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3月の読書メーターまとめ

曲月斎
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462ナイス

3月に読んだ本
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3月のお気に入られ登録
4

  • 月吉林太郎
  • きさらぎ
  • ねぼすけ
  • がえのん

3月のトップ感想・レビュー!

曲月斎
立大の一般科目としての講義録が底本。歴史学は人文科学で「科学する」範疇に入る学問。歴史の分野で陰謀論を振り翳す時の陥穽のパターンを示した。俎上は保元平治の乱から関ヶ原までだが、筆致に生彩があるのは室町期の章だ。曰く類型に「結果から逆行して原因を引き出す」「因果関係の単純明快すぎる証明」等々。暗記科目ではなく、歴史を学ぶ本当の意味を示す1冊となっている。同時に明治以来の歴史学の深化に触れている部分に学者としての矜持が覗く。「猫に鈴」というが、二元論的な論理に振り回されがちな今だからこそ、必要な1冊といえる。
曲月斎
2018/03/20 16:02

学者として、珍説奇説の対応に時間を割くのは勿体ないという気持ちはよく分かる。その一方で、こういう形で学者としての態度を示す1冊は大切であると思う。ただ、文中で、キーワードをゴチックで組んだのは少々あざとい気も。読みにくい。あと、登場人物が多いので、人間関係を整理しながら読み進めるのが結構厄介。授業ではどんな風に進めたのだろう?

曲月斎
2018/03/20 16:08

本書は「あとがき」を先に読む方がいいかも。それと、筆者のベストセラー「応仁の乱」もこの本に出てくる応仁の乱の項を先に読んだ方がすっきりと理解しうると思います。ご参考まで。

が「ナイス!」と言っています。

3月のトップつぶやき!

曲月斎

「ペリリュー 4巻」読了。組織的な戦闘の終了と戦闘の終了は異なる。本巻で取り上げている世界は、情報伝達ままならぬ戦場で起こった世界を描く。ペリリューで起こったことはこの後、沖縄戦、いや大陸や樺太での終戦まで同じ構図続く訳で、戦場の現実を伝えてくれるような内容。島の住民の多くを巻き込んでの戦闘が痛ましい。

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3月の感想・レビュー一覧
11

曲月斎
感想が難しい1冊。日本で複線的に(筆者は「デュアルでリバース」という術語を使う)事態が進行してきたことを種々の例を挙げながら語らっていく。自分の断片的な知識をフル稼働して追いつくはずもないけど、この本の示唆で手を伸ばしてみようか、と思う本が何冊もあったのは事実。個人的には8章の「日本の来し方・行く末」から読む方がいいかも、と。2人の考えの後付けから理解しないと。あと、松岡の本は面白そうなのだけど、閊える理由が分かった気もする。というのは概念を表象する英語が理由で、もっと割註を入れてくれたらいいのに、と。
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曲月斎
ダム造りと酒井田柿右衛門の磁器づくりの共通項を探ったり、銑鉄→転炉→鋼材という一貫生産と鑪製鉄の技術を比較したり。筆者が出掛けてルポしていく。発想が興味深い。津波関連でも田老町の津波堤の話が出てくるが、知識と行動との間に聯関ができるかどうかはなかなかに難しいのが興味深い。あと、筆者が強調したいのが時間軸の概念。作業は直列つなぎで進めるような気分になるが、時間軸を考慮すれば並列つなぎで進めた方がいい。ただ、最終章の発想法の項目は本書のトーンにはそぐわない。再々筆者自身が書いているように、別の本を読めばいい。
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曲月斎
曰く「加納部隊長は死の直前軍旗をにぎらせてくれといつたから、軍旗をにぎらせるとにつこり笑つて死んだ」が事前検閲を通すと「○○をにぎらせてくれといつたから、○○をにぎらせるとにつこり笑つて死んだ」となった。伏字で却って卑猥でもあり不思議でもあり。新聞紙法、出版法に基づく内務省の検閲の一側面だ。寧ろ戦後のGHQによる検閲は徹底していた。筆者のいう「空気の検閲」とは言い得て妙の関係だったように思う。検閲する側・される側、双方忖度の産物が戦前戦中の検閲制度だったのか。放送禁止歌に通じる自主規制の感覚、今も。
曲月斎
2018/03/25 02:22

中野正剛の戦時宰相論や、新名丈夫の竹槍事件など、その後の展開を考えると考え込む(前者は朝刊配布後に発禁となり、新名は懲罰召集を受け、本人は助かったものの、巻き添えの召集者は硫黄島でほぼ全滅)。人の内面にまで踏み込む制度であることは間違いない。それは昔の出来事とは言い切れぬ今の状況。大本営発表がポジなら検閲はネガ、という分析は実に適切だと思う。

曲月斎
2018/03/25 02:26

さらに言うなら、中央公論での「横浜事件」の如き実例は呆れる他なく、検閲制度の是非はいうまでもないこと。

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曲月斎
墓石の悉皆調査で歴史を探ろうという画期的な1冊。筆者は弘前などの津軽地方や北海道の松前、江差、海路で繫がっていた福井の敦賀、小浜、三国などの墓石を調べ上げ、人口動態や災害、疾病の流行、物流や家族像などを考察していく。墓石は位置が動かず、多様で紀年銘がある。過去帳や人別帳など他の資料と照合すると見事な史料になる。地道な文字の拾い起こしを続けたことで、生の人の動きが浮き彫りになる。家の観念が変化し、墓じまいなどの話題がのぼる昨今。筆者の地道な研究は翻って今の日本人の葬制観のみならず、生活観を映し出している。
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曲月斎
神社という装置について、飛鳥~平安期に亘って考察した1冊。氏族の信仰装置はあったにせよ、都市の成立と共に変容していく。王権による地方の神社の系列化、王家の宗廟とされる神宮の位置と皇統の継承などに関わり、認定される祭祀の場に出現するものから、社に閉じ込められるものに変わる。行く先々で名が変わる春日社や、どこに出現しても八幡社となる信仰形態が出現。平安京の成立に至っては官幣の二十二社制や、法相、天台、真言の各宗派の影響での御霊信仰や神仏習合が起きる。今の神社の存在は、実は大きな変容の果て、なのかもしれぬ。
曲月斎
2018/03/22 02:16

明治期に、社格制度が定められ、就中、国官幣社が地域の神道の世界で中心的な役割を背負って行くようになったのも、実は平安期の動きの相似形だったのかもしれない。荘園制度の発達にも助けられ、中世後半からは、出自が一定の氏族の神であっても、誰でも詣る時代になる。そちらの変容の具合も今につながる歴史としては気になるところだ。

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曲月斎
中世に生きた人の宗教観を説話集等から探ろうという1冊。題材は今昔物語、沙石集などの説話や絵巻等。今の極楽と地獄という二分ではなく、悪道が畜生、餓鬼、地獄と細分化され、責苦の種類も観念されていたというのが不思議だ。また、前九年の役の源頼義が回向で成仏でき、後三年の役の義家が堕地獄したという考え方や、観応の擾乱で高師直らを討った足利直義が報いで非業の死を迎えるとか、因果を理屈として受け止められていたのが興味深い。あと万能の存在の地蔵菩薩。こんな風に獄代受苦は勿論、功徳を説かれれば信仰しておかない手はあるまい。
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曲月斎
立大の一般科目としての講義録が底本。歴史学は人文科学で「科学する」範疇に入る学問。歴史の分野で陰謀論を振り翳す時の陥穽のパターンを示した。俎上は保元平治の乱から関ヶ原までだが、筆致に生彩があるのは室町期の章だ。曰く類型に「結果から逆行して原因を引き出す」「因果関係の単純明快すぎる証明」等々。暗記科目ではなく、歴史を学ぶ本当の意味を示す1冊となっている。同時に明治以来の歴史学の深化に触れている部分に学者としての矜持が覗く。「猫に鈴」というが、二元論的な論理に振り回されがちな今だからこそ、必要な1冊といえる。
曲月斎
2018/03/20 16:02

学者として、珍説奇説の対応に時間を割くのは勿体ないという気持ちはよく分かる。その一方で、こういう形で学者としての態度を示す1冊は大切であると思う。ただ、文中で、キーワードをゴチックで組んだのは少々あざとい気も。読みにくい。あと、登場人物が多いので、人間関係を整理しながら読み進めるのが結構厄介。授業ではどんな風に進めたのだろう?

曲月斎
2018/03/20 16:08

本書は「あとがき」を先に読む方がいいかも。それと、筆者のベストセラー「応仁の乱」もこの本に出てくる応仁の乱の項を先に読んだ方がすっきりと理解しうると思います。ご参考まで。

が「ナイス!」と言っています。
曲月斎
今でも日清どん兵衛の出汁の分岐点は関ヶ原と聞く。関ヶ原を舞台に起こった戦い壬申の乱、北畠顕家の戦い、関ヶ原の戦いを日本の東西の構図に落とし込んで見れば、という1冊。もう1点は戦いをやる必然の明確化。誰と誰が何のために仕掛けたのか。当たり前のことを手がかりに読み解く。内容に新味は薄いが、この立論の仕方が明解で、読み手は納得させられる。東西の境界は他にも、木曽三川や浜名湖、親不知子不知とあるが、全国一律と考える方が無理なのは当然。この一連の立論の向こうには権門体制論に対する東国国家論の意図、進化が見える。
曲月斎
2018/03/12 01:20

言語学、民俗学では関ヶ原、木曽三川、浜名湖と、東西の分岐点は徐々に東遷している。筆者の言うように、古代から東国と西国が同一とみる方が難しいのは当然。ただ関ヶ原はどこまでいっても東山道ルート。東海道は鈴鹿越え。木曽三川を越えるルートが確立してからと以前とは分けて考えた方がいい。太平洋側の海路が成立していたかどうかも。兎も角、関ヶ原に焦点を絞ったのはおもしろいけど。立論にどこか、張り扇の調子が混じるのは本郷節か。

曲月斎
2018/03/12 01:21

ふと、版元の祥伝社。かつて「梅干と日本刀」を世に送った版元だったよな、と。序盤に出てくる呉座批判。実に明快でいい。

が「ナイス!」と言っています。
曲月斎
日本から一番近い欧州・フィンランド。母語として瑞典語、芬蘭語を話す民からなり、スウェーデンとロシア、挟まれた位置から、両国の影響を受けながらの歴史を重ねてきた。アジアで言えば冊封体制のような。特にロシアの影響下から、二月革命、十月革命の起きた1917年に独立。以降も独ソの均衡の中で、或いは東西冷戦下で、独立を守った。トップの微妙な舵取りが絶妙で感服するしかない。冷戦終了後に市場経済に転換していく。木材資源の国から今の姿へと変貌したのもまた、入念な準備がある。女性の社会進出も然り。十二分に他山の石である。
ヴェネツィア
2018/03/10 13:41

漢語の瑞典はなじみがありますが、芬蘭は初めて見ました。いずれも音訳でしょうから意味はなさそうですが。

曲月斎
2018/03/10 16:25

字数制限下での窮余の一策です。ただ今でも一部では遣われている漢字表記のようです。

が「ナイス!」と言っています。
曲月斎
人が集まった場所には騒乱が起きる。帝都東京で人が混乱した歴史を点綴していく。日比谷焼き打ち事件以降、内務省系の警察、陸軍の憲兵を始めとした武力、さらに東京府と東京市の二重行政の話と進んでいく。本書の要の空襲対策。ここで二重行政の解消が進み、防空法が登場。多くの犠牲を生む構図が生まれる。本書を読んでも、重慶爆撃でやる側の経験を、独ハンブルク空襲以下の戦訓を、学ぶことができたのに、何で生かせないのか、と改めて思う。「地震と違い、空襲は覚知できる」と言い放った結果を思うに。桐生悠々以来の予測は十分可能だったが。
曲月斎
2018/03/07 11:14

本書も藤野裕子「都市と暴動の民衆史」が基礎資料として登場。改めてこの本もお薦めです。

が「ナイス!」と言っています。
曲月斎
モハメットの生涯に始まって、中東での盛衰とイスラム教、そして近代化を果たした欧州との角逐、瓜分された後の現代の話まで見事な通史です。スンニ派、シーア派などの分立については日蓮宗の分立してきた姿を代入しながら読みました。本書の核になる部分は5章「戦うイスラーム」以降。西欧の築いた政教分離や、その反動の原理主義の出現など。イスラムへのマイナスイメージは誤りであることを自然に説く筆運びに脱帽。分からない用語、人物名が出てきたら巻末の注釈、索引、年表を見るべし。イスラム世界を主語にした世界史は別の視点を生みます。
曲月斎
2018/03/03 02:36

「偏見やステレオタイプを取り除き、公正な社会の実現を希求する本来のイスラームの姿」を筆者は描こうとしたのでしょう。その試みは成功していると思います。ぜひ、お薦めの1冊。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/06/25(3227日経過)
記録初日
2005/01/01(4863日経過)
読んだ本
1516冊(1日平均0.31冊)
読んだページ
408413ページ(1日平均83ページ)
感想・レビュー
1443件(投稿率95.2%)
本棚
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