1991年刊行の『返事はいらない』は、著者にとって二冊目の短編集。当時の社会問題をミステリーに仕立てたと思われる話は、ロマンチックな面が微笑ましいが、リアリティが足らない感じである。
お薦めするポイントは少ないが、最後の『私はついてない』で、主人公が浪費家の逸美姉さんを嫌いになれない理由を「逸美姉さんは、確かに軽いし、無責任でミーハーで浪費家だけど…自分に起こる良くないことを、他人のせいにして、被害者願いをすることだけはないから。」と思うくだりに、宮部みゆきさんの作品達の根底を流れる人生観が現れていて面白い。
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