アンドロギュノスの裔 (渡辺温全集)のれどれさんの感想

人物の取り違えとくくれてしまえそうな設定の妙の数々は、たんなる物語上の楽しい楽しいミステリ的な仕掛けなんかでなく、渡辺温という作家がいかに人間界を感知していたかに描出の糸口を見い出せそうで、その視野視力に勝手ながら親しみを覚える。そのつもりで読めば風景ときたらやたら小気味よくさくさく書き捨てるのに人物のほうは名状模様がどうにもクリアーでなく陰湿だ。IDの希薄な人影たち。こういうの読みたかった。もっと読みたかった。
★6 - コメント(0) - 1月5日

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96冊/26801ページ/男性/31

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