この作品、SCPに触れているかどうかで大分評価が分かれている印象。そういう意味でも電書向きというか、ADVゲームとして出した方が受けそうだ。
(大昔にOVA一巻だけ見た記憶がありますが、それとも大分印象が異なっている訳で、ただ、アニメ版の方がより叙情的な印象を覚えたことを記憶しているため、もしかして皆アニメ版しか、もっと言うと、あの素晴らしく格好良いOSTの、零のテーマしか知らないのでは? 等と少々勘繰ってしまったり。逆に、本書を本当に読んだ上で評価されているとしたならば、SFの未来は相当に明るい──明るかった、とも言えるでしょうか)(それとは関係ない話ですと、深井零とブッカー少佐のその、そういう関係のむせるような匂わせはなんなのでせうかね)
感想を読んでいて初めて知ったのですが(電子書籍版には後書き解説がないという体たらく)、本作の刊行年が94年だという事実に、全く感じさせないその新規性に、ぐらり目眩がしてきました。チャットGPTは直ぐに名前を「ワーカム」に改名するべきなのではないでしょうか? 名前だけ独り歩きしていて大したことない「メタバース」(スノウ・クラッシュ)より、遥かに広まるべき作品でしょ、これは……
個個の短編についての話をすると、特筆すべきはやはり『似負文』と『碑文』になるでしょうか。「幻視をもたらし、精神を書き換えるテクノロジー」、口にするのは簡単ですが、言っただけでは(どれだけ巧みに語った所で、現実に効果を与えられなければ)ただの設定に過ぎません。『似負文』は物語の構造と演出でもって、語られた設定通りの効果を読む者に与える、稀有な作品となっています。これは『碑文』も同じですが、こちらは短篇集の総括で、しかし「これしかない」巧みさは変わりません。どちらも読んだ瞬間、思わず奇声をあげちゃいました。
なお、本書はカクヨム版が先にありまして、これを読むキッカケも、そちらが先でありました。基本的な内容に変化はないのですが、その構造上、目次リンクが存在し、情報を瞬時に相互参照可能にするカクヨム版の方が、本書ならではの味わい自体は楽しめるかと思います。なのでぶっちゃけ、本書を書籍で手にしたのは、一種のお布施に他ならないのですけれど、書籍版には書籍版限定の追加コンテンツが含まれています。何故書籍版にしか入っていないのかも含めて納得の内容になっているので、カクヨム版で読んだ方もまた是非読まれると良いでしょう。
潜ればヘドロも青の味わい。
SFとか幻想とか奇妙な味とかの類が好き。
気が向いた時にダラダラ読みます。
座右の銘は「ディックと押井守を好きな奴はモテない」
対戦よろしくお願いします。
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なお、本書はカクヨム版が先にありまして、これを読むキッカケも、そちらが先でありました。基本的な内容に変化はないのですが、その構造上、目次リンクが存在し、情報を瞬時に相互参照可能にするカクヨム版の方が、本書ならではの味わい自体は楽しめるかと思います。なのでぶっちゃけ、本書を書籍で手にしたのは、一種のお布施に他ならないのですけれど、書籍版には書籍版限定の追加コンテンツが含まれています。何故書籍版にしか入っていないのかも含めて納得の内容になっているので、カクヨム版で読んだ方もまた是非読まれると良いでしょう。