仄暗く酷な場面もありながら今後に希望が窺える一作。

要所要所で心に響く一文があったり、描写が丁寧だったりでとても引き込まれました。

納税者としてけっこう考えさせられる内容でした。

犯罪者だからという先入観で詐病だと決めつけず、患者として向き合っていく史郎の熱さが良かった。

救われない話もあるけれど、物語の随所にエリオットの優しさが垣間見られますね。かと思えばゾクッとする描写などもあり、好きです。

幽霊男爵が思いのほかハツラツと元気いっぱいに幽霊がらみの事件に突撃していくのが面白い。

全て、作者の手のひらの上で転がされていた、と思い知らされる短編集。

短編ゆえに、人間の闇、醜さなどの嫌なところをぎゅっと濃縮したような感じ。

1冊でこれほどまで楽しめるとは思っていなかったので、かなり得した気分で大満足！

単純においしい食べ物小説ではなくて、メンタルと連鎖する味覚や、夫婦関係や恋愛関係などなど、いろんな味が楽しめる作品集である。

すさまじくぶっ飛んだ世界感だが伝えたいことは交じりっけない純粋そのもの。

SFという新しい切り口から、性について考えさせられた1冊。

大局のミステリ構築はしっかりしている。犯人は？ループ起源者は？を追う展開が飽きさせない。

リープを起こしてる主人公じゃなくて、巻き込まれてるキャラ目線で物語が進むのがなかなか斬新でした！

ラストの一文がいいですね。不覚にも涙。

別れた夫に未練たらたら、口も悪いし下品だが、弱きを見たら助けずにはいられないお人好しの酔いどれ美人刑事弁護士。もうキャラクターだけで最高っぽいでしょ？マジで最高なんです。

旅のお供にふさわしく簡潔で味わいのある文章。旅に出られない日々のよい慰めとなってくれます。

旅先での何気ない出来事なのに、沢木さんの感性のフィルターを通過すると、こんなにも浄化されるのか。

大切な人への贈り物に選びたくなる、とても素敵な本です。

なんて優しいのだろう。 魔女たちも、他のモノたちも。 優しくて愛おしさに涙があふれてくる。