読みながら確信した'85年夏に発生した日航ジャンボ機墜落事故は、横山さんが上毛新聞の記者時代に体験した事ではないかと…短編の名手、刑事物ではない警察小説というジャンルを創り出したと評されることが多いが、やはり横山さんが描く新聞制作の現場はリアリティが桁違いだった。
ぜい肉をそぎ落とす記者の文章力が遺憾なく発揮された長編は、正に一時も息をつく暇もない衝立への挑戦の様で、普通の小説がハイキングだと感じられる。何度も何度も落ち、そのたびに落ちた所からよじ登る。庇を超えた後には雲が浮かんだ青い空が広がっていた。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます