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2024年2月の読書メーターまとめ

きゅー
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感想・レビュー
19
ナイス
221ナイス

2024年2月に読んだ本
22

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

きゅー
長年未読だった本書をようやく手に取ることが出来た。本書が描く社会体制に目を向ければディストピア小説として読めるけれど、それと同時に登場人物の内面に目を向ければ教養小説としても味わえる。「なんのために読むの?」との問いに対して、主人公は「見ることができるのに、見えていなかった」と答える。見えないものは理解できない、理解できないものは見えない。この螺旋を抜け出るための一つの手段が読書だ。私自身が体験していないことを他人の言葉を媒介に想像し、理解への端緒につなげる。
きゅー
2024/02/16 14:15

真の理解とは読書することそのものではなく、読書の後に反芻し、自らの体験へと受肉させた先にある。 本書でも、単純に本を読むことを称揚しているのではなく、本から得たものをどのように利用するのかという話につながっていく。 主人公モンターグ(MONTAG)は、ドイツ語で月曜日を意味する。 新たな日々がここから始まろうとしているのだろう。

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2024年2月の感想・レビュー一覧
19

きゅー
本書は編年形式で編まれており、本書は中井久夫が30歳~49歳までに書かれたものが収録されている。精神病患者の社会復帰について書かれた「世に棲む患者」と「働く患者」が本書の中心になるのだろう。すでに40年前に彼は、精神病患者が社会の多数者のもとに復帰・加入することが最善の途だろうかと問う。「統合失調症を病む人々は、「うかうかと」「柄になく」多数者の生き方にみずからを合わせようとして発病に至った者であることが少なくない」などの言葉は、障害の社会モデルを先駆けるものであり、彼の慧眼には驚かされる。
きゅー
2024/02/29 09:34

精神病患者を「患者」としてではなく、「一個の人間」として相対し触れ合おうとする彼の姿はヒューマニズムの体現そのものに見えた。寛解患者のほぼ安定した生き方の一つは、巧みな少数者として生きることであると思う、と彼は書いている。多数者であれば享受しうるものを断念しなければならない、しかし、その中に愛や友情や優しさの断念までが必ず入っっているわけではない、と続く。そのためには、治療者というものは社会の多数者の価値感から自由である方が良いという。治療者こそが巧みな少数者として、患者の理想モデルとなり得るのだろう。

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きゅー
類書に比較するとあまり見応えのない一冊。占領期の名古屋ということで空襲からの復興の様子が見られないこと、時期が狭いので似たような写真が多いこと、そして最終的には撮影者の技量なのだろうか。ところでポケモンGOで一時期話題になった鶴舞公園(Googleマップみると噴水の形がモンスターボールに酷似している)は、コスプレの聖地でもある。本書を見たら、1946年に鶴舞公園で進駐軍の兵士を招待して、モデル撮影会が行われたという。モデルを多くのカメラマンが取り囲む姿は今も昔も同じ。なんともこんな歴史があったとは。
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きゅー
特別養護老人ホームと宅老所で勤務する著者による老いと介護の話。痴呆のためなぜ自分が宅老所にいるのか理解できない老人が土下座して「この檻から出してください」と懇願する話を聞けば心が引き裂かれる。そうした老人によるエピソードの羅列になってしまっているのがもったいない。この後に刊行された『シンクロと自由』では、そうしたエピソードを踏まえて介護する側と介護される側の心のあり方にまで踏み込んでいる。本書では物足りない方は上記の著書を読まれることをお薦めします。
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きゅー
駅そばに詳しい著者が書く駅酒場の本。本書での駅酒場は「駅ビルや駅に付属する地下街を含めた広義の駅ナカで営業する、種類の提供を伴う飲食店」とのこと。北は根室駅から、八戸駅、立川駅、浜松駅、大阪なんば駅、博多駅と縦断する。冒頭で几帳面に駅酒場の定義が書かれているなど、著者は非常に几帳面。軽い読み物としても楽しめるけど、各種資料集としても利用できる価値あり。
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きゅー
数の子、紅白なます、しめさば、栗きんとん、だて巻きなど定番のおせち料理のレシピ集。買っておくものリスト、何日から何を始めるのか、盛り付け例など具体的なアドバイスもありがたい。
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きゅー
全11巻の第2巻は1983年~1987年にかけて執筆された文章が収録されている。第1巻よりも若干肩の力が抜けた感じで、精神医学についてや自身の過去について書いている。母の思い出では、「母は私を日当たりのよい場所に置くことをいつも願ったのだった。たとえ、それがわが身から離れた遠くでも」とある。このような気遣いが世代を越えて引き継がれたのだろうか。
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きゅー
発達障害(ASD/ADHD)の当事者である著者による、世界の見え方。理解できる部分もあれば、理解不能な部分もある。彼にとっての現実が多数にとっての現実とは異なるとき、そこに障害が生まれる。かつてDSM-Ⅱでは同性愛も精神疾患として収録されていたが、1974年の版でそれが削除された。同様に発達障害もやがて精神疾患としてみなされなくなる時代が来ることを著者は願っている。他方で現実の当事者に目を向けたとき、生きづらさを感じることが、むしろ選ばれているのは自分達だという傲慢さにつながることの危険性を指摘している。
きゅー
2024/02/22 09:03

脳の多様性やHSPを一種の選民意識としてはならない、と釘を刺す。参考文献一覧を見ると、テンプル・グランディン、綾屋紗月、ウタ・フリス、東田直樹などさまざまな発達障害当事者の引用を踏まえていることがわかる。読者で第二章が分かりづらい方は、第三章の小説風の部分を読むと良いと思う。バカすぎて笑えるが、第二章の内容を上手く盛り込んでいる。また著者は宗教2世でもある。少年時代の描写には目を覆いたくなる部分もあった。よくぞ生き残ったという気持ちと同時に、彼の絶望感が消えることは一生無いのだろうという恐ろしさを感じた。

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きゅー
数年おきに読書ができないときがやってくる。しばらく前そんな時期で、特に物語を読むことができなかった。物語を読むというのは実に精神の集中が求められる。以前転職活動をしていたときは心に余裕がなくどんな本も手に取ることができなかった。本書は、それでも本を読みたいと思っている人への優しい声がけとなっている。「私たちは「読む」ちからを取り戻す前に「ひとり」でいることに快適さを感じる感覚を取り戻さなくてはなりません」とは至言。結局は、孤独の時間を楽しむことが出来るかどうか、そこが分水嶺なのだろう。
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きゅー
短編集。前半は声を出して笑うほど面白いのに、後半とたんにつまらなくなるなど作品の質が乱高下する。前半のレベルで一冊まとまっていたらそれこそ傑作なのに。と言いつつも「誰よりもおかしな男」など、面白く無いネタを本当にこれっぽっちも面白く無く書くことで逆説的に自虐的な奥ゆかしさが生まれるという作品もあるので、どこまで意図的なところかわからない部分もある。
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きゅー
30人、150人、300人といった大量調理をするときのレシピ集。材料の分量だけ見ると30人分から単純に5倍、あるいは10倍しているだけのようだけと、調理過程での工夫(スパゲティは茹でてから水でぬめりを落とすなど)でカバーするようだ。これだけの分量になると調理の工夫以上に、専用の器具・機器などの力に頼るということが必要な気がする。
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きゅー
ウィルキンソンタンサンが1951年にアサヒビールから発売されていたというのが驚き。こんな歴史があったとは。マックスコーヒー、メローイエロー、はちみつレモンなど懐かしい飲料も。カルピスウォーターも衝撃的だった。一時期流行ったジャワティー、実は今でも販売している。軽い後味で飲みやすいのでケース買いで常備してる。
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きゅー
長年未読だった本書をようやく手に取ることが出来た。本書が描く社会体制に目を向ければディストピア小説として読めるけれど、それと同時に登場人物の内面に目を向ければ教養小説としても味わえる。「なんのために読むの?」との問いに対して、主人公は「見ることができるのに、見えていなかった」と答える。見えないものは理解できない、理解できないものは見えない。この螺旋を抜け出るための一つの手段が読書だ。私自身が体験していないことを他人の言葉を媒介に想像し、理解への端緒につなげる。
きゅー
2024/02/16 14:15

真の理解とは読書することそのものではなく、読書の後に反芻し、自らの体験へと受肉させた先にある。 本書でも、単純に本を読むことを称揚しているのではなく、本から得たものをどのように利用するのかという話につながっていく。 主人公モンターグ(MONTAG)は、ドイツ語で月曜日を意味する。 新たな日々がここから始まろうとしているのだろう。

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きゅー
やはり世界の図書館となるとスケールが違う。特にフィンランドのキルッコヌンミ中央図書館、セイナヨキ市立中央図書館、オランダのロックハルなどの近年建設された図書館は機能性と快適性を兼ね備えておりぜひ見てみたいものだ。他方で数世紀前に建てられた重厚な図書館も多く掲載されている。そんな中で目を引いたのが「マインクラフト」内にある検閲なき図書館。情報規制と戦うオンライン上のバーチャル図書館とのこと。建物ではなく、フリーアクセスこそが図書館の本質だと再認識する。
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きゅー
台所でつくる料理というよりも、そこで使う道具に焦点を当てた一冊。いろいろと共感できる部分が多いが、その中でも松徳硝子株式会社の「うすはり」タンブラーは自分も愛用しており、その良さを日々実感している。ビールを飲むときなど抜群で、グラスを通してではなく、直に喉に液体が注がれる印象を受ける。『スマイルフード』についても納得。何度も繰り返して読んだ一冊。2000年代頭のあの空気感を思い出す。
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きゅー
『週刊文春』に連載された「私の読書日記」を集めたもの。媒体が媒体だから(?)ポルノと女性の性に関する本が多め。さらに雑誌掲載の数ヶ月以内の比較的注目を集めた本が対象となっているようだ。ということなので今さら読まなくてもいいかなという印象。
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きゅー
井川直美の執筆にかける情熱が十二分に発揮された良書。18歳で単身ナポリへピッツァ修行に行った中村拓巳を軸に、関係する人々の人生やこの数十年の日本におけるナポリピッツァ受容の歴史が鮮やかに描かれる。著者とピッツァ職人との関わりの中心には信頼がある。それも一朝一夕のものではなく10年を超える付き合いがあるからこそ相手も胸襟を開き、酸いも甘いも味わった経験を語ってくれるのだろう。もともと著者は『シェフを「つづける」ということ』や『イタリアに行ってコックになる』など、イタリアンシェフについての著作がある。
きゅー
2024/02/09 16:42

本作はその延長線上にあって、より対象を絞ったものとなっている。何よりも本書の中心にあるのは、料理人そのものだ。彼らが成し遂げた成果や、彼らがつくる料理以上に、彼らそのものが対象として描写されていることに著者の誠実さと信念が見える。

が「ナイス!」と言っています。
きゅー
”日本の最も美しい”という言葉に偽りなしの図書館が41館。武蔵野プレイス、日比谷図書文化館、成蹊大学情報図書館、金沢海みらい図書館など錚々たる顔ぶれ。快適に図書館での滞在を楽しめそう。そんなことを書きつつも現実的に自分が図書館に求めるものはとにかく蔵書数。綺麗とか居心地良いとかは二の次、三の次。必要とする本があるかどうかが重要。両者を兼ね備えるのは非常に難しい。
Frederick
2024/02/08 07:29

表紙のところはともかく、ここに載るような図書館は大抵お金持ちなんで蔵書数も多いと思いますよ。まあ良書を揃えているかどうかは判りませんが。

きゅー
2024/02/09 16:04

できれば100万冊以上、と思うとなかなか候補は絞られる感じです。図書購入費用もさることながら、それを所蔵するためのスペース確保が大変です。

が「ナイス!」と言っています。
きゅー
タイトルに関係する内容は冒頭65ページまで。それ以降はひたすらライトノベル、マンガノベライズなど中高生向け小説等の内容紹介。タイトル詐欺だと思う。著者は研究者ではなく、ラノベやケータイ小説を専門とするライター。本書全体から漂うのは娯楽小説をばかにするなよという感情ばかり。子どもが読書へ興味を持つかどうかは環境ではなく遺伝的影響が大きいという主張が書かれているが、その根拠は1996年に出された論文一つだけ。中高生に人気なライトノベル等のあらすじを知りたい方はどうぞ。
が「ナイス!」と言っています。
きゅー
シリア料理のレシピ集。著者の男性はシェフではない。幼い頃に美味しかった母のレシピを受け継いで、まとめたものがこの一冊になっているという。その母の味も祖母から教わったものであり、先祖代々引き継いできた貴重な財産となっている。料理にはシリアにおける彼の家族の暮らしの本質がある。そのため今では戦禍によって世界に散り散りになってしまった彼の家族の話とともに、慈しむように料理のことが綴られている。家庭料理なので複雑な調理はされないが、その素朴さにひどくそそられる。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/07/11(4646日経過)
記録初日
2011/03/27(4752日経過)
読んだ本
2400冊(1日平均0.51冊)
読んだページ
547247ページ(1日平均115ページ)
感想・レビュー
2183件(投稿率91.0%)
本棚
4棚
性別
職業
事務系
現住所
愛知県
外部サイト
URL/ブログ
http://biblon.blog98.fc2.com/
自己紹介

昔から翻訳小説が好きで、いまだその深みにはまってます。
長編、劇作、詩、コミカルなものが好き。
短篇集、日本の小説、ミステリー、ファンタジーは苦手。
最近は、中央・東ヨーロッパの作家に焦点をあてて読んでます。

好きなシリーズ
文学の冒険(国書刊行会)
プラネタリー・クラシクス(工作舎)
東欧の想像力(松籟社)
大人の本棚(みすず書房)

好きな作家
高行健
グレアム・スウィフト
チェット・レイモ
ローレン・アイズリー
ライナー・マリア・リルケ
マルセル・プルースト
クラフト・エヴィング商會
フリードリヒ・デュレンマット
コニー・ウィリス
イタロ・カルヴィーノ
イスマイル・カダレ

ナイスについては、基本的に自分が読んだことのある本につけていますので、偏るかと思いますがご了承ください。

読みたい本リストはEvernoteで管理しているので、こちらでは登録していませんが、皆さまの読書記録を日々参考にさせてもらっています。

大学図書館で働いています。

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