「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」世の中には自分の子供より自分や恋人やお金が大切な親もいる。理不尽な家族のしがらみに巻き込まれて自分の幸せも諦める者もいる。18歳で8歳の妹、律を連れて住み込みで働き始める理佐。そんな環境下でも二人の心は清らかで周りの人々は温かい。みんな何処かに喪失を抱えていて、それを周りへの優しさで補っている。赤の他人でも手を差し伸べてくれる人が必ずいるのだと信じたくなる。コロナ禍の終わりの見えない日々の中生まれたペイフォワードの物語。

「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」世の中には自分の子供より自分や恋人やお金が大切な親もいる。理不尽な家族のしがらみに巻き込まれて自分の幸せも諦める者もいる。18歳で8歳の妹、律を連れて住み込みで働き始める理佐。そんな環境下でも二人の心は清らかで周りの人々は温かい。みんな何処かに喪失を抱えていて、それを周りへの優しさで補っている。赤の他人でも手を差し伸べてくれる人が必ずいるのだと信じたくなる。コロナ禍の終わりの見えない日々の中生まれたペイフォワードの物語。

夫の介護とその死を迎えて乗り越えて再び歩き出すまでの日々。できたことができなくなる人を見る辛さ。もう面倒を見る人がいなくて楽になったはずなのに淋しい。書いて書いてこの人はそうやってなんでも乗り越えていくのだろう。ちゃんと時系列で読みたかったなぁ。

文学部だったら、古本にあの頃興味があったら、美希喜のような大学生を送っていたかもしれないなと思いながら読んでいた。せっかく神保町の大学だったのに。生憎古本屋を営む親戚はいないけれど。古本の蘊蓄話は面白いし、神保町のグルメ情報も載っていて神保町に行きたくなってきた。珊瑚さんは北海道にいずれ帰るんだろうな。遅くきた青春時代はとても楽しそうだったからちょっと残念。

歌自体はよく分かっていないけれど、続くエッセイのような文から生きていくために働かなくてはいけない辛さ、短歌一本では食べていけない、それでも短歌を詠むことへの渇望が伝わってきた。働く詩人にエールを贈りたい。

平手打ちをされたくらい、「自分の感受性くらい」が刺さる。何もかも自分のせい。それでも守れるのも自分だけ。