遷は『史記』において「話を盛る」という行為をしていたのではないかという想定はなかなか面白い。著者がどこまで今の中国古代史研究を踏まえたうえで書かれたのかはわからないが、なかなかのセンスを感じる。
さとうしん

「法家孤憤」の主役・京科の名前は荊軻と同音という設定。確かに現代音では同音となるが、『漢字古音手冊』(増訂本)によると、「京」の上古音は見紐陽部、「荊」は見紐耕部、「科」と「軻」はともに渓紐歌部となるとのこと。まあ音通が可能な範囲かなと。

12/30 12:18
  • テディ
  • 扉のこちら側
  • しんごろ
さとうしん

ただ、中国には「本能寺の変の謎」のような歴史ミステリーは存在しないのではないかということだが、靖難の変で死んだとされている明の建文帝が実は生きていたのではないかとか、宋の太祖は太宗に殺害されたのではないかとか、中国にもいくつか存在する。

12/30 12:21
  • テディ
  • 扉のこちら側
  • しんごろ
0255文字
全2件中 1-2 件を表示

さとうしん
さんの最近の感想・レビュー

史学の近代中国  顧頡剛と胡適・傅斯年の思想と行動

史学の近代中国  顧頡剛と胡適・傅斯年の思想と行動

竹元 規人
第2章で議論されている胡適と顧頡剛が崔述を「再発見」したことと顧のいわゆる加上…続きを読む
歴史のなかの貨幣 銅銭がつないだ東アジア (岩波新書 新赤版 2057)

歴史のなかの貨幣 銅銭がつないだ東アジア (岩波新書 新赤版 2057)

黒田 明伸
貨幣が必ずしも額面通りの価値で流通しなかった時代の話。中国銭が中国本土や日本以…続きを読む
『史記』はいかにして編まれたか: 蘇秦・張儀・孟嘗君列伝の成立 (プリミエ・コレクション 135)

『史記』はいかにして編まれたか: 蘇秦・張儀・孟嘗君列伝の成立 (プリミエ・コレクション 135)

斎藤 賢
蘇秦列伝、孟嘗君列伝、張儀列伝の分析を通して、蘇秦・張儀と合従連衡策が結びつけ…続きを読む
古代マケドニア全史 フィリッポスとアレクサンドロスの王国 (講談社選書メチエ)

古代マケドニア全史 フィリッポスとアレクサンドロスの王国 (講談社選書メチエ)

澤田 典子
アレクサンドロス大王以前の状況と、大王の死後の状況をまとめる。マケドニア史には…続きを読む
東南アジアの華人廟と文化交渉 (関西大学東西学術研究所研究叢刊60)

東南アジアの華人廟と文化交渉 (関西大学東西学術研究所研究叢刊60)

二階堂 善弘
フィリピンの廟でサント・ニーニョ(聖嬰=少年イエス)が玉皇三太子として祀られて…続きを読む
古代中国の裏社会: 伝説の任侠と路地裏の物語 (1078)

古代中国の裏社会: 伝説の任侠と路地裏の物語 (1078)

柿沼 陽平
『史記』游侠列伝で取り上げられている侠客・郭解の半生をたどりつつ当時の文化や社…続きを読む

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/01/19(4088日経過)
記録初日
2014/01/19(4088日経過)
読んだ本
1679冊(1日平均0.41冊)
読んだページ
484999ページ(1日平均118ページ)
感想・レビュー
1474件(投稿率87.8%)
本棚
8棚
性別
外部サイト
URL/ブログ
http://blog.goo.ne.jp/xizhou257/
自己紹介

歴史関係の本を主に読んでます。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう