本屋大賞受賞も納得の一冊。西武百貨店の閉店を最後まで見守り、M-1グランプリに参加する目標を達成し、何よりも地元愛の強い主人公、成瀬あかりを章ごとに視点を変え追っていく。相方の島崎、大津在住の男性、同じ中学の大貫、百人一首大会に参加した広島の高校生、そして成瀬本人の視点から"成瀬あかり"を見ることで"単に変わった子"ではなく、不思議だけど魅力ある存在になり、いつしか読み手まで成瀬に惹きつけられてしまうのです。勘違いもするけれど、表裏のない、適度に距離を保てる関係がいいなぁ。

三舟シェフと志村さんの言い合い（しかも志村さん優勢）から始まる本作。中々気になる出だしです。印象的なのは三舟シェフのフランス放浪時代の話。場所を転々としながら美味しいフレンチの味と技をモノにしたいと奮闘する様子が興味深いです。作り方を教えてもらっているのにうまく作れないもどかしさ、その壁を乗り越えて今があるのですね。鋭い洞察力はその時から健在でした。『タルト・タタン』でもよく出てきた"ヴァンショー"を真似てホットワインを作ってみましたが、体が温まってホットしますね。お気に入りのビストロがほしいです。

タルト・タタン再読に次いでこちらも。またしても2冊目を差し置いて3冊目を先に読んでしまった。だからだろうか？1冊目と何となくだが、雰囲気に違和感あり。気付きポイントをメモ。（校閲ガールの影響か気になる点が出てきた）◯P.37誤字 　「買い物や映画も込んでいる」→「混んでいる」◯P.77 タルトの時にはビールは置いていなくて白ワインをお勧めしていたけど、いつの間にビールを置くようになった？2作目で何かあった？○P.111 志村さんの口調がリンさんのものと混じってしまっている？違和感がある　続き、、、

一度見た映画の印象が強かったのか、読んでいくうちに内容を思い出し、話の輪郭がはっきりし出した。飾っ気ないけど奥深く、年を重ねるほど良さがわかる作品。日本を"捨ててきた"3人が大体に目の前の道を進んでいく。が、遠慮、謙遜…その辺は日本人らしい振る舞いがどこかおかしい。イメージと違うヘルシンキの街や人。どこか冷たい、なんだかつまらない…そんな現実と直面しつつ、異国でおにぎりのお店を営む3人のやりとりに和みます。映画のキャスト: 小林聡美、片桐はいり、モタイマサコ。この上ない組み合わせです。

子育てをしていたら、温かいお料理を温かいうちに、なんてすっかり諦めていましたが、やっぱり温かいうちに食べたいよなぁと言う思いが沸々と湧いてきました。美味しいね、っていいながら食べる食卓は本当幸せだと思うし、誰かを思い出して食べる温かい食事は、今後の原動力なんだと思います。"こーちゃんのおみそ汁"は読んでいて涙が止まらなくなりました。とっても静かな文体のどこに刺激されているのか分からないけれど、人前では読めませんね。"ポルクの晩餐"もユニークな発想で楽しみました。美味しいものは食べたいですよね（笑）

下町のビストロ・パ・マル。二人のシェフとソムリエ、ギャルソンの僕の4人で切盛りする小さなお店。そこで繰り広げられる珍事件。フランス料理を絡めた、美味しくて心にじーんと来る解決方法に、この店の虜になってしまう事、請け合いです。僕目線で進行するお話がフランス料理店を舞台にしていることから少し大人な雰囲気を醸し出し、見たことも聞いたこともない料理につい想像を膨らませている自分がいます。タルト・タタンとヴァンショーはどうも気になりますね。カスレも一度は食してみたい一皿です。アルコールに浸したフルーツも面白いですね

本書の制作にあたって作者は暴力団関係の資料を集めたのだろうが、足を踏み入れて良かったのだろうか。自分には勇気がない…読んでいて怖かった。が、ページを捲る手が止まらなかった。暴力団相手にする警察官、通称"マル暴" のベテラン大上と、新人の日岡。組員達のいざこざの仲介をしたり事件解決に奮闘するが、これまでの刑事物とは全く違った手法だった。ドスの効いた脅し文句に広島弁が相まって相当迫力を感じ、大上も組の者もかなりの強面だろうと脳内でイメージを作り上げていた。急展開に更なるしかけ。最後まで緊張感ある作品だった。

知的障害者をめぐる闇。守るべき人がおかしな欲求から権力を武器に彼らを傷つける。自殺した彩と仲の良かった司。彼らの本当の姿を知った時の衝撃は大きい。実際、世の中、信じがたい事件が続出しやりきれない思いになる。精神科医や臨床心理士の存在意義は果たして？障害あるなしに関わらず、子供には愛情を持って接したいところ。題名が"臨床心理士"でなく、"臨床真理"であることに作者のこだわりを感じる。

子供目線でモノを見る。普通なら、なんか嫌だなぁ〜の事を見方を変えれば"いいね！"になる。そうした方が人生面白い。ヨシタケさんの挿絵がとっても可愛くて、ヨシタケさんの声が聞こえてくるように感じます。

本屋大賞受賞も納得の一冊。西武百貨店の閉店を最後まで見守り、M-1グランプリに参加する目標を達成し、何よりも地元愛の強い主人公、成瀬あかりを章ごとに視点を変え追っていく。相方の島崎、大津在住の男性、同じ中学の大貫、百人一首大会に参加した広島の高校生、そして成瀬本人の視点から"成瀬あかり"を見ることで"単に変わった子"ではなく、不思議だけど魅力ある存在になり、いつしか読み手まで成瀬に惹きつけられてしまうのです。勘違いもするけれど、表裏のない、適度に距離を保てる関係がいいなぁ。

第2章、"父だから考えちゃう"が好きです。うちもメンズばかりなので共感できる事多々あり。ヨシタケさん、パパなんだなぁとしみじみ。純真無垢な子供は、観察対象としては非常に面白い生き物です。子育てとなると大変ですが。自由な感じがいいですよね。ヨシタケさんの性格も知れて、中身が詰まった一冊だと感じます。色々決めるのが苦手な方なんですね。根詰めてしまいそうだけれど、明日やればいいや、なんて考えられうのも才能かと。また素敵な一冊に出会えることを楽しみにしております。

こちらも面白いですね〜（笑）校閲中の違和感から暗号解読やアフロモデルとの進展、雑誌編集部への異動（憧れの雑誌ではなかった）etc 息つく暇もないくらい仕事に邁進する悦子。校閲の仕事が天職かもしれない、そう気づけたのも大きな進歩。校閲もセンスでよね。この話の先があるならば、貝塚の気持ちの行方も知りたいもんですが。つくづく、世の中、正しい日本語を使える人達にお世話になっていると思う。小説も雑誌もいろんな人の目を通って世に送り出されていると思うと、SNSの発信が如何に中身が未熟かわかりますね。