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2025年1月の読書メーターまとめ

kuroma831
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感想・レビュー
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ナイス
318ナイス

2025年1月に読んだ本
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2025年1月のお気に入り登録
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  • ろば
  • venturingbeyond
  • yszk
  • よしじ乃輔
  • テリー

2025年1月のお気に入られ登録
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  • venturingbeyond
  • テリー

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

kuroma831
11世紀の平安時代盛期に女真族の来襲した刀伊の入寇について。9世紀の新羅海賊、11世紀の刀伊の入寇、13世紀の元寇という時間軸を縦軸とし、唐の崩壊から新羅・渤海の滅亡、契丹・高麗の新興として連鎖する東アジア世界の変動を横軸として描く。刀伊の入寇は摂関家の藤原隆家が有名だが、むしろその配下である「兵(つわもの)」に着目した武士の起源論として面白い。元慶の乱平定の功臣の子孫である貞盛流平氏、秀郷流藤原氏、経基流源氏といった軍事貴族や、いわゆる在庁官人系の現地領主層の混合による撃退は中世武士団の萌芽を思わせる。
kuroma831
2025/01/05 23:16

平安時代を通して律令国家の軍団兵士制が崩壊し、武力の請負化による専業戦士層が誕生することになる経緯が面白かった。また、刀伊の入寇後の時代における歴史受容、新羅征伐神話の創造などは、東アジア世界へのコンプレックスの裏返しとして、日本なりの華夷思想を打ち立てる契機でもあり、村井章介の「中世日本の内と外」をも思わせる展開で面白かった。

kuroma831
2025/01/05 23:21

著者は日本中世史の大家ではあるが、自説として語る体系論は少し合わなかった。日本の数世紀単位の外交方針として「開の体系」「閉の体系」を繰り返していたと語り、それぞれのフェーズに当てはめて記載するケースも多かったが、著者が「閉の体系」とする10〜14世紀にも九州を窓口として宋や明との交流は大々的に行われているようにいくらでも反例を出せるものに感じ、あまりに理論先行すぎる気がして合わなかった。それ以外は非常に面白く読めた。

が「ナイス!」と言っています。

2025年1月の感想・レビュー一覧
5

kuroma831
沖縄でキャバクラや風俗などの性産業に従事する若い女性へのインタビューを通した生活史の叙述。家族や恋人からの激しい暴力から彼女達が逃げ込む先は夜の街しかなく、体ひとつで生き抜いていく。貧困と暴力が日常化している世界が生々しく描かれ、正直目を背けたくなる。著者は教育学者だが非行少女の支援活動も行っており、参与観察によるインタビューといいながらも深い信頼感を相手から得ていることが分かる。沖縄の貧困と暴力の遠因に基地問題があることは明白であり、その面で本土に生きる我々の責任も重い。
kuroma831
2025/01/29 23:59

この本は著者の上間陽子の共同研究者である打越正行の「ヤンキーと地元」と表裏一体であり、セットで読むべき本だと思った。打越本で描かれた沖縄のしーじゃ(先輩)とうっとぅ(後輩)関係に象徴されるホモソーシャル社会も暴力と搾取が横行する社会だが、先輩からの被害者でもあるうっとぅ(後輩)も家族や恋人との関係では、より弱者である女性への加害者になる。本書の一章で描かれた優歌の事例は打越正行との共同インタビューであり、打越本でも詳細に描かれる。そこには常に男性の付属物として扱われる女性達の姿がある。

kuroma831
2025/01/29 23:59

著者の上間陽子は沖縄生まれの教育学者であり、土地勘のある場所での調査研究となる。そのため、被参与観察者や街並みを見る眼差しは優しく、"他所者"ではないからこそできる調査研究だと思った。また、つらく厳しい経験を乗り越えて前に進む女性の話もあり、絶望感だけの漂う話でないことは救いだった。

が「ナイス!」と言っています。
kuroma831
主に奈良時代の律令国家における官人の実態を見て、怠慢な律令官人の姿を描く。儒教が根付くのは江戸時代であり、古代日本に勤勉や忠誠を美徳とする文化はまだ存在しない。律令国家が中国をモデルとした官僚制を輸入するも、なかなか根付かない実態が面白い。貴族制の再生産対象である五位以上の官位を持つ官人と、六位以下の下級官人の間には強烈な断絶がある。下級官人は母数に対してポストが少なく、官職に給与が紐付くため官位が上がっても処遇は変わらない。官人としての免税特権などがあれば出世も不要で、職務に励む必要もない。
kuroma831
2025/01/19 23:46

年始に天皇の前で臨席する厳かな儀式でさえ多くの官吏がサボタージュするも罰則すらなく、儀式を成立させるために他の官僚による代返を認めるというルールさえ制定されるほど。専制君主である天皇の前に整然と官吏が並んで君臣関係を確認する、という儀式自体が中国の礼制や儒教意識のものであり、古代中小豪族の末裔や富農層からの叩き上げである下級官人にはその必要性や概念自体が理解できなかった。王朝側もそれを分かっていたのか、まともに処分しようとする気も薄く、上も下も非常にいい加減で緩い。

kuroma831
2025/01/19 23:47

儀式をサボるだけならまだしも職務を仮病で休む等も横行しているが、高官である公卿や人事官庁たる式部省もそれを咎める意欲は薄い。よくいえば現実的、悪くいえば現状追認的に、怠慢な官僚が一定の割合で出ることを前提に制度化をしており、罰則も寛容な方向に流れるのが古代日本の風潮を感じられて面白かった。律令国家が崩壊することで荘園制が……などというイメージもあったが、そもそも中華風の律令国家というもの自体が古代日本の実態にそぐわず、まともに運用できない上からのルールでしかなく、換骨奪胎される運命のものだったのかな。

が「ナイス!」と言っています。
kuroma831
めちゃくちゃ面白かった。春秋戦国時代の前史にされがちな西周にフォーカスし、史記や詩経、礼記のような後代編纂された伝世文献資料だけでなく、同時代資料である金文資料を中心に西周期を語る。文王武王に意識しがちだが、康王期も三監の乱や周公の輔弼なども史記の記述と同時代資料とで違って面白い。金文から当時の封建の様子や祭祀の様子が分かり、軍事王と祭祀王の性質を持つ位置付けが分かる。また、西周の祭祀は殷代甲骨文からも同様の内容が分かるものもあり、西周期中期に至るまで殷代の影響は残っており、殷周革命の連続性も示唆される。
kuroma831
2025/01/15 01:27

春秋期も最初は覇者への褒賞を周王が授与することで権威を保ったが、東周の存在感は徐々に薄くなる。春秋後期・戦国期以降、青銅器による礼器作成のケースは減っていき、礼制はむしろ儒家や諸子百家による体系化を辿ることになる。呉越や秦という新興国家も王を名乗るようになり、儀礼的存在としての東周王家の役割はほぼ薄くなってゆく。しかし、東周期の儒家は数百年前の西周期の礼制を理想化し、想像上の再現を重ねることで、後代に続く理想王朝としての周王朝観を作り上げることになる。

kuroma831
2025/01/15 01:27

史記に載っている周王朝の姿とは異なる、リアルな姿の周王朝の姿を見せてくれる名著だった。また、前書きにもあるが、私自身がまさに中学生時代に宮城谷昌光で殷周革命や春秋時代にハマって史記を読むようになった人間であり、そうした人間に西周期の面白さ、金文の奥深さを教えてくれる良著だった。

が「ナイス!」と言っています。
kuroma831
11世紀の平安時代盛期に女真族の来襲した刀伊の入寇について。9世紀の新羅海賊、11世紀の刀伊の入寇、13世紀の元寇という時間軸を縦軸とし、唐の崩壊から新羅・渤海の滅亡、契丹・高麗の新興として連鎖する東アジア世界の変動を横軸として描く。刀伊の入寇は摂関家の藤原隆家が有名だが、むしろその配下である「兵(つわもの)」に着目した武士の起源論として面白い。元慶の乱平定の功臣の子孫である貞盛流平氏、秀郷流藤原氏、経基流源氏といった軍事貴族や、いわゆる在庁官人系の現地領主層の混合による撃退は中世武士団の萌芽を思わせる。
kuroma831
2025/01/05 23:16

平安時代を通して律令国家の軍団兵士制が崩壊し、武力の請負化による専業戦士層が誕生することになる経緯が面白かった。また、刀伊の入寇後の時代における歴史受容、新羅征伐神話の創造などは、東アジア世界へのコンプレックスの裏返しとして、日本なりの華夷思想を打ち立てる契機でもあり、村井章介の「中世日本の内と外」をも思わせる展開で面白かった。

kuroma831
2025/01/05 23:21

著者は日本中世史の大家ではあるが、自説として語る体系論は少し合わなかった。日本の数世紀単位の外交方針として「開の体系」「閉の体系」を繰り返していたと語り、それぞれのフェーズに当てはめて記載するケースも多かったが、著者が「閉の体系」とする10〜14世紀にも九州を窓口として宋や明との交流は大々的に行われているようにいくらでも反例を出せるものに感じ、あまりに理論先行すぎる気がして合わなかった。それ以外は非常に面白く読めた。

が「ナイス!」と言っています。
kuroma831
「喧嘩両成敗の歴史」の清水克行による室町エッセイ本。文藝春秋に連載のコラムの再構成なので、語り口は軽妙で面白い。室町を中心とする中世人のメンタリティや風習と、現代に通ずる部分や異なる部分を語る。歴史学者とは何か、というテーマでのコラムも多く、非常に面白い。高野秀行との対談本以来、清水センセのファンなんだが、前作の「室町は今日もハードボイルド」は面白かったものの、「中世の罪と罰」などの名著の内容を一般向けに紹介という趣旨が強く、やや消化不良だったが、本作は現代との比較という視点もあり、非常に楽しく読めた。
kuroma831
2025/01/02 17:44

軽く読めるし内容は面白い、新年初の読書として大満足。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/05/28(1723日経過)
記録初日
2019/12/31(1872日経過)
読んだ本
225冊(1日平均0.12冊)
読んだページ
72593ページ(1日平均38ページ)
感想・レビュー
223件(投稿率99.1%)
本棚
12棚
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自己紹介

積ん読は人生の選択肢を増やすと信じてる。小説は少なめ、人文系多めです。今までに読んだ本の登録は諦め、2020年に読んだ本からスタートします。漫画も大好きでよく読み、よく買いますが、登録が追いつかないため、登録しません。

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