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2024年3月の読書メーターまとめ

印度 洋一郎
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感想・レビュー
14
ナイス
63ナイス

2024年3月に読んだ本
14

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

印度 洋一郎
「複雑怪奇」という読後感。未だによくわからないという印象のある文化大革命を、かなり整理して書いているので、なるほど読んでいて理解が深まるが、それでも全体像が相変わらずわからない。尖兵になった印象も強い紅衛兵も実際には派閥があって内部抗争しており、文革初期数年で制御不能になり、主導権を失っていたとか、イメージとは異なる実情も色々。その後は毛沢東を支持する労働者と軍が中心になって、漢江事件のように時には軍同士が対立する内戦寸前の事態もあった。劉少奇、林彪、周恩来といった文革当事者の去就による視点も興味深かった
印度 洋一郎
2024/03/03 10:49

劉少奇は別に毛沢東に反対するつもりもなかったが、毛の主導した大躍進に経済破綻を立て直そうとした事が、結果として「毛主席の思想への反対」となり、粛正されてしまった。毛に自己批判を命じられてもおとなしく従っており、終始反対姿勢は見せていない。又、林彪は文革の担い手が紅衛兵から軍へと移行する過程で政治的地位を上げ、毛の後継者の座に躍り出るが、その野心が危険視されて粛正された。実際、林彪は毛沢東を暗殺しようした失敗し、逃亡を余儀なくされる。一番微妙な立場が周恩来。毛沢東の忠実な番頭格として、毀誉褒貶も曖昧。

印度 洋一郎
2024/03/03 10:51

周恩来は、文革に対しても異を唱える事なく、毛に従っていたが、江青達四人組と対立した事で「文革推進者の中の良心派」のようにも言われるが、かなり忖度入っていると思う。

が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
14

印度 洋一郎
三話収録。しっかり者のトゥティッキ(アニメでのおしゃまさん)と共にムーミン一家が航海に出かける表題作は、海賊と出会っても相変わらずのマイペース。「ジャングルになったムーミン谷」では、突如ジャングルになったムーミン谷に動物園の野生動物までやって来た事で、ムーミン達も逃げ出したカバと間違われて捕まる。「ムーミン=カバ?」というネタを作品自体が取り込んでいたのだった!逃げ出した動物達も季節の変化に耐えられず、結局環境が整備された動物園に帰っていくオチも秀逸。そして、一番面白いのは「スニフ、心を入れかえる」。
印度 洋一郎
2024/04/01 09:39

「スニフ、心をいれかえる」は、インチキ商売で酷い目に遭ったスニフが善なる心に目覚めて、善人たろうとするがそれが段々過激化し、周囲に善行を強制するように、という話。ムーミン達もその影響で右往左往、スノークの女の子とミムラも清らかな暮らしに憧れて、世捨て人暮らしに挑戦するが禁欲生活に我慢出来ず、「ムーミン、スニフを改心させて」とこっそり懇願。スニフが「僕のような善人には必要なことなのさ」と傍若無人になっていく、正義の暴走ぶりは結構ブラックな笑いだ。

が「ナイス!」と言っています。
印度 洋一郎
在日コリアンの著者が、1992年のロス暴動で黒人やヒスパニックに襲撃されたロサンゼルスのコリアンタウンを中心に、アメリカに移住した韓国系移民社会の諸相を取材したルポルタージュ。著者によると、暴動は支配階層の白人が強いるアメリカ社会の人種差別構造による歪みに苦しむ黒人層が、白人との中間的立場に入れられた韓国移民に怒りを向けたもの、だという。暴動の際、警察は白人居住区を警備したが、コリアタウンは放置されて破壊と掠奪に遭っている。著者は韓国人と黒人のマイノリティ連帯で白人に対抗する事を提唱するが、今はどうなのか
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印度 洋一郎
この巻は20ページ前後の短編が四話収録。正しい市民の会から「まともな暮らし」を薦められたムーミン一家が起業したり、就職するが上手くいかない話は、現代社会への風刺たっぷり。パパが偶然作ったタイムマシンでアメリカ開拓時代の西部に行く話は、社会が整備されて自由なふるまいは許されず、インディアンに襲われても観光ショーで請求書を突きつけられ、散々な目に遭う。同じくタイムマシンで18世紀のムーミン谷に行く話は、ロココな世界に憧れるスノークの女の子(アニメでいうノンノン)の俗物ぶりが笑える。どの話も皮肉な笑いがある。
印度 洋一郎
2024/03/28 12:04

野宿したたき火の跡からスナフキンを見つけるムーミンが「もし僕がたき火の跡を見つけられなかったら?」と聞くと、「もっと大きなたき火をたくさ」とスナフキンがニッコリするコマが、この巻で一番いい画だと思う。

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印度 洋一郎
第二次大戦時のポーランドの亡命政府、国内に残った武装組織国内軍、ソ連の影響下に出現した共産主義者勢力、更にポーランドを取り巻くイギリス、ソ連、アメリカの動きを追い、ヨーロッパの勢力圏に対するソ連と英米の思惑の違いは戦後の冷戦の萌芽が既にあった事を様々な傍証から導き出していく。只、それは規定の流れではなく、各々の思惑が絡み合った果てに出現した結果でもあった。この本では、特にポーランドの共産主義勢力の分析にも章を割いているが、ポーランド国内派とモスクワ亡命派との対立も激しく、戦後の人民共和国での政変にも繋がる
が「ナイス!」と言っています。
印度 洋一郎
下巻は、ディズニーとは異なる作風で独自のアニメ世界を作った制作者達を中心に、1980年代までの流れを概観。バックス・バニーを擁したワーナーやトムとジェリーのMGM、ウッドペッカーのウォルター・ランツなど、アメリカ・アニメの多士済々の軌跡が読み応えたっぷり。しかし、戦後になるとコストがかかる割に収益が少ない劇場用短編アニメは配給元からコスト削減を要求され、衰退していく。そんな中、極端に省略したグラフィカルなアニメで一時代を築いたUPAやポール・テリーの元から現れた異才ラルフ・バクシ等の存在が光る。
印度 洋一郎
2024/03/28 10:53

それにしても、ディズニー以外のスタジオでもどこかにディズニー出身者がいて、その影響の大きさは日本で言うと東映動画(設立された頃は東洋のディズニーを自称していた)のような感じ。もっとも、アニメ関係者はスタジオを頻繁に渡り歩く人が多く、特に優秀な人材は引く手あまただった事が伺える。

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印度 洋一郎
ディズニーの研究者としても知られるアメリカの著名な映画評論家による、アメリカのアニメーション史をものした大著。アメリカのアニメーションは劇場用短編アニメから始まったので、この本の範囲は短編長編含む「劇場アニメ」に限定されている。この上巻は無声映画時代のアメリカ・アニメーションの勃興から、各制作者ごとの通史に展開していく構成。ウィンザー・マッケイに代表される新聞漫画家が初期のアニメ業界をクリエイターとして牽引し、そこに商機を見いだした新聞社や映画会社といった資本が参入していく。そして、ディズニーが登場する。
印度 洋一郎
2024/03/28 10:38

散々語られてはいるが、やはりアメリカのアニメ史でディズニーは外せない。この本では、ディズニーと他の制作者との関わりにも着目して歴史を追っているので、都会的なエログロセンスで対抗したフライシャーが何故生き残れなかったのかがあぶり出されている。ディズニーは徹底してアニメーションの映像表現の進歩にこだわり、そのための技術開発や人材育成にも力を注いだ。制作だけではなく、配給にも積極的に関与しようとするが、この時代にそこまでアニメーションに熱意を示す者はいなかった。つまり、ディズニーの本気度に誰も叶わなかったのだ。

印度 洋一郎
2024/03/28 10:44

ディズニーの盟友であり、卓越した作画技術を持っていたが作劇の才能がまるでないので独立したものの行き詰まったアブ・アイワークス。アニメをビジネスと割り切り、予算と納期以内で完成させるが出来は概ねまあまあ以下というポール・テリーのテリートーン。アニメ制作者の群像が興味深い。ディズニーのような長編アニメ制作に乗り出すが、人材育成や技術開発を伴わなかったので失敗したフライシャー兄弟を、配給元のパラマウントが追い出して再編したフェイマス・スタジオも凡庸な出来ながら、「おばけのキャスパー」といったヒット作に恵まれた。

が「ナイス!」と言っています。
印度 洋一郎
1950年代から、イギリスの新聞を中心に世界各国の新聞で連載されたマンガ版ムーミン。この巻は「黄金のしっぽ」と「ムーミンパパの灯台守」の二話収録。読んでみると、恐らく一ページに三列載っている四コマ一本が一回の掲載分だったのではないかと思う。尻尾の脱毛に悩むムーミンがムーミンママの秘薬で金の毛が生えてきたところ、忽ちセレブとして世の中で注目され始める虚栄心を皮肉る話と、突然灯台守にクリエイティビティのわいたムーミンパパに皆が振り回されるやっぱりシニカルなユーモアあふれる話。どちらもアニメより毒がある。
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印度 洋一郎
日本人研究者による、ワルシャワ蜂起の概観についての解説としては嚆矢となった本(らしい)。前半は、連合国におけるポーランドを代表する亡命政府が、ソ連、イギリス、アメリカ等の思惑に翻弄され、半ば絶望的に蜂起へと追いつめられていく過程について。後半は、執筆当時まだ存命だった蜂起参加者からの聞き取りに基づく証言。亡命政府系レジスタンスの国内軍の兵士として戦った少年や若い女性、国内軍とは政治的に対立しながらも蜂起では共に戦った共産党系の人民軍の兵士達など諸相がある。一章を割かれた日本とポーランドとの関係も珍しい。
印度 洋一郎
2024/03/15 11:11

ワルシャワ蜂起には、主力となった国内軍、ソ連の息のかかった共産党系の人民軍の他、右派系、極右系のレジスタンスもいた。極右系はドイツ軍よりも共産主義者を目の敵にしていたという。

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印度 洋一郎
大作「マンガ日本の歴史」を終えたばかりの石ノ森先生が、歴史を描くという制約から解放され、のびのびと描いた日本最古の古典。内容は先生曰く「最もマンガ的な」古事記の神代の部分のコミカライズ。イザナギの黄泉の国参り等ファンタジー展開が続くのでなるほどマンガ向き。スサノオのヤマタノオロチ征伐や、ヤマヒコが洪水を起こすスペクタクルは石ノ森作品らしい見開き大ゴマを使ったダイナミックな画作りで楽しい。具体的なビジュアルイメージがはっきりしない神話だから描き手の解釈の幅があり、タケミカヅチとしてサイボーグ004が客演。
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印度 洋一郎
最期は兵士にタコ殴りされて銃殺という末路になった、リビアの指導者の評伝。分厚い割には文字が大きくサクサク読める内容だった。前書きには「(何かと先入観で語られるこの人物を)ありのままに、客観的に書いた」とあるが、内容としては推しへの熱いパトスあふれる文体、といったところ。只、もっと飛ばしているかとも思ったら、意外とおとなしいという印象も。著者ご本人がカダフィ氏に心酔しているのか、リビア各方面に取材協力してもらった忖度なのか、その両方か。日本では類著の少ないリビア現代史をカダフィ氏の半生と共に綴る内容は貴重。
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印度 洋一郎
マンガ日本の歴史シリーズで、巻末にほぼ毎回載っていた石ノ森先生の作画のためのスケッチ集。出土品、絵巻をスケッチにおこす事で、立体物としての構造を把握したり、人物の服装のディテールを把握していく作画プロセスが垣間見えるのが楽しい。写実的なスケッチを、どう石ノ森マンガの画にしていくか、中には作画までのプロセスを解説しているページもある。スケッチの周りの余白に書かれた先生の文も面白い。本シリーズの方では、石ノ森先生の入院のため、江戸時代後期で休載になってしまったのを、単行本に際して幕末のスケッチまで入っている。
が「ナイス!」と言っています。
印度 洋一郎
著者はレバノン系アラブ人で、執筆した50年代にはアメリカの大学で教鞭を執っていた女性研究者。アラブ人のいわゆる民族性について、欧米人にもわかるように解説してくれている。「アラブ人の基本的な単位は家族や部族、個人という意識は薄く、国家やいわゆる社会という概念も乏しい」「アラブ人は自己中心的で、客観的な思考は持たない」「近代社会を築いても情実で動き、公共性というものがない」「このような気質は生存が過酷な砂漠や、歴史上長く続いている貧富の差が極端で下位の者へ抑圧的な社会構造によって生じる」など。
印度 洋一郎
2024/03/07 05:58

この本が書かれたのは約60年ほど前だが、アラブ諸国の状況は余り変わっていないようにも見える。欧米に移住し、そこの社会の価値観に折り合いをつけて暮らしている人はそうでもないのかもしれないが。著者は最後に「アラブ人と接する時には、このような性質を理解する事が必要」と説く。まぁ、アラブ人の気質というのは、ことごとく欧米の価値観と衝突するというのはわかった。日本はどうだろう。

印度 洋一郎
2024/03/07 06:01

この本を読んで、「アラブ人と仲良くなりたい」と思うのは、なかなか難しいのではないかという印象。サウジアラビアでは「発禁(そもそも出版が許可されるとは思えないので、持ち込み禁止とか閲覧禁止とかそういう意味なのでは)」になったというが、内容に民族辱的なものを感じたのかもしれない。

が「ナイス!」と言っています。
印度 洋一郎
いよいよ最終巻。昭和30年代から昭和40年ぐらいまでは主な範囲。それ以降はラストに駆け足でザッと触れているだけだが、執筆されたのは平成初頭だから、やっぱり歴史というには早過ぎるのだろう。まだ歴史的な評価が定まっていない、関係者の多くが存命している、など描きづらい条件もある。主に岸政権の安保条約問題と池田政権の所得倍増が中心で、慌ただしく描いている。池田内閣から、いよいよ戦後に政界入りした政党人による政権になり、幹事長で三木武夫なんかもいる。キャラ描写で見ると、岸信介と孫の安倍晋三は容貌が似ているという印象
印度 洋一郎
2024/03/06 06:58

後に日本プロレスのコミッショナーとなった川島正次郎が自民幹事長、副総裁として登場。「プロレス・スーパースター列伝」では、東京プロレスが倒産して行き場の無くなった猪木に、「猪木くん、男がより大きく成長するためには、時にメンツやプライドを忘れることも必要だ」と諭す大物政治家として登場した人で、史実でもなるほど大物だったのか、と知る。

が「ナイス!」と言っています。
印度 洋一郎
「複雑怪奇」という読後感。未だによくわからないという印象のある文化大革命を、かなり整理して書いているので、なるほど読んでいて理解が深まるが、それでも全体像が相変わらずわからない。尖兵になった印象も強い紅衛兵も実際には派閥があって内部抗争しており、文革初期数年で制御不能になり、主導権を失っていたとか、イメージとは異なる実情も色々。その後は毛沢東を支持する労働者と軍が中心になって、漢江事件のように時には軍同士が対立する内戦寸前の事態もあった。劉少奇、林彪、周恩来といった文革当事者の去就による視点も興味深かった
印度 洋一郎
2024/03/03 10:49

劉少奇は別に毛沢東に反対するつもりもなかったが、毛の主導した大躍進に経済破綻を立て直そうとした事が、結果として「毛主席の思想への反対」となり、粛正されてしまった。毛に自己批判を命じられてもおとなしく従っており、終始反対姿勢は見せていない。又、林彪は文革の担い手が紅衛兵から軍へと移行する過程で政治的地位を上げ、毛の後継者の座に躍り出るが、その野心が危険視されて粛正された。実際、林彪は毛沢東を暗殺しようした失敗し、逃亡を余儀なくされる。一番微妙な立場が周恩来。毛沢東の忠実な番頭格として、毀誉褒貶も曖昧。

印度 洋一郎
2024/03/03 10:51

周恩来は、文革に対しても異を唱える事なく、毛に従っていたが、江青達四人組と対立した事で「文革推進者の中の良心派」のようにも言われるが、かなり忖度入っていると思う。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/11/02(5290日経過)
記録初日
2009/09/18(5335日経過)
読んだ本
1496冊(1日平均0.28冊)
読んだページ
407665ページ(1日平均76ページ)
感想・レビュー
1494件(投稿率99.9%)
本棚
27棚
性別
年齢
56歳
血液型
A型
職業
自営業
現住所
新潟県
自己紹介

 SF、ホラー、軍事、歴史関係の本が好きです。勿論マンガも読みます。
 mixiもやってます。そちらの方に、もっと詳しい書評も書いてます。

 ブログもやってます。 
http://www.moegame.com/movie/archives/cat_印度洋一郎の超映画戦記.html

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