アマゾンのカスタマーレビューで評価が低かったので、手に入れるのにも読み始めるのにも躊躇したが、ドラマの始まりを機会に読み始めたら、人の評価なんて気にしちゃいけないと思った。やっぱり、宮部みゆきさんは、凄い。並みの作家さんとは格が違う。
人の中にある様々な意識、そして無意識は、その人の生い立ちに逆らえない。それは、杉村三郎も、例外ではない。この作品も、出版社にも、読者にも全く媚びている感じがしない。「分かる人には分かるはずだ、分かる人は、これを読んで、内省してくれるはずだ。」という強い信念を感じる。良かった。
ドラマは、原作とは、ずいぶん違う解釈だと思った。宮部みゆきさんが描いた菜穂子の心情、彼女が、嫉妬していたのは、間野さんではなく、杉村さんを突き動かすものだと思うからだ。彼は、きっと、摸倣犯の滋子であり、延いては、宮部みゆきさんご自身なのではないかと思う。そこに、謎があれば、放置することができず、何かに取りつかれたように真相を追い求めてしまうのだと思う。私が、個人的に原作のクライマックスだと考えている、杉村さんと彼の夕星姫の話がカットされていたのも残念だった。
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