文学、SF、サスペンスなど様々なジャンルを混ぜ込んでフランス映画のテンポ感で描いたような、今までに読んだことのない味わいの小説だった。教養に富んだ著者の皮肉のこもった文章と、見下ろされる群衆、そこに哲学が引用され、「エスプリ」が効いたエンタメ作品。登場人物が多いので、場面が転換し、覚えられてない人物が出てくるたび、物語にすんなりと戻れなくなることがしばしばあった。後半にさしかかってようやく、事件が起きていたこと、その全貌が描かれるので、何が起きたのかを知りたくて物語にのめりこむことができた。

個々の家庭が抱える家事の問題点、近世以降の家事の歴史的変遷、そして家事論からケア論へと展開していく。家事が論考の中心ではあるが、定義されている「ケア」の範囲は広く、確かに考えてみたらそれらは新自由主義の効率化の中で全て犠牲になっているという気づきがあった。現在の社会システムの中に大前提として、「環境としての無償のケア労働」が組み込まれているということに限界がきている。ケアをする立場の人が抱くことがある虚無感は決して個人レベルの気持ちの問題でない。家事についてを網羅的にまとめた素晴らしい本だった。

chatter=ネガティブ思考が頭を駆け巡り、ループから抜け出せなくなること。すぐ傷つくし、それが頭をぐるぐるしやすいので是非読まねばと購入。対応策はどれもなんとなく身近で、心理学実験で効果が証明されていく。ただ、信頼の根拠になるとはいえ、実験の細かいパートはかえって少し読みにくく、結局対応策として何すればいいのかを見失ってしまうこともあった。そのためか、巻末に対応策だけをまとめた項があるので、困った時にはこの部分を開けばいいように構成されている。いくつか取り入れたいものが見つかったので収穫は大きかった。

子供向けの本のように見えるが、大人でも「差別とはどういうものとして定義されているか」という基本的なことから学ぶことができる。「無意識に他者を傷つけることを避けたい」と思って手に取ったが(怒られること覚悟で)、むしろ自分自身の心の底にずっと、解決できずにとどまり続けていた「もやもや」が実は自分が受けてきた差別であったと気付かされ、目から鱗が落ちた。他者を傷つけない言動をするということは、他者を尊重し向き合うということであり、それは聞く姿勢や選ぶ言葉を求められるし、エネルギーが必要だと改めて強く感じた。

文学、SF、サスペンスなど様々なジャンルを混ぜ込んでフランス映画のテンポ感で描いたような、今までに読んだことのない味わいの小説だった。教養に富んだ著者の皮肉のこもった文章と、見下ろされる群衆、そこに哲学が引用され、「エスプリ」が効いたエンタメ作品。登場人物が多いので、場面が転換し、覚えられてない人物が出てくるたび、物語にすんなりと戻れなくなることがしばしばあった。後半にさしかかってようやく、事件が起きていたこと、その全貌が描かれるので、何が起きたのかを知りたくて物語にのめりこむことができた。