ものの影
ジンクの波が僕の頭に取り付いて
理由もなく城が乱立する
走るだけで
目の前からあらゆる影が消えない
ボートの上では花嫁姿の女が一人
影の中で鎧を見送る
馬の後ろから影法師がとぼとぼと
林の中の道を追う
飛び立つ烏は笑いを残し
僕の前には貝殻が残る
扉の中から出てくるものは
狐か兎か
そして僕の世紀は終わって
遠くへ泣く犬が
立ち尽くす女のシルエットに木霊する
マッチの炎が湖水に映える
輝きが僕の頬に写る
そして行く僕等の葬列は
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます