ドン•マルロー

ドン•マルローさんの2月の読書メーター
記録初日
2015年11月01日
経過日数
512日
読んだ本
252冊(1日平均0.49冊)
読んだページ
83739ページ(1日平均163ページ)
感想/レビュー
201件(投稿率79.8%)
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性別
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読書グラフ

最近の感想・レビュー(201件)

騎士団長の死により円環は閉ざされ、全ては確実に復してゆく。小田原高原での暮らしも、免色の真っ白な髪も、不可思議な日本画もやがて夢とも現実ともつかぬ遠い日々の記憶となってゆくのだろう。それらとの決別に仄かな悲しみと切なさを感じずにはおかなかった。それは読書空間が現前する一個の共同体となって私の心に作用した証左であろう。それは作家の円熟を示すものかもしれない。しかし私はゲーテのファウストからの引用文で本書への想いを一文で簡潔に表したいと思う。ーー悪趣味な者に技術が結びつくと、これほど恐ろしい芸術の敵はいない。
★20 - コメント(0) - 3月12日

箱男はダンボールをすっぽりと被り、匿名性の隠れ蓑の中に身を置く。あらゆる意味で他人からの視線を遮断するためだ。ダンボールにはかならずビニール製の覗き穴がしつらえられ、彼はいつだって”見る”側の人間になろうとする。匿名の箱の中から眺める世界のなんと甘美で蠱惑的なことか!彼らは世界のサンクチュアリに踏み込み、安んじて箱男という幽閉状態を受け入れる。見られる側こそが真の裁きを受ける側なのだという想念に、一抹の疑念さえ抱かずに。少しく胸の高鳴りを覚えたあなたは、すでに、箱男の世界に片足を突っ込んでいるのである。
★30 - コメント(0) - 1月31日

それはドラマチックで夢想的で、しかも妙に人生を感じさせるひどく奇妙な旅であった。航海記と記されていながらも、旅路のおよそ半分は親王の夢のなかの出来事であり、あるいは夢とも現実ともつかぬ幻想空間の遍歴であるからだ。何と儚く美しい物語であろうか。一行のめざす天竺とは、ある至高点という意味においてR・ドーマルの類推の山と同意義のものであろう。その至高点とはおそらく、文学そのものの可能性のことにほかならない。そして本書が紛れもなく、一個の到達点であり、世界文学においてさえ煌々たる至高点であることはいうまでもない。
★28 - コメント(0) - 1月29日

行動者であり観察者でもあった壮年のヘミングウェイ。スペイン内戦の体験が、その後の彼の作品に抜き差しならぬ影響を与えたのは、本書におけるいわゆる”スペイン内戦もの”の印章深さひとつとってみても、明らかである。表題作である「蝶々と戦車」はほとんど完璧と言って良い作品であるし、「だれも死にはしない」などはいささか感傷的に過ぎるにもかかわらず、深い感銘を受けずにはおかない。余談だが高見浩氏の解説にも触れねばならない。氏の解説は毎度のことながら的確かつドラマチックであり、それ自体、優れた一編の短編小説のようなのだ。
★23 - コメント(0) - 1月22日

鋭い刃物を彷彿させる乾ききった文体。内包するエネルギーが裂けて流れだし一冊の書物に結実した、とでも形容できようか。とにかくこれがこの作家の持ち味であるようだ。度々登場する「塔」のイメージも、屹立する自意識の象徴に他ならぬだろう。そのような自意識が木崎なる絶対者によって蹂躙されるという構図は、古今東西あふれているにも関わらず、現代的だと感じさせるのはこの作家の業であろう。がそのようなすべての仕掛けもうまく作用していない。要するに相対化できていないのだ。見たくもない他人の傷口を見させられた不快さだけが残った。
★29 - コメント(1) - 1月22日

主だった夢に関する6編の論文を収録。それぞれ発表された年月に隔たりがある為だろう。夢や心に対する見解にも微妙なズレがあり、それ自体、ユングの精神史と読むことも可能である。ことにフロイトの夢理論との決別を誓った後と前とでは、そのベクトルがまるで違うのだ。夢を読み解く本でありながら人間ユングを読み解く本でもあるといえるのではなかろうか。集合的無意識や補償といった概念をもちだし、夢分析に更なる可能性と解釈の幅をもたらしたユングの功績は偉大である。しかしその発見は夢の領域に更なる暗闇を認めることでもあるであろう。
★21 - コメント(0) - 1月22日

ある事柄を真に理解するためには、その事柄を取りまく背景を知らねばならない。しかしある事柄は別の事柄と連関し、その別の事柄もさらにまた別の事柄と連関する。そこに終わりはない。終わりはないが、調和のとれた円環をかたちづくるというわけではない。それらは放射状に散らばり、決して交わることなどない。ファルマの話がそうだ。彼の話は断片的であり、あるべき中心点を欠いている。事実を語っているのかさえ定かではなく、真偽も明かされない。それはいわば不可知の迷宮であり、本作においてその迷宮はムントゥリャサ通りと呼ばれている。
★20 - コメント(0) - 1月19日

表題の二作よりはるかに印象に残るのが、冒頭の「中二階のある家」である。むろん表題作が凡作だなどというつもりはさらさらない。「中二階のある家」があまりに突出しているだけだ。風景画家の主人公がある若い娘に恋をする。しかし、その娘の姉(彼女は言わば時代に奉仕する啓蒙家であり実際家である)にふたりの甘美な愛は引き裂かれてしまう。主人公の風景画家も娘の姉も、圧政や不条理な時代の枠組みに共通の激しい反抗の焔をやどしているにもかかわらずだ。彼らは対立し、決して融和することはない。そこに19世紀末のロシアの暗さがある。
★26 - コメント(0) - 1月15日

ドン•マルローさんの感想・レビュー

最近のつぶやき

安部公房の著作で、ホテルで待ち合わせをしていた男が待ちかねて眠ってしまい、夢の中をさまよい河原に投げ出され、そこからようやく待ち合わせのホテルに向かう…的な話が収録された本を探しています。短編だったか、エッセーの中での話だったか。ここ1年以内に読んだはずなのですが。
★7 - コメント(2) - 2017年3月26日 9時50分

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