突然巻き込まれた形で、魔王の少女を守る事となった主人公の葛藤が魅力的だと感じました。『人類全てを敵にしても絶対に守り抜く』といった感じの圧倒的主人公ではなく、主人公もまた被害者であり逃避を続けるなかで、襲い掛かる敵に対して拳を振り上げる事に躊躇い続ける。確固たる信念をもつ主人公とはかけ離れた、ただ人より少し優しい少年が理不尽な運命と守らなければならない命の狭間で苦しむ描写がとてもいい。 開幕から何億もの命が無作為に消えていく絶望的な世界が広がりを見せるのですが、規模がデカい設定の割に見えるスケールはかなり
かなりミニマムであり、タイトルから感じる圧倒的四面楚歌の絶望感があまり無いのが弱いと感じました。大賞作品という事でハードルが上がっていましたが堅実に面白い作品でした。ですが走り出しの設定と能力バトルに寄せた展開がかなり大きく、それ以外の粗が結構目立つ所もありましたが、要所要所で登場する理不尽な神の存在が面白く今後の展開も気になるところです。
みたいな感じで、各エピソードは割と短く纏められておりそれが繋がっていく高揚感のようなものが終盤にいくにつれどんどん沸き立ってくるのが素晴らしい。まさに一大叙事詩であり人が人に語り継いでいく歴史そのものの重みを感じられる重厚感のある一作。ほんと設定から何から何までかなりのディテールで作り込みが凄い。あと独特な文体なのが、ほんとに後の歴史学者が編纂したものを読んでいるかのようで良き。 僕は面白いと思いました。ただ間違いなく売れ線では無く読む人、好む人も少なそうなのがリアルなところ。
読み味が非常にライトで読み易い一風変わったラブコメといった印象に仕上がっておりました。 本作の主人公が持つ優しさは、逆転した世界においては異端そのものであり、男性から向けられる優しさに免疫のないヒロインたちは次々その優しさに溺れ執着していく...という何人もヒロインが出てくるなかでその全員が全員、自分を救ってくれた主人公の事に依存していく重めの感情を抱き接してくるのが特徴です。
主人公とヒロイン4人の視点を次々変えながら進めていくため、その時その時の感情の揺れ動きが事細かく描写され絡み合っていくのがとても面白かった。 どのヒロインも主人公に対する感情が非常に重いため、いつこの感情が爆発するのかある意味スリル満点なラブコメでもありました。今後このヒロインたちが相対した時何が起こっていくのかもまた楽しみなところです。
各個人の心情と世界情勢を絡め膨らめていくの語りは良かったのですが、にしても中途半端で直接面白さに繋がる要素ではなかった。一冊で完結する物語とあるならば何処かに振り切った方が個性が出ると思いました。 全体を通して個々の深掘りや動機付けもしっかりとしており終盤に差し掛かる辺りまでぶっちゃけ薄味ですがそこまで嫌な感じはありませんでした。が、最後のオチが個人的になんとも言えないもやもやが残りました。後書き曰く「本作は広義でラブコメ」らしく、ミステリではなくラブコメとしてならば...
※2020年4月16日より感想を投稿スタート。
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