表題作の『中国行きのスロウ・ボート』が一番良かった。それがいけないと理解しつつ、中国人へ冷徹な振る舞いをしてしまう、いやそうなってしまう如何ともしがたい軽蔑心。その度に襟を正すのだが、またどこかでレールを外れてしまう。そしてずっと繰り返してしまう。そういう脛の傷を、抉るでもなくさっと言い当てられてしまうような。刺さるね。

表題作の『中国行きのスロウ・ボート』が一番良かった。それがいけないと理解しつつ、中国人へ冷徹な振る舞いをしてしまう、いやそうなってしまう如何ともしがたい軽蔑心。その度に襟を正すのだが、またどこかでレールを外れてしまう。そしてずっと繰り返してしまう。そういう脛の傷を、抉るでもなくさっと言い当てられてしまうような。刺さるね。

個人的なキモは「誰か／何かを真似ようとしないこと」のあたりで、そこは意識しないとなーと。後半は芸術鑑賞における「リズム」の話が手を替え品を替え続いており、そこはある程度できている自負があるので、「うんうん」と頷きながら読む。しかしそれを生活に取り入れるというのはかなり難しい気がする。