絲山さんの本は3冊目。どれもユーモラスでクスッと笑えて好き。「勤労感謝の日」のお見合いのシーンなんか主人公の女性の毒舌ぶりがリアルで、飾らずに等身大の姿をさらけ出している様が凄く好感を持てる。芥川賞の表題作は少し文章に堅さを感じたけど、良かった。学生時代の ″友人″よりも、会社の ″仲間″と親密になっていくよね、毎日顔を合わすんだもの。男女間の友情の描き方も秀逸。お仕事小説らしいけど、人と人との距離感というか機微を描いた人間ドラマとして楽しめた。「みなみのしまのぶんたろう」は全編ひらがなで挫折…

最初の15ページぐらいで挫折しそうに。投資には本当に疎くて、利回り計算を繰り返す華美が意味不明だったし浅ましく感じてしまった。一方、恋人の直幸もまた極端な人物造形で癖が強いのだが、どちらも味のしない煎餅の表面に無理やり醤油を塗りたくったかのような奥行きの無さ、あまり生命感が無かった。羽田さんの小説にはストイックな人物がよく出てきて不思議と共感できる部分があったんだけど。私の生き方とかけ離れているので興味を持てなかったんだと思う。小難しい事なんか考えずにお金を使ってきたので、不向きなテーマだったのかも。

絲山さんの本は3冊目。どれもユーモラスでクスッと笑えて好き。「勤労感謝の日」のお見合いのシーンなんか主人公の女性の毒舌ぶりがリアルで、飾らずに等身大の姿をさらけ出している様が凄く好感を持てる。芥川賞の表題作は少し文章に堅さを感じたけど、良かった。学生時代の ″友人″よりも、会社の ″仲間″と親密になっていくよね、毎日顔を合わすんだもの。男女間の友情の描き方も秀逸。お仕事小説らしいけど、人と人との距離感というか機微を描いた人間ドラマとして楽しめた。「みなみのしまのぶんたろう」は全編ひらがなで挫折…

とあるマンションで起こる騒動の数々を描いた連作短編ミステリ。登場人物がとにかく多いので部屋割りをメモるべし、という事前アドバイスのおかけで混乱は免れたけど、いやーややこしい。話が前後するし時間軸は分かりにくいし、トリックを見破るのは不可能に思えて途中で諦めた。これだけ曲者揃いの連中が集まってる集合住宅なんて現実的じゃないなぁ、と冷めてしまった。けど、文体は抜群に読み易いからすらすらページは進むしなんとも奇妙な感覚。この軽さ、好きな人はハマるだろうなと思った。私はもう少し重厚なのが好み。