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2024年3月の読書メーターまとめ

キク
読んだ本
10
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感想・レビュー
10
ナイス
925ナイス

2024年3月に読んだ本
10

2024年3月のお気に入られ登録
1

  • オカピー

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

キク
これがデビュー作ってすごすぎる。ホラーというより幻想小説という言葉が似合う、綺麗な小説だった。2編の中編は両方とも、異界に紛れ込んでしまった少年が現実に戻ってくる話しだけど、「風の古道」のラストで語られるように、まだ「永遠の迷子の如く独り歩いている。私だけではない。誰もが際限のない迷路のただなかにいる」生きるということは、主人公の少年達のように夜市や古道を彷徨うことなんだと思わせる説得力が、この小説の文体にはある。だからすごく幻想的なのに、その風景を確かにどこかでみたことがあると思ってしまう。すごく好きだ
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

キク

年末からの様々な報道をみていて、大昔の春樹さんのエッセイを思い出した。「ウンチ投げ大会への正しい向き合い方は、素手でウンチを掴んで一番遠くに投げて優勝することではなく、鼻をつまんで足早に通りすぎることだ」なんか、あちこちでウンチ投げ大会が開催されてる気がする。大会に巻き込まれないように気をつけなきゃなと思います。 2月に読んだ本の数:17冊 ★読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1181057/summary/monthly/2024/2

が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
10

キク
好奇心旺盛で多様性を重視していた父親が晩節、癌とヘイト思想に蝕まれた。リベラルな著者は、ネット右翼となった父親に心を閉ざしてしまう。対話を拒んだまま父を看取り「父はいつからなぜネット右翼になったのか?ネット右翼とは何なのか?父は何をみて何を考えていたのか?」という問いにとらわれる。普通は「ネット右翼」と「パヨク」の間には生理的嫌悪感があり、理解を拒絶する。でも実の父を理解するために、著者は苦痛を乗り越え向き合っていく。それは社会的分断への対処の一つのモデルとなっていると思う。結局、拒絶って安易な逃げだ。
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キク
西野は、ホリエモンやひろゆきと同じように扱われることが多いけど、個人的には圧倒的に西野が好きだ。結局、ホリエモンやひろゆきって経営者とエンジニアだけど、西野は表現者だ。「お笑い」という人の心を揺さぶるところから出てきた西野のうさん臭さは、むしろ岡本太郎や横尾忠則、寺山修司のうさん臭さに近い気がする。寺山は「書を捨てて町にでよう」と言った。西野は「ふみ出そう。大丈夫、いけるよ」と言う。西野は現代の寺山なのかもしれない。圧倒的な疾走感と、人々へのやさしい眼差しで、他の人には描けない壮大な夢を具現化していく。
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キク
文学的深みはない。エンタメとしての技量もない。でも、個人的には刺さった。テストの成績はそこそこ良くて東京の有名大学に合格した地方の男の子達と、勉強は苦手だけど可愛くはある女の子達が、港区に吸い寄せられる様を描いた短編集。僕は学力を免罪符にして、空はないけど匿名性はある東京にうまいこと紛れ込んだという自覚があるので、どうしても刺さってしまう。その少年達とその少女達は、同じ港区にいながら出会えなかった。「The boy never met the girl」誰とも出会えなかったし、何者にもなれなかった。切ない
キク
2024/03/17 15:22

不良少年の傷や持たざるものの傷は、よく作品となる。でも、中途半端な学力や美貌を持ったものだけの傷だって確かにある。それを具現化してる作品は、これが初めてなんじゃないだろうか。帯の推薦文が、ホリエモンと峯岸みなみと小川哲というわけが分からない組み合わせなのがこの作品を表している気がする。

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キク
香港返還時に取り壊された、世界随一の巨大高層スラムだった九龍城の写真集。27,000平米の区画に350棟の高層ビルが密集し、33,000人が生活していた。英国も中国も管理できず「亜細亜の混沌」を具現化した場所になっていて、その写真に圧倒される。現代都市計画研究による再開発都市の洗練された風景よりも、無秩序の極地として現れた九龍城の写真の方が美しいのはなぜなんだろう。現代の一流建築家が巨大資本や行政と手を結んでもできなかった「生命を宿して自立する都市」が奇跡的に成立していたからなんだろうな。
タク
2024/03/16 17:16

決していい環境ではないけれど、異常に魅力的なのが不思議です。

キク
2024/03/16 17:57

魔力的な何かがあるよね。

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キク
いい小説だった。女子高で出会った2人の少女の30年近い期間の往復書簡だけで構成されている。授業中に回したリレーメモから始まり、最後は異国からのメールとなる。禁断の関係に舞い上がる少女たちのラブレターは、正直ちょっとキツかったけど、大学時代と40代でもやり取りを再開していている。最初に出会う「意味をもつ他者」は、だいたい幼い同性になる。「違うけど同じ」ということが愛情を成立させるためには必要だけど、幼いときは異性だと「違いすぎる」のかもしれない。送られなかった手紙が数通あるけど、届かなかった気持ちが凄く響く
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キク
「100分de名著」で知った。『文学やルポルタージュを使って他者への共感能力を育て「われわれ」という意識を拡張し続ける』すごい文章だ。成長とは、いや人生とは「どこまで【われわれ】という言葉に多くのものを含めるようになれるのか」ということなのかもしれない。多分、僕の「われわれ」という言葉に含めるものはすごく少ない。というか「われわれ」や「僕たち」という主語をほぼ使わない。いつも「僕」と「他者」という言葉を頭の中で使っている。なんか、いろいろ考えさせられた。
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キク
トップ棋士に軽くあしらわれていた将棋AIが、名人に勝つまでの進化のスピード感はとんでもなかった。今ではもう勝負にならず、タイトル戦で戦況をAIが採点して、優劣をリアルタイムで判定している。定石や過去の棋譜はもう必要ない。将棋や囲碁のルールだけ与え、自己対戦だけで学習させると、24時間で世界王者に勝つレベルに達してしまう。つまり人類が4千年かけた道のりを、AIは自らのなかだけで1日で再現してしまう。2030年には言語を理解して、膨大なネット情報から自己学習を始めると予想されている。もう、SFは現実になるな。
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キク
これがデビュー作ってすごすぎる。ホラーというより幻想小説という言葉が似合う、綺麗な小説だった。2編の中編は両方とも、異界に紛れ込んでしまった少年が現実に戻ってくる話しだけど、「風の古道」のラストで語られるように、まだ「永遠の迷子の如く独り歩いている。私だけではない。誰もが際限のない迷路のただなかにいる」生きるということは、主人公の少年達のように夜市や古道を彷徨うことなんだと思わせる説得力が、この小説の文体にはある。だからすごく幻想的なのに、その風景を確かにどこかでみたことがあると思ってしまう。すごく好きだ
が「ナイス!」と言っています。
キク
現代世界のありかたはWestern(西洋の)Educated(教育水準の高い)Industrialized(工業化された)Rich(裕福な)Democratic(民主主義の)人々、WEIRD(ウィアード)によって方向づけられたが、WEIRDは世界では異質な存在であると説いている。主要な心理実験の被験者のうち、96%は北ヨーロッパ・北アメリカ・オーストラリア出身であり、そのうちの70%はアメリカ人だった。現代の奇妙な超個人主義者達の出現を、古代まで遡って文化人類学的に考察している。
キク
2024/03/07 13:03

若い頃は自分のことで手一杯だったので「社会の成立ちやルールとか、ホントに知らないよ」とか思ってたけど、この歳になってくると、同時代への敬意として、あるいはゲームに参加させてもらっているショバ代として、社会の成り立ちをきちんと理解するべきなんだろうなと感じる。いや、同調する気は更々ないんだけど。その意味で、この本は勉強になる。結局、宗教という共同幻想は人類を大きな集団として機能させるために、最も有効ただったということなんだな。

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キク
すごい勢いで金融業界を取り巻く環境がが変わっているのがよくわかる。ずっと建設業にいる人間として、「結局は、形あるものを生み出していないのに、なんでそんなに偉そうなんだろう?」ということを、イヤミではなくて純粋な疑問として昔から感じていた。でもこの本を読んでみて、経済をスムーズに回すということは、水道や道路と同じように、国民の生活を支える社会インフラだからなんだろうなと思った。、、、にしては、その矜恃がなさすぎるけど。
masa
2024/03/09 19:20

「結局は、形あるものを生み出していないのに、なんでそんなに偉そうなんだろう?」思ってしまいますよね。労働より投資が儲かることが真実だとしても、それは絶対に是正されないだけでシステムの欠陥であり、労働者より偉そうな株主とかWackでFxxkだぜ。

キク
2024/03/09 21:37

ロックですね!

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/10/19(1280日経過)
記録初日
2020/09/29(1300日経過)
読んだ本
957冊(1日平均0.74冊)
読んだページ
277904ページ(1日平均213ページ)
感想・レビュー
957件(投稿率100.0%)
本棚
20棚
性別
年齢
48歳
職業
技術系
現住所
東京都
自己紹介

小さい頃から、本を読むことが大好きでした。

 正直にいえば、世間に出ていくときに、シェルターとしての読書が僕には必要だったんじゃないかなと、今では思います。
特に中学生の時に村上春樹の「ノルウェイの森」を読んでからは、春樹さんの新刊を読み続けながら、歩いてきました。
この時代のこの国に生まれたことの一番の恩恵は
「村上春樹の原書を、リアルタイムで読むことが出来た」ことだと思っています。歴史的な視点で見れば、それって、ほとんど奇跡だから。

 自転車で通勤して、夜にビールを飲みながら読書をする。
週末に区民プールと図書館に通いつめ、払った住民税は取り返している気がします。

 大学が建築系で、就職はゼネコン。
バリバリの体育会系男社会のなかで、なんだかんだと20年が過ぎました。
仕事は大変ですが「きっと乗り切れるな」とにらんでいます。

「本好きに悪い人はいない」と思っています。
気軽に絡んでいただければ、うれしいです。

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