長谷川透

長谷川透さんの2月の読書メーター
記録初日
2010年01月01日
経過日数
2639日
読んだ本
1122冊(1日平均0.43冊)
読んだページ
367919ページ(1日平均139ページ)
感想/レビュー
823件(投稿率73.4%)
本棚
18棚
性別
年齢
31歳
血液型
O型
現住所
神奈川県
URL / ブログ
外部サイト
自己紹介
純文学を中心に幅広いジャンルの小説を読みますが、エンタメ色の強過ぎるものはあまり読みません。

最近、読書会に参加するようになりました。
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混沌とした時代に我々は生きています。
そんな中で文学は、とてもささやかだけれども、生きる糧になってくれます。
文学は具体的な指針を示してくれるものではありません。
でも、文学を読むことで我々は何かしらを救われているように僕は感じます。

読書グラフ

最近の感想・レビュー(823件)

死者に導かれドルンチナは遠い嫁ぎ先の土地から実家に舞い戻ってきた。兄と一緒に帰って来たと主張するが、彼は何年も前に死んでいた。不可解な謎を残してドルンチナは死に、謎を解く中で浮き彫りになるのは様々なものの対峙の中で深まっていく国家の混迷だ。死者と生者の対峙は相反する者同士の対峙に表面上は見えるが、いずれも生者から生まれた「物語」であり、生者の圧倒的な優位さ故、対峙を均衡させるために死者の物語が肥大化し、この国家を「死者の声」で覆ってしまったのだろう。一人の幽霊譚が終いには国家を包み込む亡霊譚になる。傑作。
★29 - コメント(0) - 2014年3月6日

迷宮のような都市を舞台にした小説で、登場人物の名前で遊んでみたり、入れ子構造を使ってみたりと、文体から滲み出る妖しさこそこの作家独特だとは思いながらも、中盤まではオースターの二番煎じという印象を拭えなかった。そしてオースターのようなエレガントさがこの作品にはない。ところが、中盤以降の入れ子の畳みかけは圧巻で、これぞマトリョーシカ人形的構造のお手本とも呼べる巧みさがある。平面的な迷宮は次第に垂直方向にも肥大して、空間的な迷宮を形成し、読者は妖しい霧に覆われたこの空間を歩みながらクライマックスへと辿りつく。
★21 - コメント(0) - 2014年1月19日

見るものと見られるもの、一方的な客体であることの嫌悪感、あるいは一方的な主体である者が辿りつく悲劇を徹底して書いてきた作家は、己の記憶を書く際においても、自己が定めたルールを忠実に守る。この自伝の中に何か誤りがあるなら、とナボコフは言う。それは芸術上の粉飾ではなく、記憶の誤りであると。彼は記憶を辿りながら書くが、彼が辿る軌跡を導くのは彼の記憶である。蝶を追いかけながらロシアの平原を追いかける少年ナボコフと、記憶を追いかけながら自伝を記す老年のナボコフが、この本の中では同時的に存在する。傑作自伝。
★24 - コメント(0) - 2014年1月18日

不穏な空気の中で交わされる火葬を巡る問答。宗教と現代的な問題との間の葛藤や、命なき肉体の捉え方など、序盤は哲学的議論が不気味な館の中で交わされる。火葬が一般的な国の人間から見ると新鮮な議論だ。主人公の男は冷静沈着でいて紳士で理路整然と語る。しかし彼には人間らしさがない。舞台の不気味さを忘れてしまうくらいだ。中盤以降は彼の背後にナチの影が見える。直截的に語られはしないが、火葬とナチはホロコーストを、機械的にユダヤ人を声なき灰に化したジェノサイドを連想させる。徹底して不気味で、最後まで救いのない物語だった。
★35 - コメント(0) - 2014年1月18日

読者を物語の中に引き込む魔術的な声の強さは流石である。カルヴィーノは超一流の創造者だ。科学理論の枠組みを利用したSF仕立ての短篇集であり、個々の作品には最新の科学理論がエピグラフとして提示されていてそれ自体は難解であるが、肝心の作品自体は読み易く、どちらかというと軽いタッチで書かれている。ところが随所にカルヴィーノの野心が垣間見れて面白い。絶対的真理として君臨する科学に対するアンチテーゼ、既成概念の破壊的衝動がこの作品から見える彼のオブセッションで、幻想的な物語もカルヴィーノ流の創世期なのだと思う。
★30 - コメント(0) - 2014年1月16日

『ロリータ』は極めて読みにくい小説だ。執拗に繰り返される言葉遊び、凝った文体、生理的な嫌悪を幾度も覚えるハンバードの言動、定かではない記憶、惚けた弁明、一体読者は彼の何を信用すればいいのだろう。法廷のために書かれた草稿が元なのだから、狂った語り手の言葉から彼を裁く為の真実を構築しなければならない。しかし、我々の試みに対してハンバートは必至の抵抗を見せる。時に挟み込まれるメタ・フィクションが読者の推理を惑わす。そうまでして彼は「何か」を隠そうとする。隠れた何かを推理することが、この小説最大の愉しみなのだ。
★34 - コメント(0) - 2014年1月16日

ブラッドベリの『華氏451度』と被る。しかし、プラハの春以降もチェコで書き続けた作家の物語は、共産主義批判を小説化した名作SFが軽く思えるくらいに胸に切迫してくるものを感じる。伝聞で知った情報を基にした創造よりも、ディストピアに生きた者の声の方が勿論強い。35年間、地下室で書物をプレスで押し潰して生きる男を書く。書物は死せども、書物から得たものは決して死に絶えぬ。社会主義の下、封殺される言論の中で、声には出せぬが、精神の中でふつふつと湧きあがる思想の叫ぶ声。『あまりにも騒がしい孤独』とは言い得て妙である。
★33 - コメント(0) - 2014年1月15日

森を捨て都市を築く。いつしか森から人の姿は消え、森は切り開かれて都市と化していく。文明批判の書として有名な書物であり、実際には全くその通りなのであるが、この本は孤独の書でもある。森の隠者として暮らしたソローは孤独の中でこの本を記す。孤独との向き合い方を書くが、彼にとって孤独は健全な状態である。孤独の中に生きる者のとる行動は2種類あると思う。1つは孤独の中に新たな己の王国を構築し、その支配者として君臨する。もう1つは孤独の中で自己を極限まで透明にし自己を孤独に同化させることだ。ソローは後者である。
★23 - コメント(0) - 2014年1月11日

長谷川透さんの感想・レビュー

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