…早い取り組みであり、情報枯渇で不安におののく市民を大いに元気付けることとになった。二月半ばまでに六万件を超える情報が寄せられたのは、まさに市民からの信頼の証しであったと思う。」(ラジオ関西社長の宮本和による「阪神・淡路大震災を振り返って」より、288-289頁)◆※放送内容の引用・再現については参考資料の『AM神戸震災報道の記録 被災放送局が伝えたもの(1995年8月)』による(と思われる)。この資料自体は非売品で参照できないが、(恐らく)同じ内容が同局HPで公開されており、そこに放送の抄録もある。
→ 震災報道の記録 『被災放送局が伝えたもの』https://jocr.jp/shinsai/ 。なお、未見だが、より詳細な放送内容を収録している思われる『RADIO: AM神戸69時間震災報道の記録』もあり。
…の位相という現実をちゃんと受け入れていたのなら、ボランティアの動員数の低下を、組織やマネジメントや分派的活動のせいにはしていなかったはずだ。撤収期の自覚があれば、無用にメンバー同士傷つけ合うこともなかったし、傷つけられることもなかったのにと、今まではそう思う。」(150-151頁)◆津金澤「流言飛語とメディア」;ネット・SNSが普及した現在でも通じる内容で全般興味深い。「膨大な量となった大震災関連の報道の中でデマや流言がらみの事件報道としてクローズアップされたもの」の最初の事件として挙げられている(続
…「大阪府中川和雄知事の「被災者炊き出し発言」問題」について、著者は知事・行政への不信感が根強く働いているなかで、この失言ないし暴言問題がうわさ・流言として浸透したと考えているが、個人的には、「自助」を強調する大阪府の行政の基本的姿勢が見て取れるもので、これは今の首長・与党と変わらないのではないかと思う。また中村鋭一参議院議員の予算委員会での流言拡散事件も忘れてはいけないだろう。
…できる環境を持てるように支援することが大事である。」(19-20頁)◆ある母親の回答から:「⑴悲嘆状態の変化」;「変化をあえて考えるなら、人の集まる場所に行けるようになったことから、3年半の歳月がもたらした心の癒しを感じる。しかし、決して私自身の変化が即「立ち直り」ではない。「立ち直り」は私にはないと思っている。心の悲しみ、苦悩からの心痛はいつまでたっても残ると思う。(94頁)「これまで周囲の方々から受けた言葉や態度で⑴してほしくなかったこと」;「「立ち直り」や「悲嘆にはプロセスがある」などと言って(続
…「あなたも、今は何年たつのだからこのような状態でしょう……」とおしつけがましく、私の状態を解明しようとする人々の話一人。ひとりひとりの感情をひとまとめにしてしまうような考え。」(95頁)
…たい」と関わることは、「援助」というより、「協働」という言葉の方がふさわしい活動となり得る。実際、あの困難な状況の中での多くの活動実績を残してきたのも、この立場による重みによるところが大きい。」(269頁)◆「しかし、震災遺児の抱える問題は「精神論」だけで済まないところに、その深刻さがある。自立までの長期間の生活費、特に教育費を確保しなければ、学歴や就職時の困難など、二次的な被災被害を招くことになりかねない。それを防ぐ奨学金制度の充実に向けた取り組みが並行してなされてきた。同会の活動は、この(続
…「両面作戦」で進められてきた。あの混乱した状況下で震災一を探し出した「ローラー調査」は同会の前身である交通遺児を励ます会や交通遺児育英会などで蓄積されてきた活動のノウハウであった。遺児の思いを作文集として“形”にし、面接による実情調査で問題を客観的に把握し、従来から連携してきたマスメディアに向けて発信するといった方法論も、同様に長年の取り組みの中で整理されてきたものである。緊急時の努力でも、積み重ねが結果を左右するのである。」(271頁、以上ボランティア事務局長)
◆「医の倫理として、医師は緊急時に患者を優先すべきは当然であるが、大震災のような時には、それを阻害する要因が多くてそれを実行できない場合があることを思い知らされた。とはいえ、結果的に家族を優先させてしまった婿、そして私……決して心は晴々したものでなく、長田で燃え続ける煙のように曇りがずっと続いている。」(9頁)◆「考慮すべきことは、大震災という心傷後に起こってくるストレス障害は、特別に起こってきたわけではなく、その人が震災まで引きずって持っていた問題(内的外的)が、大きな衝撃の中で、恐怖と共に意識化(続
…され、噴出してきたものである。本人にとって新たな問題のように思えるが、そうではないのではないか。なんとなく問題を抱えて生きてきて、生死を体験する中で、問題が新たな生きる問題として意味を持つようになる。この問題を通して創造的な生きる糧とするか、滅びの材料として受け取るかは。新たな生き方に大きな意味を与えるかどうかにかかっている。」(130-131頁)
…生じたようです。私は最初に徐先生と衝突したこともあり、ボランティアとして働くことで病院に迷惑になるようなことだけはやるまいと考えました。それで、医師が余って医療の仕事がないときは、『雑用』をすることにしました。病院の維持には絶対に欠かせない水くみや炊き出しなど、まだまだ人手が不足しているところもありましたし、その仕事を担当しているボランティアの人たちも疲れていたので、少しでも手助けになればと積極的に一緒に働きました。」(167頁)◆神戸みどり病院の院長で『孤独死』(岩波書店)の著者の額田勲氏も登場(続
…する。額田氏は金院長と大学の同級生で、金が「疲労と興奮によるストレスの蓄積によって、異常をきたしつつあるという認識をもち」、休養を勧めた。このあたり(171頁-178頁)の記述では、院長をはじめ病院のスタッフが疲労と混乱、衝突のピークにあったことがありありとわかる。
…村山富市内閣総理大臣への献言という形で集大成を試みた」とある(以上、あとがきより)。前半はクリントン政権のアメリカの北朝鮮への宥和的外交とそれに追随する日本を批判し、弾道ミサイルとABC兵器の脅威をふまえた安全保障体制と「軍政学」の重要性を主張するもの。また後半は震災のみならずサリン事件も含めて、災害時の総理・官邸への情報と指揮権の集中、あくまでシビリアンコントロールの下での自衛隊の積極的出動、そのための地方自治の見直しも含めた法制とハードの整備を主張。◆東日本大震災や能登半島地震での事態の推移を(続
…ちゃんと知らないといけないのだが、被災者になる地方自治体に消防や自衛隊の指揮をさせるのは重荷でありその能力もないから権限を国に委譲せよ、というのは極端で、自治体と現地駐屯部隊の連携は(平常時から)訓練・強化しておくことに越したことはないし、空中消火や破壊消防は、総理・官邸・総務省がゴーサインを出して人命・私有財産の喪失の責任を引き受けることは必要だろうが、具体的な作戦は実働部隊と自治体の判断と連携如何ではないのか。地方自治体の危機管理能力を高めておくことも重要でないのか、と(石川県の状況を見て)思う。
…大震災を体験している職員だからこそ、このような煩雑な作業も熱意を持ってできたことではないかと考える。」(31頁)◆「「震災文庫」が電子図書館システムに移行するまでは、ほぼすべてが図書館職員の手作りシステムであった。1995(平成7)年10月30日の「震災文庫」公開に合わせて同僚がPerlでCGIプログラムを作成して検索が可能となった。資料収集や公開方法、あるいはデータ作成について、新たな方法を創りながら希望や要望を出していく私、そしてそれを得意な知識や力を活かして実現してくれる同僚との連携作業の積み(続
…重ねでシステムをつくっていったのであった。網羅的収集という図書館としての初めての試みにとりくむためには、試行錯誤を積み重ねるしかなく、また様々なアイディアを発揮するしかない。アイディアを出すのが苦手でも、「こういうシステムできないか」と言われると実現しようと知恵をしぼる。そういう人もいる。異なる能力を二人三脚させているようなものである。」(51頁)
◆出身校である神戸大学の被災状況についても、分量を割いて紹介されている。そこで引用されている、亡くなった学生や教職員への追悼文は現在も神戸大学のニュース団体(神戸大学ニュースネット委員会)のホームページで読める。 https://kobe-u-newsnet.com/newsnet/sinsai/tokusyu/tuit_top.htm
…頑張ってたけど、4日ほどで続けられなくなった。閉じたことが悪いんじゃないんですよ。支援が入らなかったら、それが限界なんですよ。同じメンバーで、寝もせずにずーっとやっていたら、まだやれと言う方がはっきり言って無理。うちだって支援が来たから継続できた。支援のない孤立した病院ばかりだったらどうなってたでしょうね。だから、送る側の問題、受ける方の問題、それぞれがあるんだろうけど、民間病院にも支援を送り込める体制が必要だと思います。民医連があったからよかった、というだけのことで終わってはいけない。(続
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます
…早い取り組みであり、情報枯渇で不安におののく市民を大いに元気付けることとになった。二月半ばまでに六万件を超える情報が寄せられたのは、まさに市民からの信頼の証しであったと思う。」(ラジオ関西社長の宮本和による「阪神・淡路大震災を振り返って」より、288-289頁)◆※放送内容の引用・再現については参考資料の『AM神戸震災報道の記録 被災放送局が伝えたもの(1995年8月)』による(と思われる)。この資料自体は非売品で参照できないが、(恐らく)同じ内容が同局HPで公開されており、そこに放送の抄録もある。
→ 震災報道の記録 『被災放送局が伝えたもの』https://jocr.jp/shinsai/ 。なお、未見だが、より詳細な放送内容を収録している思われる『RADIO: AM神戸69時間震災報道の記録』もあり。