ネタバレ初めて読んだ閻連科の作品です。なかなかの技巧派とお見受けしました。移りゆく時の流れを情感溢れる描写で表現し、永遠を象徴する雪の世界に帰結する構図の妙に素晴らしさを感じました。現代中国の変遷の流れを汲み取りながら読み進めると、いつしか、あるべき中国の姿…という幻影の隘路に、誘い込まれてしまうその手口に、老練した技巧を感じずにはいられませんでした。桃源郷の一つ手前に踏みとどまる一家の姿に、あるべき中国という幻影の儚さと美しさを垣間見た次第。なかなか得るものの多い読書体験でした。