ネタバレ「学問で世界が広がってヤバい環境から抜け出す」話とみせて（いやそういう話なんだけど）それ以上に「家族というカルトの根深さ」の印象のほうが強い。悪魔に支配された国が自分らを排除（もしくは洗脳）しようとしているという妄想に囚われた父とそれに依存する家族。明記はされないが妹に対して酷い虐待を続ける兄。著者は彼彼女らを完全に切り捨てることはなく逡巡しまくる。実際にそこには「愛」が存在している。完全な搾取ではないのだ。それが問題なんよな。

ネタバレ「Today There Are No Gentlemen」今やもうジェントルマンはいない。一方でメンズファッションは生まれた。原題に対する良い邦題。結論からいうとジェントルマンはいなくなってメンズファッションは生まれたのだが、結局は「メンズファッションがアイデンティティの依り代になる」わけで面白い。ファストファッションによる文化の劣化みたいなの言われるけどそんなものは50年代から起こっている。ヘップワースという大手テーラーチェーンがハーディエイミスというデザイナーを起用したのもUQと同じだ。