むかしむかし、まだお金というものが発明されない前の時代に、キャドベリーという雄のビーバーが、自分の歯と足で築きあげた貧弱なダムの中に住み、藪や、樹木や、そのほかの植物をかじり倒すのとひきかえに、何色かのポーカー・チップを稼いでいた。彼は青のポーカー・チップがいちばん好きだったが、これは非常に大規模なかじり仕事の支払いに使われるもので、めったに手にはいらなかった。長年働いてきても、そんなチップは三枚しか持っていない。しかし、この世の中にもっとたくさんのそれが存在することは、推論によって知っていたから、ときどきは一日のかじり仕事の合い間に、インスタント・コーヒーを自分でいれては、青も含めてすべての色のチップのことを瞑想するのだった。
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