iのけいさんの感想

読了後、私はこの作品を、著者の圧倒的なパワーで描かれた自己肯定の物語、と捉えた。世界中で起こっている事故や悲劇を恐れ、自分はそれらから免れ、生きてきた。己の恵まれた、与えられた幸福を恥じてきた。愛する男性と出逢い、自分の血を分けた子どもを産み、自分をこの世界に存在させてくれる揺るぎのない理由が欲しい。「この世界にアイは存在しません。」この言葉にとらわれてしまったアイの物語。西さんにしか描けない世界、しばし脱力感を覚えるほどのパワーだった。
★57 - コメント(0) - 1月9日

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361冊/106015ページ/300レビュー/女性/事務系

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