パンデミック下の罪を描いた短編が6篇。初出の掲載順そのままらしく、暗中模索・疑心暗鬼の前半から、徐々に新たな日常へと移行していく流れがリアルで興味深い。前半３編が立て続けにかなりダークだったので、ありゃイヤミス系に行っちゃったのかと思いきや、後半３篇でじんわり・しみじみ心の奥を揺さぶられる。やっぱり巧いねぇ。「好書好日」のインタビュー (https://book.asahi.com/article/15142417) で語っている「がっつり社会的なもの」も楽しみに待ちたい。

パンデミック下の罪を描いた短編が6篇。初出の掲載順そのままらしく、暗中模索・疑心暗鬼の前半から、徐々に新たな日常へと移行していく流れがリアルで興味深い。前半３編が立て続けにかなりダークだったので、ありゃイヤミス系に行っちゃったのかと思いきや、後半３篇でじんわり・しみじみ心の奥を揺さぶられる。やっぱり巧いねぇ。「好書好日」のインタビュー (https://book.asahi.com/article/15142417) で語っている「がっつり社会的なもの」も楽しみに待ちたい。

辛い。しんどい。WWII 時のポーランドで起きた惨劇（放置された捕虜同士のカニバリズム）を元ネタにしたモノローグ芝居の原作翻訳。あまりにヘヴィすぎてほとんど苦行だったものの、四半世紀近く前に端正な音訳を残してくれた先達の成果を世に残すべく、ほぼ義務感と使命感のみで読了＆DAISY編集を完了。あー、しんどかった。ちょっとググってみたら、近年では加藤健一の息子が上演したりしてて、そっちも軽くびっくり。

言葉は生き物。時代と共に変化していくのは分かっていても、いやそれは違うんじゃないのと引っ掛かる表記や表現が、最近ネットのみならずTVのニュースやドキュメンタリーでも激増してて、それが発信側の劣化・素人化のせいなのか、それとも己の老害化傾向なのか、わりと真剣に悩ましい今日この頃。なので、現役のプロ＝校閲記者も迷うというポイントを、かなりの割合で共有できたのは嬉しくもあり、心強くもあり。新語では、家制度の緩みから派生した「義実家」が納得の定着っぷりで、最終章のコロナ下の言葉などもいろいろ面白かった。

子どものいる一般家庭の食卓をテーマに、89軒の10年後と20年後の変化を追跡調査。初回調査の240軒からは激減したとはいえ、なかなかこんなデータは取れないと思われ。人の記憶ってこうも都合よく改ざんされていくものなのかとか、同居老人の孤立が怖すぎとか、いやもうそれ家族じゃなくてシェアハウスじゃんとか、いろいろ衝撃的なエピソードがてんこ盛り。うちも炊飯器はとっくにないし、味噌汁もお椀じゃなくてスープカップ派だけどさ。。。

底知れない悪意の三連発にげんなり。彼女が割に合わない、納得できないと感じるポイント自体には強く共感しつつ、そこから「死ねばいいのに」とか「不幸になりますように」とか「絶対に忘れない」とかの呪いへ向かう距離が短すぎて背筋が冷たくなる。中途半端なイヤミスやホラーより怖いし不快。純度の高い悪意という点で幼児の残酷性を連想しつつ読了。あー、しんどかった。