ドクターK(仮)

ドクターK(仮)さんの2月の読書メーター
記録初日
2012年11月05日
経過日数
1600日
読んだ本
388冊(1日平均0.2冊)
読んだページ
107391ページ(1日平均57ページ)
感想/レビュー
294件(投稿率75.8%)
本棚
1棚
性別
年齢
27歳
自己紹介
しがない俸給生活者。色々読みます。

読書グラフ

最近の感想・レビュー(294件)

福田恆存というと、戦後の「進歩的知識人」たちに真っ向から対峙した保守派(場合によっては「保守反動」)の知識人というイメージがある。しかし、それは福田自身がもっとも嫌った「レッテル貼り」のイメージに過ぎないと、本書を読んで確信した。自己の中に宿る俗人を見出して苦悩する夏目漱石や、自己を直接告白するのではなく、比喩による純情の暗示に可能性を見た芥川龍之介など、福田による作家論は、文豪たちの持つ最も本質的な部分を読者に提示してくれる。その手並の鮮やかと核心を突く洞察力に、編者同様目が醒めるほどの驚きを覚えた。
- コメント(0) - 3月23日

収容所における俘虜たちの言動はエゴイズムに基づく阿諛に満ちており、人間社会、とりわけ戦後日本のグロテスクな光景を暗示している。ある者は徒党を組み、ある者は既得権にしがみつく。彼らの「政治活動」ははたから見ればくだらなく、滑稽でもあるが、これと同様の活動を、我々は学校や会社といったあらゆる組織で日々繰り広げている。人間の悲しい性を痛感し、著者自身とともに、自己を省みずにはいられなくなってくる。
★4 - コメント(0) - 3月16日

本書を読んでみて私は面食らった。戦争の生々しく悲惨な描写にではない(そんなものははじめから予想していた)。極限状態に置かれながら、妙に明晰で冷めた視点を持っている主人公の心理と、残酷でありながらも神秘的に描かれるフィリピンの戦場の光景にである。戦争ものの作品というと、ことさらその悲惨さを強調したり、お涙頂戴的なストーリーに持っていこうとするものも多いが、この作品はそうした方向性には走らない。その淡々とした筆致がかえって、読者に戦場の地獄を思い知らせる。
★11 - コメント(1) - 3月8日

本書を読んで感じるのは、福田恆存の徹底した自己省察の精神である。一段高いところから勝手なことを述べ立てるのではなく、その批評の対象は時に自分自身にも向かう。冒頭の「俗物論」には、特にそうした姿勢が現れている。それだけに、自己を省みることを忘れ、自己欺瞞や自己正当化にせっせと励む「進歩的知識人」たちの態度に、福田は憤懣やるかたない思いを抱いていたのだろう。また、福田の批判の矛先は、「個人」を忘れた非人間的な「国家」を論ずる保守派にも向かっており、(思想の左右を問わず)読み手に反省を促している。
★4 - コメント(0) - 3月4日

世間に一切迎合せず、自分の理想とする「笑い」の形をひたすら追い求める神谷は、そういう求道者的人間に特有の、エキセントリックな魅力とある種の危うさを全身から放っている。一方の徳永も、世間に染まり切ることができない点は神谷と共通しているが、神谷には欠けている「常識感覚」を持っているが故に苦悩している。この2人の会話はそれ自体が漫才のように笑い所満載だが、同時に悲哀も感じさせる。それでいて、なぜか読んでいてあたたかい気持ちにもなってしまう。作者の人となりが余すところなく作品に反映されている気がした。
★42 - コメント(0) - 3月3日

売春婦やポン引き、麻薬密売人など、一般に不道徳とされている職業を、リバタリアニズムの理論に基づき徹底的に擁護する。市場経済は万能であり、国家は全くの無能であるという前提が仮に成り立つのなら、著者(あるいは訳者)の主張は論理的には正当化できるのだろう。しかし、それはあくまでも「論理上」の話であり、人々が抱いている一般的な倫理や道徳とは対立してしまう。そこにあえて挑戦するのが本書の肝だということは十分承知しているが、それでも日常生活に染み付いた道徳感情を根底から覆すのは、なかなか難しいのではないだろうか。
★3 - コメント(0) - 2月28日

「意識高い系」を単純に批判する言説は数多いが、本書は「意識高い系」が生まれるに至った要因やその行動原理を、自身の経験も踏まえながら分析した点で斬新だ。曰く、「意識高い系」とは、スクールカーストの中途階級に位置していたことや、親族からの土地相続を見込めないといった点から、自分より高次の存在(リア充)に対する劣等感を過剰に抱いてきた階層のことを指し、その階層を逆転させるような下克上を夢見る心情があるという。こうした心情は私自身にも宿っており、それゆえ「意識高い系」を他人事として笑うことはできないと感じた。
★5 - コメント(0) - 2月26日

「分析から直覚に行く道はない。でも、直覚から分析に行く道はあるんです。」(p.86)、「ある対象を向こうへ離して、こちらで観察するのは考えることではない。対象と私とがある親密な関係に入り込むことが、考えることなのです。」(p.128)こういった小林秀雄の言葉は、近代的なものの見方や考え方にどっぷりと浸かっている我々からすると、思いもよらないもののように感じる。それでいて妙に得心がいくのは、我々の中に、近代以前の時代から脈々と受け継がれている人間の本質的な部分が、まだかろうじて残っているからなのだろう。
★5 - コメント(0) - 2月24日

ドクターK(仮)さんの感想・レビュー

著者グラフ

最近読んだ著者:福田恆存,浜崎洋介 大岡昇平 又吉直樹 ウォルター・ブロック 古谷経衡 小林秀雄 三島由紀夫 西部邁 安藤達朗 東谷暁
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