ネタバレめちゃくちゃ面白い。この巻では特にオゴタイが知性と器量を兼ね備えた大カアンであることがはっきり示されるが、その知性の在り方はファーティマとは異なる形なのだ。ファーティマの知性はギリシアの伝統に連なる合理的・理性的な知にナショナリズム的誇りが結びついた状態だが、オゴタイはもっと柔軟で統治者としての器量と結びついた知に見える。確かに「知を武器に帝国と戦う魔女」というテーマからすると、「知の在り方」それ自体もテーマにならざるを得ないのだが、こんな射程の深さを見せてくるとは、トマトスープ先生、恐るべしだ。

ネタバレめちゃくちゃ面白い。この巻では特にオゴタイが知性と器量を兼ね備えた大カアンであることがはっきり示されるが、その知性の在り方はファーティマとは異なる形なのだ。ファーティマの知性はギリシアの伝統に連なる合理的・理性的な知にナショナリズム的誇りが結びついた状態だが、オゴタイはもっと柔軟で統治者としての器量と結びついた知に見える。確かに「知を武器に帝国と戦う魔女」というテーマからすると、「知の在り方」それ自体もテーマにならざるを得ないのだが、こんな射程の深さを見せてくるとは、トマトスープ先生、恐るべしだ。

ネタバレスパイダーマン版『ダークナイト・リターンズ』。年老いたピーターが再び立ち上がり、極度に抑圧的な政治に挑む。ただ解説にもあるように社会正義のためマッチョに立ち上がるバットマンとは異なり、スパイディはずっとメソメソしているし、ジジイになっても一人称は「僕」なのだ（この辺は訳者さんグッジョブ）。そのため、「ヒーローとは」を描いた『リターンズ』に対して、本作は徹底して「スパイダーマン（ピーター）とは」を描く形になっている。その試み自体は成功しているが、個人的には本作の各種のアイデアにあまり革新性が感じられなかった