年間・読書メーターまとめ

年間でナイスが多かった感想・レビュー

2023/03/04

バタバタしている中で読み進めていたので、読むのを中断することが多々あった。けど間をあけて読み直し始めても、すぐ本の世界に戻れる。この不思議な吸引力は、この著者の前著でも感じた。著者とその家族や友人たちが、健やかに過ごし続けてくれることを祈るような気分になった。僕も僕自身の未来を祈る。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2

が「ナイス！」と言っています。

ずっと前に買ってあったのに読んでいなかったところに、流れてきた動画で映画の映像を目にしてしまって、慌てて読み始めた。久々に一気読み、と言えるペースだった。人間は組織に放り込まれると、集団心理に引きずられて、競争心に苛まれて、愚かさが極まる。自分の中での八角の見え方がどんどん変わっていくのが小気味よかった。ドーナツのエピソードに安らぎを覚えると同時に、女性の存在が世界を安寧に成り立たせていることに思い至る話だった。終盤までドーナツの清涼感。男はバカだよ。

が「ナイス！」と言っています。

旅の途中で読了。この著者の多くの著作にあるこういうものを「働きかた小説」とでも言おうか。このタイプの小説を初めて読む人にとっては、生き方のスタイルの一つとして提示された気持ちになり、もしかするとフレッシュな感慨に満たされるのかも知れない。けど、自分の年齢くらいになると、誰でも、上手くいかないことを飲み込んだり立ち向かったり、他の誰かに吐露したりする営みが分かってしまっている。だからもうお腹いっぱいかな。著者の内的衝動から生まれた物語なのか、編集側のリクエストなのか知らないけど、ずっとこの作風なのだろうか。