街から街へ、賑やかに朝は手渡されていく。下を歩く猫と少し話す。新しく知り合う人がいて、だんだんと疎遠になっていく人がいる。
「誰かが呼んでいる」と考えていた遠い私は、呼ばれる瞬間などというものがないことを、まだ理解していなかった。「美しい調べ」を、自分を呼び乞う音と錯覚し、非実在のものだった呼び鈴の音を補填していた。彼のこのような失敗には理由がある。生きているうちに偶会する「美しい調べ」は、ごくわずか空気中に存在するのみで、決して光のようにありふれたものではなかったからだ。
しかし、耳鳴りが止まない。私を駆り立てる、あの赤い音。煙を纏って税関の目を潜り抜け、不幸を密輸する私を警告する、あの音。気づいたら呼ばれていて、その声は次みたいな声を出している声のようで縁側に垂らした風鈴、の畳の上で僕が眠る枕がないのを意に介さず痕がつくのを意に介さずあのころのひろいにわでガイデンのこわれていくおとのなみもようがしるされる
オニサンコチラ、テノナルホウヘ。
☆神からの警告☆
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