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2024年2月の読書メーターまとめ

おおかみ
読んだ本
3
読んだページ
1040ページ
感想・レビュー
3
ナイス
64ナイス

2024年2月に読んだ本
3

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

おおかみ
芥川賞受賞時の会見における発言が一人歩きしているが、後に新聞社のインタビューに語ったところでは「実際にAIの文章を活用したのは1ページ分程度」らしい。ただAIが言葉を紡いだとしても、世の中に氾濫する情報が文章に影響することと本質的に違いはないだろう。小説そのものがSFに組み込まれているかのようだ。「塔」は言語を巡る人類共通のイメージだろうし、高度にリベラル化が進む反面、言葉の不自由さが露呈する様を描いたことは批評的で面白い。
おおかみ
2024/02/16 21:23

「そしてなぜか僕は、文章構築AIに対しての憐みのようなものを覚えていた。かわいそうだ、と思っていた。他人の言葉を継ぎ接ぎしてつくる文章が何を意味し、誰に伝わっているかも知らないまま、お仕着せの文字をひたすら並べ続けないといけない人生というのは、とても空虚で苦しいものなんじゃないかと同情したのだ」

おおかみ
2024/02/16 21:23

「しかし今となっては、言葉は私たちの世界をばらばらにする一方です。勝手な完成で言葉を濫用し、捏造し、拡大し、排除した、その当然の帰結として、互いの言っていることがわからなくなりました。喋った先から言葉はすべて、他人には理解不能な独り言になりました」

が「ナイス!」と言っています。

2024年2月の感想・レビュー一覧
3

おおかみ
現代においてこそ妻の症状には診断名が付くし、適切な医療も期待できるのだが、本作刊行の昭和30~50年代ではとてもそうはいかなかっただろう。作品完成に費やされた歳月は16年あまり。600頁にわたって壮絶な生活と作家の苦悩が綴られる。しかし激情の渦の中にあっても、作家は不気味に思うほどに出来事を客観的に捉え、そして流麗な文章に仕立て上げている。他の手段を選べなかった小説家にとってそれは妻への贖罪と恢復の祈りだったかもしれないし、芸術家の背負う「業」のようなものとも感じられる。
おおかみ
2024/02/20 13:26

「つらそうな表情は、私の願望に添えぬ詫びのきもちのあらわれのようにも思え、また彼女の意志に反して、何かあらぬ方向に引きずられて行く困惑の哀願とも受け取れた。それはまだ発作にははいっていないが、やがてはそこに行くことを避けることができない状態なのだ。滝の落ち口の手前のところのゆるやかな渦、たとえそのあたりに緑の草の生えた小さな島があったとしても、とどめることができぬ流れて行く水を、見ているようなものだ(472頁)」

が「ナイス!」と言っています。
おおかみ
芥川賞受賞時の会見における発言が一人歩きしているが、後に新聞社のインタビューに語ったところでは「実際にAIの文章を活用したのは1ページ分程度」らしい。ただAIが言葉を紡いだとしても、世の中に氾濫する情報が文章に影響することと本質的に違いはないだろう。小説そのものがSFに組み込まれているかのようだ。「塔」は言語を巡る人類共通のイメージだろうし、高度にリベラル化が進む反面、言葉の不自由さが露呈する様を描いたことは批評的で面白い。
おおかみ
2024/02/16 21:23

「そしてなぜか僕は、文章構築AIに対しての憐みのようなものを覚えていた。かわいそうだ、と思っていた。他人の言葉を継ぎ接ぎしてつくる文章が何を意味し、誰に伝わっているかも知らないまま、お仕着せの文字をひたすら並べ続けないといけない人生というのは、とても空虚で苦しいものなんじゃないかと同情したのだ」

おおかみ
2024/02/16 21:23

「しかし今となっては、言葉は私たちの世界をばらばらにする一方です。勝手な完成で言葉を濫用し、捏造し、拡大し、排除した、その当然の帰結として、互いの言っていることがわからなくなりました。喋った先から言葉はすべて、他人には理解不能な独り言になりました」

が「ナイス!」と言っています。
おおかみ
アートとは、フェミニズムとは何ぞやと問われると明快に説明することは確かに難しい。著者は平易な言葉で厳しく問いかける。/知識を持たない人を「わかってないなあ」と軽視し、「わからないなら黙ってろ」と排除することが実際に起こっていて、断絶を作り出しているように思えてならないい(239頁)/「エリート主義的」な論争によって「たこつぼ化」が生じているという指摘はその通りだろう。本書が述べるように、両者には本来、社会化された差別構造を批判し、解体する役割がある。この視点を理解し、鑑賞眼を養うことが第一歩になろう。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/10/31(5263日経過)
記録初日
2009/01/02(5565日経過)
読んだ本
601冊(1日平均0.11冊)
読んだページ
171897ページ(1日平均30ページ)
感想・レビュー
601件(投稿率100.0%)
本棚
20棚
性別
年齢
37歳
現住所
京都府
外部サイト
自己紹介

2009年以降の読書歴を記録しています。
漫画と雑誌はキリがないのでたまにしか登録しません。
書評が上手くなりたい。

積極的積読派。
新本格派の精神を敬愛しています。

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