二児同時誘拐事件の真実を追う記者の取材を通して、章を追うごとに明らかになる「空白の3年間」。幸せと喪失の間でもがき苦しむ登場人物の心情が痛いほどに伝わってくる。誰かを守ろうとした人たちの思いや覚悟が幾重にも交じり合って人ひとりの人生を形作っていく展開に何度も心が揺さぶられた。骨太でありながら細やか、そして人間の体温を感じられる作品。以前読んで良かった『ともにがんばりましょう』もそういえばそうだったなと久しぶりに思い出した。読めて良かった。

スキルの積み上げも投資も、若い頃から少しずつでも続けることが大事。ただがむしゃらに生きていた若い頃にそんな高い意識があれば…と苦笑しながら読んだ。今の仕事にはそれなりに満足しているけれど、では自分のスキルを上げるためにコツコツ努力しているものは？と問われると何もない気がしてくる。「やっても成功する可能性は100％ではないけれど、やらなければ100％花は開かない。どんな場面にも対応できる自分に大きく成長させておこう。」という言葉を心に留めて、自分の場合はまず「今日決めたことをクリア」していくところから。

いろんな理由でひとりで暮らすことになった女性たちの等身大の姿が描かれている6つの短編。気楽なばかりではない日常の感情ひとつひとつがとてもリアルで心に響く。いくつになってもみんな大切にしたいものと手放したいものを自分で選んでいく。不安を乗り越えた先にあるのは新しい人生の喜び。自分にとっても小さな道標になるような1冊だった。中でも良かったのは大崎梢さんの『リクと暮らせば』咲沢くれはさんの『週末の夜に』。『五年後に』が良くて、その後の著作が出ていないのを残念に思っていた咲沢さんの作品が読めて嬉しかった。

序盤からグロすぎて読むのをやめようかと思ったくらいだったが、それだけで終わらないのがさすが湊さん。とはいえ、最後まで読んで良かったとも言えない。蝶の美しさに魅せられて人生を狂わせた人たちの悲劇。何をどう考えても救いがない。

あっという間に読み終わるページ数ながら、街のどこかでひっそりと頑張る女性たちの本音と彼女たちへのエールがぎゅっと凝縮されたような1冊。心許なさの対極にある自由とか、不自由の対極にある二度と戻らない時間を思わされる。迷っても大事なのは自分で選んで自分で決めていくこと。「できることもできないことも、全部自分で確かめる」「喜びも失敗も、ぜんぶ自分のものだ」

二児同時誘拐事件の真実を追う記者の取材を通して、章を追うごとに明らかになる「空白の3年間」。幸せと喪失の間でもがき苦しむ登場人物の心情が痛いほどに伝わってくる。誰かを守ろうとした人たちの思いや覚悟が幾重にも交じり合って人ひとりの人生を形作っていく展開に何度も心が揺さぶられた。骨太でありながら細やか、そして人間の体温を感じられる作品。以前読んで良かった『ともにがんばりましょう』もそういえばそうだったなと久しぶりに思い出した。読めて良かった。

幸せに影響を与える性別、生まれ順、結婚、子供、孫、仕事、役職、年収…などなどさまざまな要素。多くの統計や調査から導き出される、こういう属性の人が幸せ度が高い、という結果は興味深いが、あくまでデータはデータ。個人的にはそうかな？と思うものもあるが、まさに幸せの尺度は人それぞれだということだろう。何かを持っている人は持っていない人より幸せかというと、手に入れたことで大変になる負の側面もある。けれどその側面は持っていない人にとっては贅沢に映る。幸せは心が決めるものだとはいえ、ないものねだりにはきりがない。