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古野まほろ『天帝のはしたなき果実』読書会

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イベント詳細

  • WEB
  • 2020年11月15日(日) 14時00分
  • シタン

 お題本についてお喋りする読書会です。今回のお題本はなんと!古野まほろ『天帝のはしたなき果実』!講談社ノベルス版から大幅改稿した幻冬舎文庫の“新訳版”をお題とします。
 『黒死館殺人事件』・『ドグラ・マグラ』・『虚無への供物』・『匣の中の失楽』の日本四大奇書、いわゆる黒い水脈に連なる第五の奇書を標榜し、第35回メフィスト賞を受賞した問題作です。後で述べますが、奇書であると同時に、極めてロジカルなクローズドサークルの本格推理小説になっているところがまたすごいんです。

 参加を希望する方は下の説明をお読みいただいた後、【年齢・性別(差し支えなければ)と、お題本を読む意気込み(or 読んだ感想)】をコメントしてください。

定員に達するまで募集します。よろしくお願いいたします!

 ○日 時 :2020年11月15日(日)14:00-16:00
 ○場 所 :Zoom(カメラのオン/オフは任意です)
 ○対 象 :読書メーターのユーザー、大学生以上。
 ○参加費 :無料
 ○定 員 :7名(最少催行人数:3名)

【読書会の進め方】
・事前に参加者の皆さんはお題本を読んでおいてください。
・読みながら感じたことや考えたこと、話し合いたいことをメモしておいてください。
・今回はテーマを決めずに、自由に話していくスタイルでいきます。

【お題本について】

 古野まほろ『天帝のはしたなき果実』(幻冬舎文庫/ 2011年)※
 ※注:講談社ノベルス版から大きく改稿されているので、必ず幻冬舎文庫版をお読みください。
 Amazonのページ: https://www.amazon.co.jp/dp/4344417534/

 ○著者:古野まほろ(東京大学法学部卒・元警察官僚の覆面作家)

 ○あらすじ(「BOOK」データベースより)
勁草館高校の吹奏楽部に所属する古野まほろは、コンテストでの優勝を目指し日夜猛練習に励んでいた。そんな中、学園の謎を追っていた級友が斬首死体となって発見される。犯人は誰か?吹奏楽部のメンバーによる壮絶な推理合戦の幕が上がる!青春×SF×幻想の要素を盛り込んだ、最上かつ型破りな伝説の本格ミステリ小説が完全改稿され文庫化。

 ○主催者より
好き嫌いが真っ二つに分かれるであろう問題作です。以下、私が考える主な特徴を述べます。

1. 第五の奇書であること。
 日本には三大奇書あるいは四大奇書と呼ばれるミステリが存在します。小栗虫太郎『黒死館殺人事件』・夢野久作『ドグラ・マグラ』・中井英夫『虚無への供物』・(竹本健治『匣の中の失楽』)です。これらは衒学趣味や、アンチ・ミステリーの要素、メタ構造などが特徴ですが、これらのいわゆる“黒い水脈”に連なる平成の奇書が『天帝のはしたなき果実』なのです。エピグラフには『虚無への供物』の一節が採用されています。また、タイトルは『虚無への供物』の著者中井英夫の言葉「小説は天帝に捧げる果物、一行でも腐っていてはならない」を意識しているはずです。
 『天帝のはしたなき果実』はとりわけ衒学趣味を受け継いでおり、古今東西の様々な知識や引用、外国語による夥しいルビが駆使され、重厚で目眩がするような物語世界が構築されます。『虚無への供物』『匣の中の失楽』にみられる多重推理(推理合戦)も鮮やかに踏襲されており、そこも読みどころでしょう。推理パートが終わった後の超展開も奇書的と言えそうです。

2. 本格ミステリであること。
 奇書であることと本格ミステリ(フェアな犯人当てパズル)であることは一見相反するように思えます。しかし。『天帝のはしたなき果実』では奇書であると同時にクローズドサークルの本格推理小説なのです!フェアプレイの精神に則って読者に手がかりが提示され、いわゆる“読者への挑戦”が挿入されます(それも複数!)。推理パートは恐ろしいほど緻密で論理的で、本格ミステリファンも驚くに違いありません。さらに上述したように多重推理ものであり、豊富な推理を楽しむことができます。著者は綾辻行人と有栖川有栖に師事しているようです(特に影響を受けているのは『月光ゲーム』とか。あ、青春小説的要素も月光ゲームの影響かも)。
 この点において世に蔓延る奇書的作品(たとえば清涼院流水)とは一線を画するのです。

3. 改変歴史小説であること。
 舞台は1990年代の“日本帝国”。貴族院や帝国陸軍や特別高等警察など、昭和戦前期の法制度・社会制度等が、今も存続しているという設定になっています。しかも登場人物たちがその社会の中で重要な人物だったりします(笑)。このあたりは元警察官僚というところが大いに影響されているのではないかと思います。また、『虚無への供物』の著者でもあり反戦日記を残した中井英夫や、司馬遼太郎の影響を感じます。

4. 唯一無二の文体
 上述した衒学趣味によって重厚な文体になっているわけですが、それだけではありません。著者は文学やサブカルチャーにも造詣が深いようで、様々な作品の引用やパロディが散見されます。たとえば著者は古今和歌集、千夜一夜物語、シェイクスピア、メルロ・ポンティ、萩原朔太郎、夏目漱石、司馬遼太郎、『新世紀エヴァンゲリオン 』、『機動戦士Ζガンダム』に影響を受けているようです。また、フォントいじりや登場人物のキャラクター造形、語り口などはライトノベルの影響を受けているのではないかと思わせます。本書は「セカイ系」に分類することもできるかもしれません。この文体、癖になるともう抜け出せなくなるんですよね……

以上、あらゆる要素が過剰に詰め込まれた闇鍋小説を、貴方ならどう読みますか?

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