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2024年3月の読書メーターまとめ

ヘラジカ
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感想・レビュー
10
ナイス
824ナイス

2024年3月に読んだ本
11

2024年3月のお気に入り登録
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2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ヘラジカ
<国境三部作>完結篇。『すべての美しい馬』を読んでから約8年、「遂に読み終えてしまった」という一抹の寂しさを覚える。あまりにも非情で、あまりにも不可解で、あまりにも美しい神話世界。古臭い西部劇をここまで崇高なる文学作品に仕立てた作家が他に存在するだろうか。エピローグは途轍もなく難解だが、その理解の容易ではない哲学こそがそのままこの世界のありようなのだと勝手に納得してしまった。遺作を読んだときに覚えると思った寂寥感をもう味わっている。いつか三作まとめて時間を置かず通しで読みたい。
ヘラジカ
2024/03/07 17:29

1998年ニューヨーク・タイムズ年間ベスト。小説としてはやはり第一作の『すべての美しい馬』が好きだが、『越境』も『平原の町』も、思弁的で難解だが凄い小説だと思う。最近になって漸く初期の作品も邦訳されたのでこれからマッカーシーにハマる人は(いるかどうかは分からないが)とても幸せだと思う。

が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
10

ヘラジカ
遂に完結した三部作。前作の終盤は思うところもあり、あまり好意的に評価できなかったのだが、この3作目は掛け値なしに素晴らしい。第1作、第2作と壮絶な黙示録を経て、新たなる創世神話が生まれるまでを描いた傑作である。完訳は遅れたものの、コロナ禍に揉まれ、軍事的な衝突や気候変動によるありとあらゆる危機を体感する現在の我々は、特別な臨場感をもって読むことが出来るのではないか。登場人物に思い入れを持つには前作読了からかなりの時間が経っているのに、ラストの語りには切なさで思わず涙腺が緩んでしまった。流石はアトウッド。
ヘラジカ
2024/04/01 20:21

2024年3月の新刊。2013年ニューヨーク・タイムズ年間ベスト100。ファッ〇の下りとかお決まりの「歌わないで」とか、ユーモアが炸裂していて大笑いできる明るさもあって読みやすい。ゼブpartはまたトーンの違う近未来小説の面白があって最高。

が「ナイス!」と言っています。
ヘラジカ
まず前作を読み終えてから5年以上経っていることに驚いた。冒頭にこれまでの粗筋が書かれているのだが、少し辛口気味に感想を書いた『洪水の年』はあまり覚えていないのにやはり『オリクスとクレイク』は最後までばっちりと記憶していた。さていよいよ待ちに待った最終巻、人物の関係を把握するのに時間はかかるが、ストーリーテラーとしてのアトウッドを堪能出来ている。詳細な感想は下巻へ。
ヘラジカ
2024/03/29 07:10

2024年3月の新刊。それにしても三部作全て翻訳者が違うというのは少し残念だ。

が「ナイス!」と言っています。
ヘラジカ
文章は至って硬質。淡泊で感情が排されており、読者が何らかのシンパシーを抱くことをまるで想定していない感がある。そのために読んでいる間の疲労度はかなりのものだが、ノンフィクション小説として、それに対して安易な感想を言えるはずもない。ただ、「こんな現実があったのか」という言葉だけである。ポストメモリーという概念を初めて知った。アンヌ・ベレスト『ポストカード』、ナターシャ・ヴォーディン『彼女はマリウポリからやってきた』等と共に、個人の物語こそが歴史を風化させないために必要なのだと再確認させてくれる一作。
ヘラジカ
2024/03/29 07:09

2024年3月の新刊。2022年ゴンクール賞最終候補作。この年同じく最終候補作の『クレムリンの魔術師』も既に邦訳されているので受賞作も是非お願いしたいところ。

が「ナイス!」と言っています。
ヘラジカ
『通り過ぎゆく者』を補完する“兄妹”作品。あちらの感想では「集大成」と書いたが、正確に言うならばこの二作はマッカーシー文学の源流もとい淵源であり、文字通りの世界観を純粋な形で小説にしたものではないか。『通り過ぎゆく者』がフィジカルならば、この『ステラ・マリス』はスピリチュアルを担う作品として読んだ。衒学的な対話は難解だが作品自体はとても読みやすい。尋常ならざる視覚と視野、物理学と哲学が交錯するところに生まれた独特の死生観。文学において唯一無二の超越的存在であることを再確認できる圧巻の巨編であった。
ヘラジカ
2024/03/22 20:50

2024年3月の新刊。この遺作を前に邦訳されていなかった初期作品が次々と出版されたことが喜ばしい。これから読む人はその前に是非とも他のマッカーシー文学に触れてほしい。自分にとって『ブラッド・メリディアン』『ザ・ロード』<国境三部作>『血と暴力の国』どれもを取っても欠かせない作品だ。

が「ナイス!」と言っています。
ヘラジカ
熱心にコーマック・マッカーシー作品を追ってきた読者なら、これが「白鳥の歌」であることを頭に置かずとも所謂の集大成的な作品であることが意識されるだろう。取り分け特異な兄妹の関係性を見ると、先に邦訳が出版された初期の作品『アウター・ダーク: 外の闇』を思い浮かべずにはいられないはず。筋書きは茫漠としており一読で全貌を掴むのは到底不可能だが、ところどころの対話や描写には最高傑作『ブラッド・メリディアン』を髣髴とさせる気迫を感じた。詳細な感想は『ステラ・マリス』へ。
ヘラジカ
2024/03/20 21:31

2024年3月の新刊。2022年ニューヨーク・タイムズ年間ベスト100。もうすぐ読んでいないマッカーシー作品が無くなってしまうのが寂しくてたまらない。

が「ナイス!」と言っています。
ヘラジカ
初めて読む本格的なハワイ文学。獰猛な資本主義の闇、文化や人間同士が生み出す残酷な現実、そのなかで抗いながら生きる家族の愛と絶望の物語。そして、退廃の中においても息づく母なる大地の神秘を描き切った力強い幻想文学でもある。はっきりと明快には語られていないのに、人々が生きて育んできた歴史の重み、神々や精霊が宿る地の力をまざまざと見せつけられたようだ。荒々しくはあるが正に入魂の筆運び。ポリフォニックな語りをものにした意欲的な構成にも感服した。これもまた驚異のデビュー作である。これからが非常に楽しみな作家だ。
ヘラジカ
2024/03/29 07:03

2024年3月の新刊。2020年ニューヨーク・タイムズ年間ベスト100。賛辞を送っている作家がトミー・オレンジ、マーロン・ジェイムス、ヴィクトール・ラヴァルと豪華。アメリカはすごい新人作家が次々と生まれる。

が「ナイス!」と言っています。
ヘラジカ
確かに傑作『クラウド・アトラス』や『ステーション・イレブン』などを思い起こすスリップストリーム文学の新たなる秀作である。場人物同士がゆるやかに繋がる連作短篇形式だが、舞台は日本とアメリカを中心に遥か遠くの宇宙までとかなり壮大。喪失と哀感を強く描いた終末小説でありながら、厭世や絶望だけに留まらない啓けた観念的な世界をも作り上げている。成る程、これは確かにル=グウィンに連なる文学だ。作者も意識してると思われる『インターステラー』好きにもお勧めしたい。これからが楽しみな作家だ。
ヘラジカ
2024/03/20 21:24

2024年3月の新刊。

が「ナイス!」と言っています。
ヘラジカ
言葉が全く通じない異国を彷徨う家族。一種の不条理劇と言えようか、非常にユニークなロードノヴェルとも読める。とにかく行動が裏目に出てドツボにハマっていくのだが、それも完全に理不尽な出来事のせいばかりとも言えない。言葉の分からない島国で生活せざるを得ない背景、語り手の性格や自我が露わになるにつれて、リアリスティックな同情や反感を覚えてしまう。貧困や、”男として父親として”と言ったパターナリズムの軛に繋がれた物悲しさ。終着点はどこか気になって一息に読んでしまう程の面白い小説だった。開放的なラストも大好き。
ヘラジカ
2024/03/09 16:22

2024年3月。こちらも『ポルトガル文学傑作選』で出会った作家。ペイショットやタヴァレス等、数年をかけてではあるが着々と長篇が邦訳されているのが嬉しい。アンソロジーって良いよね。

が「ナイス!」と言っています。
ヘラジカ
<国境三部作>完結篇。『すべての美しい馬』を読んでから約8年、「遂に読み終えてしまった」という一抹の寂しさを覚える。あまりにも非情で、あまりにも不可解で、あまりにも美しい神話世界。古臭い西部劇をここまで崇高なる文学作品に仕立てた作家が他に存在するだろうか。エピローグは途轍もなく難解だが、その理解の容易ではない哲学こそがそのままこの世界のありようなのだと勝手に納得してしまった。遺作を読んだときに覚えると思った寂寥感をもう味わっている。いつか三作まとめて時間を置かず通しで読みたい。
ヘラジカ
2024/03/07 17:29

1998年ニューヨーク・タイムズ年間ベスト。小説としてはやはり第一作の『すべての美しい馬』が好きだが、『越境』も『平原の町』も、思弁的で難解だが凄い小説だと思う。最近になって漸く初期の作品も邦訳されたのでこれからマッカーシーにハマる人は(いるかどうかは分からないが)とても幸せだと思う。

が「ナイス!」と言っています。
ヘラジカ
カフカとミレナ、二人の間で交わされた書簡。その完全に失われてしまった半分を想像によって再現している。残念ながら実存する『ミレナへの手紙』は未読だし、二人の関係がどのようなものであったか正確に知らないのだが、それでもまるで作者にミレナが憑依して書かれたのではないかと感じるほど魂が籠められた文章だった。読んでいてプライベートに踏み込んでいるような、禁忌を犯しているような感覚に襲われることも屡々。簡素な試みではあるが非常に実験的な文学作品だとも思う。但し、はっきり言うと小説としては読んでいてそこまで面白くない。
ヘラジカ
2024/03/05 06:56

2024年2月の新刊。カフカの大ファンか、少なくとも非業の死を遂げたその恋人に興味がある人にとってはもっと面白く読める作品なのかもしれない。没後100周年記念作品とのことで、あまり一般大衆向けの小説ではないかも。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/09/24(4593日経過)
記録初日
2011/09/24(4593日経過)
読んだ本
1768冊(1日平均0.38冊)
読んだページ
610313ページ(1日平均132ページ)
感想・レビュー
1298件(投稿率73.4%)
本棚
24棚
性別
年齢
32歳
職業
自営業
現住所
群馬県
自己紹介

鹿好きの読書好きです。
海外文学とロックをこよなく愛しています。

オススメされたら大抵はどんな分野の本でも興味を持つので、趣味が合いそうな方も、そうでもない方も、読書好きであれば気軽にお声かけ下さい。よろしくお願いします。

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2014.7.25
コミュニティを設立しました。
【岩波文庫愛好会】 http://book.akahoshitakuya.com/c/333700

*アイコンは本を読ませまいと頑張った結果寝てしまった愛猫

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