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2024年2月の読書メーターまとめ

曲月斎
読んだ本
8
読んだページ
2148ページ
感想・レビュー
8
ナイス
434ナイス

2024年2月に読んだ本
8

2024年2月のお気に入り登録
2

  • かずや
  • 狐

2024年2月のお気に入られ登録
2

  • 狐
  • 銀河帝国

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

曲月斎
筆者の杉山祐之は元読売新聞記者。シリーズ3冊目になる。文体が歯切れよく、面白い。習近平体制前、中国が小春日だった頃に出版された大陸の本や台湾などの資料縦横に駆使して、時代の流れを経糸、人の動きを緯糸に物語を編み上げる。日清戦争の結末から一気に清朝崩壊まで突き進む様を描いて余す処なし。本書で興味深かったのは人物評価。開明的で善玉とされた光緒帝による戊戌の変法の性急さ、慈禧(西太后)の視野、悪玉袁世凱と善玉孫文の評価のありようも。筆者の説く視点は頗る興味深い。もう1度、岡本隆司の本を読み直す気になる。お勧め。
が「ナイス!」と言っています。

2024年2月の感想・レビュー一覧
8

曲月斎
明るくなったら起き、暗くなったら寝る。すべては照明の有無に由来する訳で、菜種油や鰯の魚油などが普及する江戸期に本格的な「晩酌文化」は始まったと読み解く。コロナ禍以降、顕著にコンビニや弁当屋でおかずを買って、家飲みという習慣が定着したけど、江戸期も大したもの。煮売り屋や魚屋などで、体よく酒肴を調達できたというのは、独身者の多い江戸という土地柄も反映しているだろう。就中、夏から秋にかけて、芝浜で揚がる夕方の鰺というのは振り売りで市中を巡ったそうだ。広島辺りに残っていた小鰯の行商を連想する。何ともうらやましい。
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曲月斎
この誌面を見て、思い出した本1冊。古今書院で出ていた籠瀬良明の「地図読解入門」(だったと思う)。せっかく、今様の手段、ドローンを使った写真を多く所収しているのだから、無精をせずに、国土地理院の大縮尺の地形図も掲載するべきでした。彩色を加えた地図よりも、紙版の地図を範に採った方が僕などには読みやすい。さらに筆者は自然地形というより、土木の方に重心があるようです。大学の地理学のテキストにはならないと思いますし、万人受けする本ではないかもしれないですけど、こういう本があってもいいと思います。
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曲月斎
筆者は1913年の神田生まれ。独文学者。ゲーテ、フロイトやトーマス・マンの邦訳を手掛け、随筆を残した。師匠筋が内田百閒で、弟子筋が山口瞳。所謂「知識人」として、池田彌三郎や入江相政などと似た肌合い。随筆の多くが文庫になっていたけど、本書は1976年の本を底に文庫化された。まだ中学高校の頃、この人の随筆は好みの部類だったけど、我ながらどういう心境だったのだろう。久しぶりに「小股の切れ上がった」書きぶりが懐かしかった。食い物の話が多いので、時代の流れを感じさせぬのが救い。どこか文体に影響を受けているような。
曲月斎
2024/02/19 23:38

こんなことを書いた晩に、NHKの番組で、往時の筆者の姿が登場。まさかね。

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曲月斎
往年の山口瞳の「草競馬放浪記」を範に採った1冊。山口が小さな競馬場まで編集者に連れられてルポしたのとは違い、筆者が足で稼いだ1冊。曰く「旅打ちのススメ」というところ。地方競馬は経営上の問題から、胴元の地方自治体が手を引くのが現状。馬主不在の馬も今やいるそうだ。併せて採り上げる競輪も競艇もオートレースも。西日本で根強い人気を誇るモーターボートはさておき、競輪もオートレースも斜陽ギャンブルであるのは否めまい。鉄火場特有のメシに注目するも、小旅行がてらの賭け事も、還暦過ぎの身には励みになるとか。何か前提が……。
ヴェネツィア
2024/02/18 08:15

学生の頃、旅先の松阪の競輪場で数日間、警備員のアルバイトをしたことがあります。ハズレたのをアタリに上書きする予想屋や「ごくろうさん」と言いながらやってくる地元のヤクザや、赤鉛筆を耳にはさんで続々と詰めかける人たちなど、実に珍しい体験でした。

曲月斎
2024/02/18 14:43

鉄火場の雰囲気は、施設改修の度に消えていきますね。JRAはほとんど絶滅。公営ギャンブルでは残っていますけど。

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曲月斎
2月12日に、お茶の水・山の上ホテルが休館、との報に、この本にスケッチが載っているのをwebで知る。他にも多くのホテルが所収されていて、ホテル図鑑の名の通り、眺めるだけで楽しい。ただ、なるほどと実感できるのは自身が利用したことのあるホテルくらいだが。類書に妹尾河童が数多く残した「河童がのぞいた……」シリーズを連想したが、どこかが違う。方やペン画で舞台装置の名手、方や東京藝大出身の色の専門家で、今も建築事務所に勤める方。微妙な違いがこの本に彩りを与えている。スケッチの制作方法も今やデジタル。時代に変化が。
が「ナイス!」と言っています。
曲月斎
筆者の杉山祐之は元読売新聞記者。シリーズ3冊目になる。文体が歯切れよく、面白い。習近平体制前、中国が小春日だった頃に出版された大陸の本や台湾などの資料縦横に駆使して、時代の流れを経糸、人の動きを緯糸に物語を編み上げる。日清戦争の結末から一気に清朝崩壊まで突き進む様を描いて余す処なし。本書で興味深かったのは人物評価。開明的で善玉とされた光緒帝による戊戌の変法の性急さ、慈禧(西太后)の視野、悪玉袁世凱と善玉孫文の評価のありようも。筆者の説く視点は頗る興味深い。もう1度、岡本隆司の本を読み直す気になる。お勧め。
が「ナイス!」と言っています。
曲月斎
2011年本の増補改版。内容の重複が嫌かな、と思いつつ手を伸ばし、気にならなかったのは幸い。戦時改描の話と、戦争後の変化の追跡が主眼。まだ空白がある墨版の地形図を手にしていた世代にとっては驚きはないけど、変化の方は興味深い。就中、大空襲を受けたベルリンに戦争未亡人や空襲の被災者が瓦礫を積み上げて山が出来たという話は心引かれる。本邦でも東京大空襲の後、銀座にあった三十間堀は瓦礫で埋め立てられたと記憶しているけど、何分、本邦は基本的に木と紙と土で出来た家。石で出来た家との差を感じてしまった。復興は撤去からか。
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曲月斎
ブルーフィルムという命名自体が隠微な存在に響く。その存在に親しんだのはもう1世代上だろう。そんな中で名作を数々残したと伝わる「土佐のクロサワ」。往時の文豪や映画人が賛嘆した1本を改めて鑑賞してみたいものの、最早かなわぬこと。建前上は今も刑法の縛りがあるから。本書は土佐のクロサワが残した作品を経糸に、筆者がどう観たかを緯糸にして話が展開する。ただ筆者の主張の部分が分離してしまっている感じ。16ミリ、8ミリフィルムの時代から、ビデオの時代を挟んで今はwebで鑑賞できる時代へ。伝説の「猥褻図画」を振り返る1冊。
ヴェネツィア
2024/02/05 17:20

ブルーフィルムという言葉自体がもはや死語のようですね。その後に登場したピンク映画も。淫靡さはブルーフィルムにはとうていかないませんが。

曲月斎
2024/02/05 19:40

温泉場などで、泊まり客のサービスで上映していたとは知りませんでした。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/06/25(5382日経過)
記録初日
2005/01/01(7018日経過)
読んだ本
2083冊(1日平均0.30冊)
読んだページ
563499ページ(1日平均80ページ)
感想・レビュー
2013件(投稿率96.6%)
本棚
32棚
性別
職業
専門職
現住所
栃木県
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