『陰の季節、動機、顔FACE、深追い、第三の時効、影踏み』と横山さんの短編を読んできたが、私は、この短編集が一番好きだ。中でも、自分にもたらされた不幸を盾に、誠実さを失い欲に走ったために地金を見極められてしまうという『自伝』は、名作だと思う。
不可抗力によってもたらされる事件、自分の不注意が原因で起こる事故、いずれも見ようとしなければ見えないし、隠そうとすればするほど大きくなる可能性を持っている。また、誰もが自分の不幸には敏感だが、自分の幸運には鈍感であり、陰で悔しがっている人に気がつかないものである。
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