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小暮写眞館で、宮部みゆきさんを撮る

模倣犯
トピック

KAKAPO
2016/04/17 08:24

 噂の通り、とんでもなく酷い物語。フィクションだということが分かりきっているのに、こんなにも先を知りたくなるってどういうことだろう?ページを捲る手が止められず、物語の中のパズル(事実関係)を(まるで刑事のように)必死に組み立てようとしている自分がいた。登場人物達が、主犯に翻弄されるように、私も著者に翻弄され蹂躙されていた。『模倣犯』は、まるで、現実の闇だけを濃縮した奈落のようだ。

 とても辛かったが、読んで良かった。週刊ポストの連載だったらしいが、こんな大作を連載で破綻なく書けるなんて凄すぎる。下巻は、上巻で配置された伏線から良い意味でも悪い意味でも予想を裏切る展開が繰り広げられる。

 「親の因果が子に報う」ではないけれども、親の不幸が子の人格を歪め、関係のない人達をも巻き込んで不幸の連鎖が巻き起こるという救いのない物語だ。そして登場人物の中に巣くう闇は、読者の心の闇を無意識の中から呼び起こし、意識の中に描きだす。そして、読者の現実にすら暗い影をもたらし、物語との境界を曖昧にしてゆく。

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