久々に本屋大賞受賞作。喪失と再生を描いた物語、と言えば陳腐だけど虐待被害者の支援の難しさという縦軸と、東京と九州の地理的な対比を横軸に物語は進む。登場人物を群れに声が届かない52ヘルツの声で鳴くクジラに喩えるくだりが物語のパンチラインとなり、支援してくれたアンさんとの恋愛感情のもつれは面白いテーマだったのだけど少し煮え切らない形で終えたのは残念。これは愛との関係にも将来的に言えることだけど、とことん男性性やマチズムを敵視する構成なので厚意と好意のややこしさは描き切って欲しかった気はする。

久々に本屋大賞受賞作。喪失と再生を描いた物語、と言えば陳腐だけど虐待被害者の支援の難しさという縦軸と、東京と九州の地理的な対比を横軸に物語は進む。登場人物を群れに声が届かない52ヘルツの声で鳴くクジラに喩えるくだりが物語のパンチラインとなり、支援してくれたアンさんとの恋愛感情のもつれは面白いテーマだったのだけど少し煮え切らない形で終えたのは残念。これは愛との関係にも将来的に言えることだけど、とことん男性性やマチズムを敵視する構成なので厚意と好意のややこしさは描き切って欲しかった気はする。