ネタバレ最近叙述トリックが込んだ小説や映画を見すぎたせいで、少し物足りなさを感じた。ただ自然と読み進めることができ、成瀬のキャラクターは魅力的であった。地元愛に富んでいて、公立の学校で周囲のコミュニティに馴染み突き抜けた結果を残していく。そんな子でも大事な親友の存在がいて、状況によって親友とのやり取りでメンタルがぶれてしまう。突飛なようで等身大の主人公で好感が持てた。滋賀にフォーカスされているが、西武やM-1等自分も分かるネタで楽しめ、変に心を揺さぶられずに楽しめる小説、という点で評価されていることも理解できた。

ネタバレ最近叙述トリックが込んだ小説や映画を見すぎたせいで、少し物足りなさを感じた。ただ自然と読み進めることができ、成瀬のキャラクターは魅力的であった。地元愛に富んでいて、公立の学校で周囲のコミュニティに馴染み突き抜けた結果を残していく。そんな子でも大事な親友の存在がいて、状況によって親友とのやり取りでメンタルがぶれてしまう。突飛なようで等身大の主人公で好感が持てた。滋賀にフォーカスされているが、西武やM-1等自分も分かるネタで楽しめ、変に心を揺さぶられずに楽しめる小説、という点で評価されていることも理解できた。

ネタバレ話の構成に脱帽した。あらゆる設定・会話に伏線があり、丁寧に回収しきって爽快感があった。最近職場の同僚の働き等を踏まえ採用の難しさを考える機会が多いが、簡単に人の事がわかるわけもなく、作中で元人事部長の人も言う通り、簡単に人の事が分かるのなら不幸な転職も離婚も起こらない。会社も嘘をつく、のような文脈になりがちだが良い会社と良い人は誠実に向き合う努力を続けていて、その選択の積み重ねが良い結果に繋がるのだろう。物事を波多野のようにプラスに捉えるか九賀のようにマイナスに捉えるかの差分が人生に及ぼす影響は大きい。

ネタバレ朝井リョウの小説から彼なりの世界の見え方を感じるのが好きだったが、構造的な部分でもう本人が喋っちゃってるじゃん、となっていた。（それが面白いのだが）明らかに正欲の文脈の延長線上の話で、途中もしかしたら正欲と同様に主人公が共同体に貢献する方向になるのかもしれないと思ったが、それとは全く異なる「時間が進むことで技術が発展し自分が望む未来がつくられる」「時間を進めるだけの趣味を作る」ことで幸福な日常を送る、という方向へ話がまとまったのでこれも一つの答えなのかと感動した。